アウトドアブームの昨今、山菜や野草を採取して楽しむ人が増えました。

しかし、食べられる植物の中には、毒草と見た目が似ているものもあり、採取する際は注意が必要です。

では、毒草と見た目が似ている食べられる植物にはどんなものがあり、見分けるにはどこに注目すればいいのでしょうか。

慣れていない人は特に注意しよう

山形県衛生研究所によると、毒があって食べられないものと見た目が似ている植物として、以下が挙げられるとのこと。

【要注意の毒草】

・ニラとスイセン(ニラと間違いやすい)

・ニリンソウとトリカブト(ニリンソウと間違いやすい)

ゴボウチョウセンアサガオゴボウと間違いやすい)

・オオバギボウシとバイケイソウ・コバイケイソウ(オオバギボウシと間違いやすい)

・セリとドクゼリ(セリと間違いやすい)

間違って毒のあるほうを採取してしまわないためには、見た目の特徴や見分けるポイントを理解する必要があります。

そこで、山形県衛生研究所が公開している、それぞれの植物の見分け方を紹介します。

ニラとスイセン

まずは、料理でもよく使うニラがこちらです。

続いて毒があるスイセンがこちら。食べることはできないので要注意です。

ニラとスイセンは見た目が似ているため、間違って毒のあるスイセンを採取し、食中毒になるケースが毎年起こっています。

見分けるポイントは、『葉に筋が通っているかどうか』『ニラ臭がするかどうか』です。

ニラは葉に筋が通っていませんが、スイセンは筋があります。また、ニラは独特のニラ臭がするのも特徴です。

採取する前には、葉をよく観察するとよいでしょう。

ニリンソウとトリカブト

続いて、ニリンソウとトリカブトも非常によく似ています。まずこちらがニリンソウです。

こちらが猛毒のあるトリカブトです。

トリカブトは、人を死に至らしめる強い毒を持つ草です。一方のニリンソウは毒はあるものの、湯がいて毒成分を抜くことでおいしく食べられる人気の山菜です。

この2つは葉の形も似ていますが、トリカブトは茎に葉が交互についており、ニリンソウは根本の1か所から茎が出て葉がついています。

また、ニリンソウは根が棒状、トリカブトは円錐型で、春に咲く白い花も見分けるポイント。

トリカブトはほかにもモミジガサ(シドケ)、ゲンノショウコ、ヨモギにも似ているので注意しましょう。

ニリンソウの葉と花

トリカブトの葉

また、トリカブトはニリンソウなどと混生していることがあります。

ゴボウとチョウセンアサガオ

有毒のチョウセンアサガオの太い根はゴボウに似ているため、ゴボウと勘違いして採取し、食中毒になるケースがあります。

こちらがゴボウです。

とてもよく似ていますが、こちらは毒を持つチョウセンアサガオです。

見分けるポイントとしては、根の側根(主根から枝分かれしている根)とひげ根が挙げられます。

チョウセンアサガオは側根とひげ根が多いのが特徴で、ゴボウにはありません。

オオバギボウシとバイケイソウ・コバイケイソウ

ウルイとも呼ばれるオオバギボウシと有毒のバイケイソウ・コバイケイソウは、芽が出てきた時の外見が似ているため間違われることが多い植物です。

同様の理由により、行者ニンニクと間違われることもあります。

オオバギボウシ

バイケイソウ

見分けるポイントはまず、葉脈です。オオバギボウシの葉脈は主脈から側脈が出ていますが、バイケイソウは葉脈が並行に走っているのが特徴。

また、葉の裏側を見ると、バイケイソウには細かい白い毛が生えています。オオバギボウシにはこの白い毛はありません。

こちらがオオバギボウシの葉です。

バイケイソウの葉がこちら。とてもよく似ていますね。

ほかにも、オオバギボウシは成長すると長い柄がありますが、バイケイソウはありません。これも見分けるポイントです。

セリとドクゼリ

セリとドクゼリも見た目が似ています。こちらがセリです。

こちらはドクゼリ。比較すると、ワサビとも似ています。

葉の形が似ているので、一見すると見分けが困難ですが、根が見分けるポイントです。

セリの根は糸のように細いのですが、ドクゼリは太く、内部に節があります。

セリやワサビを採取する際は、ドクゼリと間違わないよう必ず根の形や断面をチェックしましょう。

山形県衛生研究所をはじめ、各都道府県の衛生研究所では、採取に注意が必要な植物をウェブサイトで公開しています。

食用と区別がつかない植物は「採らない、食べない、売らない、人にあげない」が原則です。万が一の事態を避けるためにも、野草と毒草の見分け方を覚えておくといいですね。

山形県衛生研究所


[文/デジタル・コンテンツ・パブリッシング・構成/grape編集部]

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