立憲民主党枝野幸男前代表がブチかました。9月30日さいたま市での集会で、次のように演説したのだ。

「副大臣、政務官もやったことがない素人ばかりの第2自民党がいきなり政権を取ったら、民主党政権どころではない。大惨事が起きる」

 これは日本維新の会を念頭に置いた発言である。

 民主党菅直人政権で官房長官を務め、2011年の東日本大震災への対応ぶりを批判された枝野氏に言われたくないと維新は反発するだろうが、枝野氏の狙いは維新よりもむしろ、立憲民主党内で主導権を握ることにあるようだ。

 枝野氏は演説の中で、こうも強調。

「今、日本には猶予がない。次の選挙で政権を取らなければいけない」

 もっとも、次の選挙で政権を奪取できないことは、立憲民主党内の誰もがわかっていることだ。泉健太代表自身も次期衆院選での獲得議席について「150が必達目標だ」と述べている。衆院の過半数233には程遠い。

 しかも泉氏は、150議席を獲得できなければ代表を辞任する考えを示している。泉氏が何を根拠に150という数字を出してきたか判然とせず、党内には困惑が広がった。そうした中で動き出したのが、枝野氏だったのだ。

 8月には代表時代の「枝野ビジョン」の改訂版を出し、再生可能エネルギーの充実や介護職員らの待遇改善を主張した。今秋にも総選挙が行われるとの見通しが出る中で、「ポスト泉」に向けての準備といえる。

 だが枝野氏が再登板すれば、代表時代に進めた日本共産党との選挙協力に舵を切ることが予想される。共産党は日米安全保障条約も天皇陛下の御即位も認めていないが、枝野氏はそうしたことは認めつつ、共産党とは「相当な共通点がある」と発言している。枝野氏が返り咲き、共産党との連携に動けば、それこそ「大惨事」となりそうだ。

(喜多長夫/政治ジャーナリスト)

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