1日に行われた明治安田生命J1リーグ第29節のガンバ大阪戦で、勝利の足がかりとなったのは今夏加入の原川力だった。

37分、敵陣右サイド長友佑都が横パスを送ると、バイタルエリア右にボールを受けにきたディエゴ・オリヴェイラがスルー。これを仲川輝人がゴール中央で収めると、わずかなスペースをスルスルと上がりながら受け取った原川が細かなタッチで突き進み、ボックス右深くから右足でネットを揺らした。

ディエゴ・オリヴェイラの意表を突くスルーとスペースメイクがG大阪守備ブロックを混乱に陥れるなか、タイミングばっちりの攻撃参加で先制ゴールに結びつけた原川。チームとしての見事なまでの崩しだったと言っていい。

FC東京にとって新顔、原川は加入後初ゴール。FC東京がそのゴールをきっかけにリズムを掴み、3-0の勝利で連勝した試合後、自身の記念すべき一発の感想を訊かれると、「今週、ああいう形でサイドに(ボールが)入ったときの崩す練習をしていたし、その形がそのまま出た」と淡々と振り返った。

どちらかといえば、個々の推進力を生かしてこじ開けていく攻撃がストロングとなるチームとしても、あのように複数選手が絡んでの鮮やかな崩しからゴールを奪った形は1つの成功体験。40番も手応えを感じているようで、こうした形を増やすことで、さらに攻撃に迫力が生まれると語った。

「これまでFC東京と対戦してきて、個々でやっている感覚があった。でも、(ゴールシーンでは)連携しながら崩すというのができたと思う。個々の能力はある。それにプラスして、周りを見ながら、連携しながら、今日みたいにやれたら、(攻撃に)もっともっと怖さが出る」

ボランチとして3試合連続の先発だった今節は得点シーンだけでなく、セットプレー時のキッカーとしても、そして流れのなかでも光った30歳。セレッソ大阪からのレンタル加入だが、ますますその存在感を大きくしている。