コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“日給25万円のバイトで霊に襲われる男性”をテーマに描いた漫画『入らずの仏間』をピックアップ。

【ホラー漫画】入ってはいけない“仏間”から赤ちゃんの泣き声…男性が始めた闇バイトの内容に「代価がでかすぎる」の声

作者である漫画家のよしむら香月さんが、2023月6月6日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、4700件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事ではよしむら香月さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

■不気味な先輩警備員から告げられた“禁忌(タブー)”を犯す…

主人公は弱小食品会社勤務のサラリーマン。妻が妊娠し、収入を増やそうと割の良い副業を探していたところ、なんと日給25万円の警備員を募集するチラシを発見する。金額に惹かれて面接に訪れると、自己紹介しかしていない時点で「採用」と告げられ、“今日から働いて欲しい”と頼まれる。

実は面接官である警備統括の話によると、このビルには霊が出るらしく、警備員もすぐに辞めてしまうのだという。統括の頼みで早速その日の夜から働くことになった主人公の元に先輩の警備員がやって来るのだが、その警備員の目は明らかにおかしく、不穏な空気が漂っていた――。

先輩と2人でビルを警備していると、「ここでの警備にはね、禁忌(タブー)があるんだ」「五階廊下奥、通称『仏間』には決して入るな」「入ったら命の保証は無い」と警告される。すると、背後から「新しい警備の人だ」と声がして、後ろを振り返ると小さな女の子の姿が。逃げる女の子を主人公が慌てて追いかけて話しを聞くと、どうやらその女の子は“統括の娘”とのことだった。

主人公が女の子と話していると、突然背後に不気味な化け物が現れる。主人公はとっさに女の子の手を取り必死に逃げ、化け物を振り切るのだが、目を離した隙に女の子は“仏間”に入っていこうとする。

必死に「ここは危ない所なんだ!今スグ出なきゃ駄目だ!!」と引き留めようとする主人公。しかし女の子は「奥でママが待ってる」と言い、女の子が指をさした方向を見ると、仏間の奥には先ほどの化け物が佇んでいるのだった――。

主人公が腰を抜かして動揺する中、女の子はあの化け物と同じような顔に変わっていき、主人公を襲ってくる。すると丁度そこへ先輩がやって来て、主人公を仏間の外へと引っ張り出してくれる。「なんてことをしてくれたんだバカ野郎!!」と叱る先輩に、主人公は統括の娘がいたことを伝えた。すると先輩は「統括に娘なんていないぞ」と告げたうえで、実はこのビルの建設中に女の子が亡くなっており、主人公はその霊に化かされて仏間に入るよう仕向けられたのだと説明をする。

仏間に入ってしまった警備員は数日以内には必ず失踪しているとのことだが、先輩は「もう二度とここに関わらなければ助かる可能性はあるかもしれない」と伝える。が、次の瞬間主人公が顔を上げると、既にそこに先輩の姿はなかった――。

それから2日後、主人公は妻と平和な日常を送っていた。妻のお腹も大きくなっており、「最近赤ちゃんお腹けってる気がするんだぁ」と嬉しそうに話す。そこで、主人公が妻のお腹に耳を近付けると、なぜかあの時の女の子の「きゃはははは」という笑い声が聞こえてくる。そしてあの時の化け物が主人公の妻に乗り移り、「仏間で待ってるよ」と発言。

妻と子供だけは何としても守りたい主人公は、「二人には手を出さないでくれ…仏間でもなんでも…入るから」と泣きながら化け物に告げる。その言葉を発したことで、主人公は衝撃的な結末を迎えることに――。

終始不気味な雰囲気と、鳥肌が立つような描写や展開が満載の本作。ネット上では、「結末が恐ろしい…」「いくら高給とはいえ、絶対にやりたくないバイト。払った代価がでかすぎる」「ハラハラドキドキしながら読めた」「オチも途中の展開もかなり衝撃的だった」「怖すぎる…」などのコメントが寄せられている。

■作画の際には「とにかくギャップや急展開を意識しています」

――『入らずの仏間』を創作したきっかけや理由があればお教えください。

もともと連載を目指していた作品だったのですが、会議に通らなかった際に読み切りでなら載せていただけるかもとお話をいただき、読み切り用に構成や設定を変え、制作させていただきました

――本作では、ストーリーはもちろん、先輩や統括などの登場キャラの不気味さも印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。

主人公以外を不気味にすることで、冒頭の方からホラー作品であるということを意識して読んでいただけるように努力しました。また、キャラクターの内面の特徴と共にデザインにも不気味さを取り入れておりますので、そこも気味悪がっていただけたら嬉しいです。

――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。

初めて主人公が仏間に入った際に、先輩が助けに来てくれるシーンです。自分自身ギャップのあるキャラクターが好きなのですが、先輩のギャップを魅力的に描けた部分かなと気に入っております。実際読者の声で先輩への人気が高いように感じたので、とても嬉しいです。

――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?

まずは設定から考えています。例えば『入らずの仏間』では、「お金を稼がざるを得ない境遇の主人公が怪奇現象に遭う」といったシンプルなところから考えていきました。

――よしむら香月さんの作品は、予想を裏切る展開の数々が非常に魅力的に感じました。普段作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?

とにかくギャップや急展開を意識しています。ギャップにおいてはキャラクターの性格を考えた後、デザインの際にわざと性格とズレが生じるように創ったり。展開においてはパッと思いついた展開をまずはボツにして、その後に思いついたものなどを採用するようにしています。

――今後の展望や目標をお教えください。

最近はSNSなどを活用した漫画の宣伝に注力していかないと、業界の中では生き残れないように思います。出版社の知名度や宣伝に頼り切ることなく、まずは自分が楽しみつつ、読者の方々にも楽しんでいただける作品をSNSや商業で発表していきたいと思っております。

――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!

読者の方々に読んでいただけるからこそ、楽しく漫画を描くことができています。いつも本当にありがとうございます。これからも一生懸命頑張っていきますので、楽しみにしていただければ幸いです。

怪奇現象に巻き込まれる男性を描いた『入らずの仏間』が怖すぎる…/(C)よしむら香月/COMICSMART INC.