仙台東部道路

「最強の矛」と「最強の盾」が真正面からぶつかり合ったとき、勝者はどちらになるのだろうか。ご存知、故事成語「矛盾」のエピソードだが、X(旧・ツイッター)上では現代版にアップデートされた「矛盾の道路標識」が話題となっていたのだ…。

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■「2つの速度制限」に目を疑う…

今回注目したいのは、Xユーザー・くきわかめさんが投稿した1件のポスト。

「#びっくり道路選手権」というハッシュタグの使用された投稿には「49km/hで走っても、51Km/hで走っても、道路交通法違反になる高難易度の道が存在する」と、意味深な1文が綴られていた。

仙台東部道路

一体どういうことなのか、疑問に首を傾げながら投稿に添えられた道路の写真を見ると…そこには「最高速度50km/h」と表示されたデジタルの道路標識と、下部分に横線の引かれた道路標識が揃って確認できたではないか。じつは、こちらの下線部がある標識は「最低速度」を指示する内容となっている。


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■「時速1km」でも速度がズレると…

「最高速度」はともかく「最低速度」の標識に関しては、存在自体を「知らなかった」という人も少なくないだろう。

「道路交通法」の23条にて「自動車は、道路標識等によりその最低速度が指定されている道路(第75条の4に規定する高速自動車国道の本線車道を除く。)においては、法令の規定により速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その最低速度に達しない速度で進行してはならない」と表記されている。

そのため、前出の道路では「時速50kmピッタリ」で走行しない限り、最高・最低いずれかの速度制限に抵触してしまう…と考えられるのだ。しかし言うまでもなく、まとまった距離を時速1kmの乱れも生じさせず走行するのは、どう考えても「無理ゲー」である。

仙台東部道路

こちらの衝撃的な光景は大勢の人々の目に留まり、件のポストは2,000件以上ものリポストを記録するほど大きな話題に。他のXユーザーからは「速度違反取締のボーナスステージ」「等速で走れってこと?」「これは厳しすぎる」など、驚きの声が多数寄せられていたのだ。

ポスト投稿主・くきわかめさんに詳しい話を聞いたところ、こちらの光景は宮城県内にある「仙台東部道路」にて遭遇したものと判明。そこで今回は、これらの指示内容の解釈をめぐって「宮城県警察」に取材を敢行することに。


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■時速何kmで走れば良いのか…

全国的に見ても珍しい「最低速度」の標識を設置した背景について、宮城県警の「高速道路交通警察隊仙台東分駐隊」担当者は「交通の安全と円滑を目的としています」と回答。

これには、仙台東部道路の特別な事情が関係しているようだ。…というのも、仙台東部道路は高速道路でなく「一般国道自動車専用道路」だが、高速道路の常磐自動車道と一体となっているのだ。そのため制限速度を高速道路と同様に統一した方が、道に不慣れなドライバーの混乱や事故などのリスクを軽減できるものと考えられる。

仙台東部道路

そうした事情もあってか、仙台東部道路には高速道路の「法定速度」と同じ「最低速度50km/h」の標識が設置され、平時はデジタルの指示標識に普通乗用車は「時速100km」、大型貨物自動車等は「時速80km」と、最高速度が表示されていることが判明したのだ。

前出の道交法を参照すると「危険を防止するためやむを得ない場合」であれば、指定された最低速度未満の速さでも走行が可能とされている。こちらを踏まえ、宮城県警の担当者は「交通事故や自然災害が発生した場合や、高速道路交通警察隊長(高速隊長)による臨時の交通規制が発生した場合、最低速度は適用されなくなります」とも説明していた。

なお、くきわかめさんが写真を撮影した日は撮影地の前方で道路工事が行なわれていたそうで、宮城県警担当者からは「そのような場合も、最高速度の制限数値が変更となり、最低速度は適用されなくなります」との回答が得られている。

つまり、今回の写真のシチュエーションは「最高速度50km/h」を遵守すれば、走行スピードに関する法律には抵触しないというワケだ。…とはいえ、目にした際は間違いなくギョッとしてしまうはず。これを機に「最低速度」を表す道路標識が存在することを覚えておこう。

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■運転中に遭遇したらギョッとする


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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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