明暗が分かれた韓国(左)と台湾(右)。彼らの差となったのは、諦めない姿勢だった。(C)Getty Images

 スポーツの難しさを物語るワンシーンが反響を呼んでいる。中国・杭州を舞台に連日のように熱戦が続くアジア大会で話題となったのは、現地10月2日に実施された男子ローラスケートの3000mリレー決勝だ。

 まさに刹那の出来事だった。

【写真】0.01秒の油断…韓国ローラースケート代表が敗れた決定的瞬間

 先頭を走ってきた韓国は、最終走者のチョン・チョルウォンが、ゴールの手前で勝利を確信。金メダル、ひいては兵役免除の権利を得られるとあって、会心のガッツポーズを披露。そんな27歳がスピードを緩めた瞬間だった。背後から猛然と追い上げていた台湾のファン・ユーリンが抜き、逆転優勝を飾ったのだ。

 最後は左足を伸ばしてゴールラインに触れたファン・ユーリンの諦めない姿勢が実る形となった。ちなみに両チームの差はわずか0.01秒。奇跡と呼ぶにふさわしい展開だった。

 もっとも、レース後に大きくクローズアップされたのは、ゴール手前で“気を抜いた”チョン・チョルウォンだった。涙ながらに「自分が油断をして、最後までローラーに乗らないという言い訳のできないミスを犯した」と釈明。悲痛な胸の内を明かしたが、国外メディアからも嘆きの声が飛び交っている。

 勝者となった台湾のニュース局『SETN』は「韓国の選手たちは祝うのがあまりに早急すぎた。ゴールを目前にして太極旗を掲げて喜んだ彼らは、結果を知り、呆然とするしかなかった。失意の涙は当然だろう」とレース直後に号泣したライバルたちの様子を伝えた。

 また、台湾の国営通信社『中央通信』は「韓国の早すぎる祝賀会」とチョン・チョルウォンらの行動に皮肉。そのうえで「レースが終わる最後の瞬間まで諦めず、土壇場で足を伸ばし、0.01秒だけ相手より早くゴールしたファン・ユーリン。この金メダルは彼の努力に対して天から贈り物だ」と母国代表の走りを絶賛した。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

韓国の「早すぎる祝賀会」に嘆きの声止まず ローラースケートの奇跡に台湾メディアも驚嘆「天からの贈り物」【アジア大会】