オンライン動画配信サービスHulu」にて、9月15日より独占配信が開始したHuluオリジナル「神の雫/Drops of God」。第2話ではカミーユ(フルール・ジェフリエ)が過去のトラウマを克服して前進する姿が描かれ、それとは対照的に、祖父から“テストを辞退しろ”と命じられる遠峰一青(山下智久)の姿も描かれた。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】凛々しい表情がカッコいい…遠峰一青役を演じる山下智久

■「神の雫/Drops of God」とは

本作は、山下智久海外ドラマ初主演作となる国際連続ドラマ。全世界でシリーズ累計1500万部を売り上げた漫画「神の雫」(作:亜樹直、画:オキモト・シュウ)が原作となっているが、本作では原作漫画の中心を担う男性キャラクター“神咲雫”をフランス人女性・カミーユに置き換え、聡明なワイン評論家・遠峰一青を“新たな主人公”に設定している。

そして彼らを軸に展開するストーリーは、“時代と国境を越えた華麗で芳醇な人間模様”を壮大かつ細やかに描出し、“ワインに運命を翻弄される男女”が莫大な遺産を懸けて対決を繰り広げる――。

主人公のワインに人生を懸けた男・遠峰一青役を山下が、神の舌を持つカミーユ役をフルール・ジェフリエが担当。そのほか、世界的ワインの権威アレクサンドル・レジェ役をスタンレー・ヴェベールが、一青の母親の遠峰仄香役を渡辺真起子が、父親の遠峰博和役を二階堂智が、一青に自らの内面と向き合うきっかけを与える敏腕ジャーナリスト・片瀬百合香役を岡本あずさが演じる。

アレクサンドルのワイナリーで特訓するカミーユ

同話ではカミーユがアルコールがトラウマになってしまったシーンから放送される。幼少期、アレクサンドル(スタンレー・ヴェベール)のワインセラーでワインの特訓をしたところ、ワインを飲み干したカミーユが気絶して担架で運ばれてしまう。母親(セシール・ボワ)は、アレクサンドルがカミーユにワインを飲ませたのかと激昂する。

アレクサンドルの葬儀後フランスに戻ったカミーユは、テストの訓練のためにワイナリーを訪れた。出迎えてくれたのはワイナリーで働くフィリップ・シャサングル(ギュスタヴ・ケルヴェン)。アレクサンドルの古い友人でワインの生産者だ。フィリップは忙しく手が貸せないため息子のトマ(トム・ヴォズニチカ)に教わるようにと指示をする。

トマは「これから3週間で君はブドウの品種や生産者、収穫年、テイスティングも覚えるんだ」と告げる。カミーユはトマに、“ワインに対して複雑な想いを抱えている”ことを話すと、「自分にプレッシャーをかけるな」「父親と同じ道を歩めとは誰も言ってない」と優しく伝えた。

フィリップは、アレクサンドルの生前に「娘のワインの知識を磨いてほしい」と頼まれていたことを明かすが、ワインにトラウマがあるカミーユの状態を見て途方に暮れる。カミーユは「アルコール1滴で気絶するのは父の影響です」と告げたうえで、アレクサンドルが自分のことを信じているから助けてほしいと頼むのだった――。

■幼少期の記憶をたどり、“香り”で勝負することを決意

フィリップは、カミーユを助ける条件としてカミーユの脳の検査を実施。検査の結果、カミーユは記憶に関わる部分の活動が活発である一方、幼いころのアルコールに関するトラウマが原因で、味覚による脳の恐怖と嫌悪感が著しく強く反応していた。医師はトラウマを克服するまではワインの勉強を控えるように伝える。

自宅に戻る前に、カミーユフィリップにあるメールを見せられる。そのメールには“電話にも手紙にも応えない”“私に父親はいない”などと、カミーユが父親に向けて送った心ないメッセージが記載されていた。そのメールに覚えがないカミーユは、すぐに母親の仕業だと気づき、一緒にワイナリーに来ていた母親に「明日は一人で帰って」「私はここに残る」と伝え、裏切られた悔しさからテストへの参加を決意する。

