チンパンジーのセプテンバーは、2002年、個人宅の裏庭の檻に閉じ込められていたところを救助され、アメリカのチンパンジー保護区に引き取られた。
保護区に来て20年になるセプテンバーだが、昨年末から、食事のために家に戻るたびに、体にミツバチをつけてくるようになった。
不思議に思ったスタッフが野外の監視カメラ映像をチェックしたところ、セプテンバーは花の近くでミツバチたちをながめ、それを捕まえて自分の毛の中に入れていた。
なんとセプテンバーはミツバチを小さな友達認定し、自分の毛の中に住まわせようとしていたのだ。セプテンバー的にミツバチの餌と思っている花びらも一緒に装着させながら。
劣悪な環境下にあったセプテンバーは、世界最大のチンパンジー保護区の1つであるフロリダ州の「セーブ・ザ・チンパンジー( Save the Chimps)」に移送され、20年に渡り、仲間たちと自由と自然を満喫しながら、毎日を楽しく暮らしている。
チンパンジーたちは食事のたびに、保護区内にある建物にくるのだが、昨年末、スタッフはあることに気が付いた。
セプテンバー(メス)が毎回ミツバチを毛につけてくるのである。ミツバチと一緒に花も毛についている。
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ミツバチはチンパンジーの新しい友達だった
不思議に思ったスタッフは、野外に設置されている監視カメラを確認することに。するとそこには、セプテンバーがミツバチたちを興味深く見つめ、傷つけないようやさしくとらえて、自分の体にくっつけていた姿が!
セプテンバーはミツバチを自分の小さなお友達として、常に一緒にいたかったようだ。
彼女はミツバチたちを体に這わせることを許していて、ごろんと横になるときは、おなかの上を動いているのをじっと眺めている。
ミツバチたちが遠くに行きすぎたり、手に届かないところをさまよったりしはじめたら、セプテンバーは体の上部に戻すのだ。
ある日のこと、スタッフらがミックスナッツやジュースを与えていた所、それを欲しがらずにずっと地面を指さし続けたという。
セプテンバーはたいてい食べ物を落としたときにこれをするのだが、見ても何もない。何度も指をさすのでよく見ると、床の上にミツバチがいたのだ。
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どうやら小さなお友達を落としてしまったので、拾ってほしいとお願いしたのだろう。スタッフは、彼女のために、ミツバチを拾うと、セプテンバーはそれを頭の毛の中に戻したという。
ミツバチがそばにいると、セプテンバーはとても気持ちがやすらぐようだ。ミツバチは彼女にとって、セラピーサポート生物のような存在なのだという。
スタッフらは、セプテンバーがミツバチたちをやさしくいたわるように扱っているのを見守るのが好きだという。ミツバチがどんな気分なのかはちょっとよくわからないが。
動物が異種の動物に興味を示し仲良くなることはあるが、動物が昆虫に興味を示し、それを我々がペットを飼うように、自分の毛皮を差し出し、常に一緒にいようとするなんてすごい。
チンパンジーは我々人間にとても近く、優れた知能と愛情を持つことを実感させられる。
また集団生活を営むミツバチも、知性を持ち、感情があることがこれまでの研究から明らかになりつつある。
チンパンジーにモフモフの居場所を提供されたミツバチたちは、もしかしたら「ココも以外といいところかも」と思ってくれたのだろうか?
というかチンパンジーはミツバチに刺されないの?刺されても平気なの?
そんな細かいことを気にしちゃうよりも、より良い共存の形について思いを巡らせたほうがよさそうか。
written by parumo
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