井ノ原快彦、東山紀之

2日に都内某所で行われた、ジャニーズ事務所の記者会見。そこではジャニー喜多川氏による性被害者への対応から、新会社についての説明まで多岐に渡る内容が発表された。


■ジャニーズ事務所の発表

会見では実際にジャニーズ事務所が設置した救済窓口に478人から被害の申し出があり、その中の325人が補償を希望していることも公表。

一般的に考えて信じがたい人数からの申し出には会場でも驚いている記者は少なくなかったが、ジャニーズ事務所東山紀之社長は申し出をしてきた方についてはできる限りの要望を聞き、真摯に対応すると発言している。

また、会見には顔を見せなかったが、報道陣に配られた直筆のサイン入り手紙でも代表取締役の藤島ジュリー景子氏も「ジャニー喜多川の痕跡をこの世から一切なくしたい」と記載。

性被害と同様に問題視されていた事業承継税制の活用による節税についても、税金を支払ったうえで会社を終わらせると記載していた。


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■発表以外の不確かな情報も

発表後の質疑応答の時間では、一部の記者から執拗に「東山社長が性加害をしていたのではないか?」といった質問が投げかけられる一面もあり、物議を醸している。

また、ジャニー氏が起こした性加害について「実際の被害者は数千人に渡る可能性がある」という主張をSNSで行っている人物もおり、会見で明らかになった事実以外の不確かな情報が現在もネット上で飛び交っている状態だ。


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■問題を拡大させたがる人たち

そんな中で記者が会見で強く覚えた違和感としては、「問題を拡大させたがる人たち」が少なからずいるのではないかということ。

実際に東山社長が性加害に加わっていたという事実があるのなら批判されて然るべきだが、会見では再三否定しており、「ジャニー氏が性加害に及んだ被害者が数千人いる」という報道も現時点では根拠に乏しい内容となっている。


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■いまもっとも重要視すべきこと

ジャニー氏が行ってきた性加害は絶対に許されることではなく、簡単にこの問題を収束させてはいけない。しかしながら、もっとも重要視しなければならないことは”被害者の救済”である。

いま重要なのは不確かな情報を流して煽るのではなく、ジャニーズ事務所が被害者救済のために動いていることを報じ、多くの被害者が連絡しやすくすること。もし事務所の対応が不十分なのであれば、その点を追及することだろう。

また、東山社長に性加害者ではないかと確認するのは、セクハラ被害を告白した元ジャニーズJr.山崎正人氏と東山氏の意見は平行線をたどっていることから、取材の内容としては間違っていない。

しかし、本人は一貫して否定。会見が開かれるごとに「性加害をしたか」と執拗に問い詰めたところで何も出てこないだろう。

必要以上に煽ることが本当に必要なのか、メディア側も今一度取材の攻め方を再考する必要がありそうだ。


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■二次被害を生まない取材や報道を

改めて言うが、ジャニー喜多川氏の行為は日本芸能界最大級の汚点とも言える行為で、簡単に許されることではない。

しかし、それを追及する報道が二次加害を助長しかねない行為をすることも、同様にあってはならないと感じる。

ジャニーズ事務所は広報窓口も報道陣に発表しているが、記者からは「納得できる回答が来ない」という意見も。実際に記者も挙手をしていたが指名はされなかったので、その点に関して不満は持っている。

発表内容が不十分だと思うのであれば、自らの取材だけでなく「報道陣からメールでの問い合わせに不満の声が出ているため、具体的な回答を連絡後数日以内にする約束はできないか」といった質問をすれば、他メディアからの反発も無かったのではないだろうか。

ジャニーズ事務所が被害者救済を第一に考えるように、メディアも二次被害の原因とならない取材や報道をしなければならないと考えさせられる記者会見であった。

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(取材・文/Sirabee 編集部・熊田熊男

ジャニーズ会見で感じた強烈な違和感 問題を”必要以上に拡大させたがる”人たち