「なぜ、正社員を選んだのですか?」と問われたら、「正社員以外と比べて給与が良いから」と答える人は多いでしょう。しかし「正社員を辞めたほうが稼げるよ」といわれたら、どうですか? 心は揺らいでしまうでしょうか。正社員以外でも稼いでいる人たちの実情をみていきます。

年収1,000万円超えの勝ち組サラリーマン…全国で175万人

国税庁令和4年度民間給与実態統計調査』によると、民間企業で働くサラリーマン(平均年齢45.0歳)の2022年の平均給与は月収39万5,000円、賞与は109万6,000円、年収583万8,000円でした。前年と比較すると月収では前年比101%、賞与では108%、年収では102%と増加しています。

会社員である以上、勤務する企業規模によって給与が変わるのは当然のこと。資本金2,000万円未満企業に勤務するサラリーマン(平均年齢46.1歳)の平均給与は月収で33万1,000円、年収で452万5,000円。一方、資本金10億円以上企業(平均年齢44.0歳)では、月収で49万5,000円、年収で777万3,000円。同じ正社員という立場ではありますが、年収格差は1.7倍にもなっています。

正社員の給与、その給与分布をみていくと、ボリュームゾーンは「400万~500万円以下」で20.7%。1,000万円を超える「勝ち組サラリーマン」は全体の7.7%。数にして175万人になります。

【正社員の給与分布】

300万円以下:9.6%

400万円以下:16.5%

500万円以下:20.7%

600万円以下:16.7%

700万円以下:11.3%

800万円以下:8.0%

900万円以下:5.7%

1,000万円以下:3.7%

1,500万円以下:6.5%

2,000万円以下:0.9%

2,500万円以下:0.2%

2,500万円超 :0.1%

一方で正社員ではない、非正規社員男性(平均年齢52.0歳)の平均給与をみていくと、月収は20万6,000円、賞与は22万1,000円、年収は270万4,000円。正社員との給与格差は月収で1.9倍、賞与で50倍、年収で2.2倍にもなっています。

安定した待遇、給与もそれなり…でも「正社員でいる意味」はありますか?

圧倒的な給与差があるので、頑張って非正規社員から正社員になろうというのは当然の流れ。しかし、あえて非正規社員を選んでいる人たちも多いようです。

総務省「労働力調査」によると、非正規社員を選ぶ理由として最も多いのが「自分の都合のよい時間に働きたいから」で29.8%。「正社員の仕事がないから」15.4%、「家計の補助・学費等を得たいから」「専門的な技能等を活かせるから」12.1%と続きます。

「非正規社員でいる理由」。消極的な理由よりも積極的な理由のほうが目立ちます。働き方の多様化により「あえて非正規社員を選ぶ」という人は今後も増えていくでしょう。また「専門的な技能等を活かせるから」とあえて非正規社員を選んでいる人は多く、「正社員でいる意味がない」とキャリアチェンジするケースも増えていきそうです。

非正規社員の給与分布をみていくと、年収300万円以下が7割。一方で年収1,000万円を超える非正規社員は、全体の1.6%、数にして全国に6.2万人。さらに年収2,000万円を超えは全体の0.2%。そんな「非正規だけど年収2,000万円」というとんでもない人たちは、数にして5,700人。ほんのひと握りではありますが存在しています。非正規社員といえば低収入で生活苦というのがお決まりのテンプレートですが、彼らからは余裕しか感じることはできないでしょう。

【非正規社員の給与分布】

300万円以下:69.5%

400万円以下:13.9%

500万円以下:6.7%

600万円以下:3.4%

700万円以下:2.1%

800万円以下:1.4%

900万円以下:1.0%

1,000万円以下:0.5%

1,500万円以下:1.1%

2,000万円以下:0.3%

2,500万円以下:0.1%

2,500万円超 :0.1%

専門的なスキルを持っている人は重宝され「正社員よりも稼いでいる」という、非正規社員でも勝ち組とされる人たち。正社員には「安定」という魅力はあるものの、給与はある程度、天井がみえていきます。仕事で忙殺の日々を送るなか、「この先、このままでいいのかな……」と頭をよぎることも。

ーー正社員でいる意味、ありますか?

ーーいつまで正社員でいるつもりですか?

そんな正社員よりもずっと稼いでいる非正規社員の言葉に、思い悩むならきっと潮時。自己責任ではありますが、「スーパー非正規社員」からの誘いにのってみるのも、悪くないかもしれません。

(※写真はイメージです/PIXTA)