テイスティングができないカミーユは、“プランB”として「香りで勝負したい」とトマに提案する。早速目隠しをして訓練を重ねるカミーユは、幼少期のアレクサンドルとの記憶をたどりながら、どんどん正解を重ねていく。

その後トマはワインの見た目の見分け方から香りの特徴をカミーユに伝え、カミーユはワインの香りをかぐも、アルコール蒸気のせいでうまく集中できない。そこでフィリップは苛立つカミーユを連れてワイン畑に訪れる。そしてカミーユに対して“畑を歩き、息をして味わい楽しむ”ようアドバイスをするフィリップカミーユは彼の言葉に従って畑の土やブドウに触れ、香りを嗅ぎ、味わうと、テストのワインにシダの香りがしたことをふいに思い出すのだった。

■酒のトラウマは“父親のせいではない”ことに気づく…

場面は変わって東京。一青は、アレクサンドルに代わる国際共同企業からワイン通の顧問の候補として呼ばれていたが、先方からは若さゆえの“経験不足を懸念している”と指摘されてしまう。先方にワインのテストを頼まれ簡単に正解してしまうが、結局経験不足から破談になってしまう。

同じころ一青の母親は、夫婦で経営する会社「遠峰ダイヤモンド社」の会長でもある父(一青の祖父)に呼び出され、一青の遺産相続について問い詰められる。その後会長は一青のオフィスを訪れ、遺産を巡る次のテストを辞退してオフィスも畳むよう命じ、一青は「はい、おじいさま」と答える。そして会長は去り際に、オフィスに陳列される“一青が集めた香りのサンプル”をなぎ倒して行くのだった――。

舞台はフランスに戻り、フィリップカミーユに“香りだけでワインの産地を当てるテスト”を実施する。カミーユは香りを詳細に当てるものの、産地まではたどり着かなかった。悔しがるカミーユは再度香りを嗅ぎ、幼いころアレクサンドルと特訓を重ねていた自分を辿っていた。

記憶の中の幼いカミーユアレクサンドルと訓練を続け、その度に母親が「まだ8歳なのに」とカミーユを心配し両親が喧嘩するのを黙って見ていた。そして両親が口論でその場を抜け1人になった際、カミーユはその場にあったワインを一気に飲み干し、気絶してしまう…という記憶が蘇る。

実はアレクサンドルにワインを飲まされたのではなく、自らトラウマを引き起こしてしまったことに気付くカミーユ。意外な真実に辿り着いた彼女は「パパじゃない」「何もかも私のせい」と言ってワインを一口飲むと、いつものように鼻血が出ることはなく、「すごくおいしい」と呟くのだった――。

■勘違いに気づくことで父親との確執が取り除かれていく

同話で特に注目すべきシーンは、カミーユがいくつかの真実に辿り着くシーンだろう。まず父親から一切連絡がこなかったのは、これまで“ワインのことしか頭にない”と考えていたのだが、実際は母親がカミーユなりすまして“父親と距離を置くようなメールを送っていた”ことが原因だった。

さらにお酒のトラウマも“小さい頃父親に飲まされたせい”と勝手に思い込んでいたものの、フタを開けてみれば自分のせい…。この2つの真実を知ったことで、カミーユは父親に対する見方や印象がだいぶ変わったのではないだろうか。

ちなみに、メールをこっそり送っていた母親についてカミーユは激怒していたが、もしかすると母親は“ワインづけの日々を送る娘を見たくない”という思いから、父親と距離を置くようメールを送ったのかもしれない。また“カミーユがワインにはまって、自分のもとを離れてしまう”と恐れていた可能性も考えられる。そのため、メールの一件は悪意あっての行為ではなく、母親が娘を愛する気持ちから起きてしまったのではないだろうか。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

Huluオリジナル「神の雫/Drops of God」より/(C)Hulu Japan