かねてから井上の名前を語るメイウェザー。彼が打ち出した野望とは?(C)Getty Images

 ボクシング界で鮮烈なプロデビューを飾った神童に熱視線が注がれた。現地9月30日にラスベガスで行われたスーパーフェザー級4回戦でエゼキエル・フローレス(米国)を1回TKOで撃破したカーメル・モートン(米国)だ。

 モートンのデビュー戦は異例の舞台で実施された。同日に開催された興行のメインだった“カネロ”ことサウル・アルバレスメキシコ)とジャーメル・チャーロ(米国)による世界4団体統一スーパーミドル級タイトル戦の直後に行われたのである。

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 メガマッチの余韻が残るリングに立った17歳だったが、持ち前のポテンシャルを発揮。キャリア4戦無敗で3KOを誇る実力派を相手に序盤から圧倒。初回にダウンを奪うと、最後は高速ラッシュで畳みかけ、あっという間に勝負を決めた。

 アマチュア時代に47戦46勝(1敗)を誇ったモートンの才覚は伊達ではなかった。さらに1回TKOという目に見える結果も残し、“魅せる”スター性も感じさせた。そんな将来性豊かなティーンエージャーを「凄いだろ?」と称賛したのが、元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーJr.(米国)だった。

 プロキャリア50戦の伝説のファイターは、試合後に米メディア『Boxing Scene』の取材に応じ、自らがプロモートに絡んでいる“秘蔵っ子”を「いずれ全員をなぎ倒すようなファイターになる」と絶賛。さらに「そのうち誰もが彼の名を呼び出すようになる。誰もが戦いたくなる相手になる」と太鼓判を押した。

 ボクシング界屈指のカリスマは、井上尚弥(大橋)の存在にも言及した。キッカケは試合後の会見におけるモートンの発言だった。

 デビュー戦を終えたばかりの17歳は「イノウエは間違いなく良い選手。技術があって、速いし、何よりも強い。ただ、僕は彼よりもずっと大きく、ずっと優れた選手になれると思ってる」と指摘。将来的な“打倒モンスター”を打ち出した。

 この発言について問われたメイウェザーは、「彼(モートン)のスタイルが誰に似ているかは、正直、今の次点では言えない」と指摘。そのうえで、こう続けた。

「知っての通り、日本から来た“あいつ”はとんでもないファイターだ。本当にとんでもないと思う。俺たちが今やっていることはメイウェザーカネロメイウェザー対マクレガー、メイウェザーパッキャオをやった時と何ら変わらない。夢のような試合を生み出すことだ。だから、いつかモートンビッグマッチをする可能性はある」

 あえて井上の名前をふせるメイウェザーは、「モートンがいつか試合をするかもしれないよ。俺は彼の名前の発音の仕方がよくわかんないけど、とにかく日本の“あいつ”だよ」と強調。まさに“舌好調”。相変わらずの口達者ぶりで井上陣営にアピールした。

 メイウェザーの後押しを受けるモートンが、“日本のあいつ”と拳を交わす日は本当に訪れるのか。いずれにしても、初陣を終えたばかりの17歳の逸材がどこまで飛躍するか次第だろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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