シリーズ累計150万部を突破する人気シリーズ『暴食のベルセルク』がテレビアニメ化し、4日の25時30分から、TOKYO MXほかで放送スタート。命を奪った相手の能力を自らのものにする「暴食」スキルを持つ主人公、フェイト役を逢坂良太が演じる。逢坂は演じるキャラクターについて「本当にヒーローなのかという雰囲気を醸し出している」と一言。また、フェイトの相棒とも呼べる存在、グリードを演じる関智一との掛け合いについて「芝居していると感じて楽しい」と言葉にする。今回は本作の見どころに加えて、逢坂にとって相棒はどんな存在なのか、そして「小説家になろう」発の作品への印象について語ってもらった。

【写真】撮り下ろし! 階段下からこちらを見上げる逢坂良太

■“強奪”に近い暴食スキルに感じた新しさ

――最初に作品へ触れたときの印象を教えてください。

逢坂:倒した相手のスキルやステータスを自分のものにできるという、“強奪”に近い能力を持つフェイトが主人公という点にちょっとした新しさを感じました。そういった能力や世界観ゆえに、闇の部分が強く描かれている作品で、戦闘シーンも夜の描写が多く、本当にフェイト正義の味方なのかという雰囲気を醸し出しています。ただ、フェイト自身は何事も素直に受け止める真っすぐな青年なんです。そこも新鮮だなと思いました。

――過激な思想を持っていたり、何かとがった信念を持っていたりするダークヒーローではない。

逢坂:はい。彼はダークヒーローになりたくてなったわけではないんですよ。スキルがそういう性能だったから仕方なく、という部分はあったと思います。本当は、(作中に登場する聖騎士ロキシーたちと一緒に戦いたかったでしょうし、聖騎士になって彼女を表でも守れたらという気持ちもあったんじゃないかな。

――本作は小説投稿サイト「小説家になろう」で連載され、その後、GCノベルズやGCN文庫にて小説が刊行された作品が原作でもあります。

逢坂:そうですね。ただ、僕自身は「小説家になろう」発かどうかというのは気にしていなくて。誰でも投稿できるサイトゆえに、「素人の方が書いた作品でしょ」みたいに思う方がなかにはいらっしゃるかもしれませんが、コミカライズもアニメ化もされているんだから、それはもうプロの方が書いた作品ですよ。そこでの先入観は持たないようにしています。

関智一との共演は「すごく勉強になる」

――本作ではフェイトの相棒とも呼べる剣、グリード関智一)が登場します。グリードは読心スキルを持っており、剣でありながらフェイトと会話することができますよね。

逢坂:グリードは人じゃない物体なので、絵的には表情が分からないんです。それゆえに、演じる関さんの表現で彼の見え方も変わります。逆にいえば、自由に表現ができるキャラクターでもあるということ。僕は台本のセリフをストレートに受け取って表現しがちなのですが、関さんはわりと独特な表現の仕方でセリフをしゃべるんです。そのセリフを受けての掛け合いがすごく楽しくて。「いま、芝居しているな」って感じるんです。毎週のアフレコが楽しみで仕方ありません。

――掛け合ってみて改めて感じる関さんのお芝居の魅力は?

逢坂:関さんは、今まで培ってきた経験があるからこそ出せる表現をされているんですよね。役者としてすごく勉強になります。

――逢坂さんも声優としてキャリアを積んできていますが、まだまだ現場で学ぶことはたくさんある。

逢坂:そりゃ、もう! 恐らく関さんでも毎日勉強だと思っていらっしゃるんじゃないかな。いろいろな方が言っていますが、この業界って正解はないんです。アフレコでOKが出たからと言って、それが正解だったとは言えないんですよ。もちろん正解に近いものではあると思いますが、10人中10人が正解と思うとは限らないじゃないですか。誰もが完璧だと思うことって、なかなかないと思います。それはお芝居でも、アニメの作り方においても。

――時代が進むと、視聴者層も変化していきます。それに伴って、正解に近い表現の仕方も変わるものなのでしょうか。

逢坂:セリフ回し的なものが変わってきたように感じていますね。以前は基本的に絵と会話劇で表現していましたが、最近はモノローグなどで世界観の説明をすることが増えた気がします。これは、視聴者の方があまり考えなくてもどんな世界なのかつかめるようにするためかもしれません。ただ、説明セリフが入り過ぎるとテンポが悪くなる恐れがあるんですよね。良かれと思ってやったことが、むしろ世界観を壊しかねない。

――なるほど。

逢坂:本作では説明セリフが多くはないので、視聴者の方がすんなり世界観に溶け込めるような気がしますね。

■相棒はお互いを高め合える存在のこと

――逢坂さんにとって、グリードのような相棒と呼べる存在は?

逢坂:うーん、プライベートで友達はいても、相棒と呼べる存在はいないですね。

――友達と相棒は違いますよね。

逢坂:ぜんぜん違うと思います。相棒っていうのは、お互いを高め合える存在のことじゃないかな。フェイトグリードがまさにそうですよね。出会ったことによって、お互いが成長していく。そういう関係が相棒だと思います。

逢坂:そういう意味では、作品を作るなかで一緒になるキャストやスタッフさんは相棒と呼べるかもしれません。そういう気持ちでいないと、いいものは作れないと思いますし。ただ、プライベートでも彼らが相棒かと言われると、そうじゃない気がしていて。それくらい、相棒という存在は特別なものだと思います。

――では、相棒と呼べるくらい愛着があってずっと使っているものはありますか?

逢坂:わりと新しいもの好きなので、それもないんですよ(笑)。ずっと持っているものといえば、小学4年生のときにクリスマスプレゼントでもらった毛布くらいかなぁ。今は使っていないのですが、手元にはあります。「捨てる?」と聞かれたら、絶対に嫌と言えるくらいには愛着がありますね。

――最後に、改めて本作の見どころを教えてください。

逢坂:光よりも闇の部分が描かれている作品で、今までのライトノベル原作のアニメとは少し違う面白さを感じてもらえると思います。僕自身も本当に毎週新鮮な気持ちで収録させていただいていますね。(インタビュー時は)まだアフレコ途中ですが、きっと映像も音楽も僕らの芝居も含めて、素晴らしいものをお届けできる気がしているので、最後まで見ていただけたらうれしいです。

(取材・文:M.TOKU 写真:小川遼)

 テレビアニメ『暴食のベルセルク』は、4日よりTOKYO MXにて放送開始。

逢坂良太  クランクイン! 小川遼