最近は秋広との師弟コンビも注目を集めている中田(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 原辰徳監督の退任で揺れるチームにさらなる衝撃だ。

 チームは10月4日に行われたDeNA戦(東京ドーム)で今季の全日程が終了。今季限りの退任が決まった原監督が試合を見守る中、先発の山崎伊織が2安打完封で節目の10勝目を飾った。試合後は最終戦のセレモニーの中で阿部慎之助新監督の就任が正式に発表されるなど、すでに新体制に向け動き出した。

【動画】今季限りの退任が決まった原監督はシーズン最終戦を勝利で飾り、パンと手をたたいた

 一方、今やチームの主力として存在感を発揮している中田翔内野手が、今オフに海外FA権を行使する可能性が浮上していると5日付の「スポーツ報知」が報じた。

 中田は昨オフに球団と3年契約を結んでいるが選手側が1年ごとに契約の見直しや破棄ができるオプトアウトの条項がついているという。

 日本ハム時代の2021年に不祥事を起こし、同年8月に無償トレードで巨人に加入。慣れるまでに時間もかかったが、次第に本領を発揮。移籍2年目の22年シーズンは一時4番を務めるなど、チームを支えた。

 今季は92試合に出場して打率・255、15本塁打、37打点。開幕からクリーンアップを務め、一時はリーグトップの本塁打を放つなど好調だったが、5月に試合中のプレーにより右太もも裏の肉離れを発症し離脱。その後はコンディション不良の影響などもあり、シーズン後半は出場機会を減らしていた。

 中田にとっては切実な事情もある。チームでは9月7日ヤクルト戦から坂本勇人が遊撃から三塁コンバートという大きな動きがあった。それに伴って岡本和真が一塁に定着。この流れは来季も続きそうで、名一塁手としても過去にゴールデン・グラブを複数回受賞している中田が「働き場所」を求めて、宣言してもおかしくはない状況となっている。

 また、仮に中田が宣言となれば、獲得に動く球団も出てきそうだ。過去3度の打点王に輝き、34歳シーズンとなった今季も再び登録された、9月15日の中日戦(バンテリンドーム)で1試合2発を放つなど、衰えぬパワーを示した。

 さらに中田といえば、今季急成長を果たした秋広優人の育成に一役買ったことも評価されている。元々兄貴肌で面倒見の良さで知られていたが、秋広に関してはともに自主トレを行う中で、体を大きくする大切さ、打撃論なども伝え、新55番の覚醒をサポート。

 そういった点を踏まえると、今季ともに最下位に沈んだ中日、日本ハムなどは「若手が多い」「中軸を任せられる勝負強いバッターを必要としている」という点で、補強ポイントとも合致する。

 特に立浪和義監督の続投が決まった中日では、今季は現役ドラフト組の細川成也が気を吐いたが、まだまだ成長が必要な若手が多く、強打の右打者として球界を代表するキャリアを積んできた中田に学ぶことも多そうだ。

 古巣の日本ハムは移籍したときの経緯もあり、獲得に乗り出すかは不透明だが、こちらも続投が決まった新庄剛志監督は自身3年目のシーズンとなる来季の目標に優勝を掲げている。今季、本塁打王争いをくり広げた万波中正など将来が楽しみな若いバッターは多いが、しっかりと打点を稼げるベテランも勝利のために欲しいところではある。

 中田にとっても当然、巨人は問題を起こした後に声をかけてくれた恩義ある球団でもある。一方、来季はプロ17年目、35歳シーズンとなることで、キャリアをどう終えるのか、思いをはせても不思議ではない。

 巨人でもすっかり「大将」キャラが定着、多くの後輩から慕われる中田は果たして今オフ、どんな決断を下すのか。一躍注目の存在となりそうだ。 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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