かつて日本のサッカーゲーム界では「ウイニングイレブン(現・eFootball)」シリーズが家庭用ゲームで絶大な人気を誇り、そこに続く存在として「FIFA(現・EA SPORTS FC)」や、「Football Manager」(11月7日発売の『Football Manager 2024』が日本での正式なデビュー作)シリーズが並んでいた。それぞれのシリーズ最新作や最新バージョンのリリースを機に、本稿では各タイトルの変遷と人気の理由、そして現状について考察する。
【画像】さまざまな“リアル”がそこに。主なサッカーゲーム最新作のスクリーンショット
一定の年齢以上のサッカーファンのほとんどは、「ウイニングイレブン」シリーズをプレイした経験があるだろう。同シリーズが人気を博した理由は「マスターリーグ」の存在だ。従来は現実に実在するチームを戦わせるといった対戦ゲームとしての形式が多くを占めていたが、「マスターリーグ」の出現により「自分の好きなチームを作って世界のリーグで戦う」というゲーム性を構築。相手チームから選手を獲得したり、選手を育成して能力を上げたりとシミュレーション性が加わったことで、これまでのサッカーゲームとは違ったプレーの広がりを見せることになった。
このシミュレーション性に「Football Manager」が特化していったなか、圧倒的な人気を誇るウイニングイレブンを脅かすことになったのが、EAスポーツが開発した「FIFA」シリーズだ。国際サッカー連盟(FIFA)とのライセンス契約により「FIFA」を冠したゲームとなり、そのほかにも多数のライセンスパートナーとの契約によって、実在チームや実在選手を作品に登場させることを可能にしたことが、大きな強みとなっていた。
くわえて、「FIFA」は独自に「Ultimate Team」というモードを登場させ、選手たちをカード化することで「マスターリーグ」とは違った形の「自分の好きなチームを作って戦う」形式を提供。また、一人で遊ぶモードだった「マスターリーグ」とは違い、オフラインとオンラインを融合させたことで、友人と対戦する形式を作り上げたことで一気にプレイヤー数を増やしていった。
■今後はシミュレーション性の高いゲームが人気を集める可能性も
以降は互いに新たな作品が出るたびに少しずつ改善を行なってきたが、近年はあまり革新的な変化が起きているとは言えない。ウイニングイレブンは「eFootball」と名前を変えて新たなスタートを切ったが、人気を博した「マスターリーグ」は追加DLCとしてオフラインモードで実装されると発表された。一方、現在は2人または3人のプレイヤーが同じチームの選手を操作して試合を行う「Co-op」モードが人気を集めつつあり、少人数に限定した協力プレイが「eFootball」としての強みになっていく可能性も感じさせている。
「FIFA」も、オンラインで11人対11人の対戦ができる「プロクラブ」モードが人気を集めたが、PCやPS5、Xboxとプラットフォームが人それぞれ時代において、クロスプレイ対応で遅れを取る形に。FIFAとのライセンス契約終了に伴い名称の変わった最新作『EA SPORTS FC 24』では、同世代のコンソール間であればクロスプレイ可能な仕様に改善されたが、Nintendo Switchがクロスプレイ未対応と、依然として課題を残す。今後の作品でのアップデートが望まれる点となるだろう。
新たなモードやシステムに関しては、今後「Football Manager」のようなシミュレーション性をより深めるものが高く評価されていくかもしれない。日本のサッカーファン、サッカーゲームファンの潮流として戦術面への興味が増しており、監督として戦術を決めたり、選手を動かすモードは大きなポテンシャルを秘めている。タイトルの中心にオンラインかつ課金システムを含むモードが置かれることは時代の流れとしても自然ではあるが、そうしたモードは一戦ごとの緊張感があり、手軽に楽しめるシミュレーション系のモードには別の需要があるはずだ。シンプルに、プレイヤーの楽しみ方の幅を広げることにもなるだろう。
9月8日に『eFootball 2024』のアップデートが配信され、9月29日には『EA SPORTS FC 24』が発売。そして前述のように『Football Manager 2024』も11月7日に発売される。サッカーゲーム界のメジャータイトルが続々と最新バージョン/最新作をリリースするなか、世界中のプレイヤーはどのような楽しみ方を選択するのか、注目したい。
(文=藤丸リオ)
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