アナキン・スカイウォーカー唯一のパダワンだったアソーカ・タノが主人公のドラマ「スター・ウォーズ:アソーカ」が毎週水曜にディズニープラスで独占配信されている。9月20日に配信された第6話で、ついに元帝国の知将・スローン大提督が登場。“ラスボス感”たっぷりの圧倒的な存在感を見せた。アソーカ(ロザリオドーソン)やサビーヌ・レン(ナターシャ・リュー・ボルディッゾ)との再会は、宇宙クジラ“パーギル”の墓場である銀河の果てであったが、第7話では新共和国が支配する銀河に復活するための準備を着々と進めている様子が描かれた。スローンを演じるのは、デンマークの俳優ラース・ミケルセン。弟のマッツ・ミケルセンは、映画「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」でデス・スターの開発を強制された科学者、ジン・アーソの父親ゲイレン・アーソを演じており、兄弟そろって「スター・ウォーズ」シリーズにキャスティングされたことになる。「アソーカ最終話となる第8話では、そのスローン大提督が新共和国を率いるモン・モスマ(ジェネヴィーヴ・オーライリー)らの前に姿を現すのだろうか。最終話の前にスローン大提督とは、どんな人物なのかを紹介しよう。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】ついに実写版で初登場…!圧倒的な存在感をまとう“帝国の後継者”スローン大提督

■青い肌と真っ赤な眼を持つ、“小説生まれ”のスローン大提督

青い肌に真っ赤な眼、紺の髪が印象的なチスという種族の生まれである、知将・スローン大提督。彼が最初に登場したのは、SF作家ティモシイ・ザーンによる小説「帝国の後継者」で、これによると惑星シーラの出身であるスローンはもともとチス・アセンダンシーの軍人で、クローン戦争終結後に銀河帝国の力を探るべく、帝国に潜入していた。その際、帝国軍のある提督に見つかるも、その才能を買われてパルパティーン皇帝の元に連れて行かれ、そのまま士官候補生として帝国アカデミーに迎え入れられたという。

アカデミー卒業後は中尉となり、着々と反乱軍を倒して、武功を重ねた。そして、アニメーション「スター・ウォーズ 反乱者たち」シーズン3の第5話で初登場した時には大提督まで昇進していた。

■あらゆる側面から分析して戦略を立てる、優秀な知将

スローンの戦略は、実に特徴的だ。戦局を読むだけではなく、相手種族の生活習慣や文化・芸術なども調べ上げて、戦略に生かすのだ。また、文化遺産や芸術品を収集しており、その中にはサビーヌの絵も含まれている。だが、それらを生み出した種族や人物を敬う気持ちはなく、彼にとってはただのコレクションに過ぎない。むしろ、人権や命を重んじることなく、非道なやり口で人々を従わせている。

とはいえ、武功を上げるために全ての命を奪うのではなく、大きな目標のために生かすことも。「反乱者たち」シーズン3の第5話では、エズラ・ブリッジャーやヘラ・シンドゥーラらが乗った船を撃ち落とすこともできたが、反乱軍の拠点を突き止めるためにわざと逃した。優秀なだけでなく、とにかく冷静な上に分析力が長けているため、ちょっとやそっとの作戦では出し抜くことが難しい相手といえよう。

■正史で初めてスローンを描いたのは、アソーカと同じデーブ・フィローニ

分析家であるスローン大提督は、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーのことも分析しているらしく、「アソーカ」第7話で部下のモーガン・エルズベス(ダイアナ・リー・イノサント)からアソーカの経歴を示された際、アナキンの名前を見て、アソーカへの戦略を変えた。そして、アソーカスローンの筋書き通りにサビーヌの救助に向かい、まるでスローンの手のひらで踊らされているように見えた。フォースを持つアソーカは全てを予測しての行動だったのか、10月4日(水)配信の最終話がどう終結するのか気になるところだ。

もし時間があるならば、アニメ「反乱者たち」を見ると「アソーカ」の理解が深まる。制作しているのが「マンダロリアン」や「アソーカ」と同じデーブ・フィローニで、いわば“同じ血が流れた作品”と言えるからだ。シリーズ最終回のシーズン4第15話以外は全て24〜25分なので、サクサク見ることができる。

全部見るのが難しいという人は、スローン大提督が初登場するシーズン3第5話「ヘラの英雄」、彼の非道さが伝わってくる第10話「内通者」、銀河の果てに飛ばされることになるシーズン4の第15話「家族の再会−そして別れ」の3本だけでもチェックすれば、スローン大提督の最低限のキャラクター像と、物語の流れが分かるはずだ。

◆文=及川静

「スター・ウォーズ:アソーカ」より、スローン大提督(ラース・ミケルセン)/(C)2023 Lucasfilm Ltd.