並外れた推理力や洞察力を持つ敏腕刑事・天草那月(増田貴久)と、殺人犯を見抜く“眼”を持つ高校生・四鬼夕也(浮所飛貴)。そんなふたりがバディを組み、様々な難事件に挑む『WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ ギフテッド Season2』に中山優馬が出演。Season2のキーパーソンであり、天草や四鬼を翻弄する謎の探偵・八雲穂積を演じる。ある事件をきっかけに天草たちと関わっていく八雲だが、彼にはどうやら大きな秘密があるようで……。まだ撮影が続く時期に、中山から話を聞いた。

“巻き込んでいく側”の悪役を演じてみたかった

──中山さん演じる八雲穂積は、いわば“悪役”ですね。

中山 八雲には裏の顔があり、やがて天草たちの敵となっていくんですが、個人的には悪役にキャスティングしていただけて嬉しかったです。「嫌われたい~!」って(笑)。脚本でも第1話から悪役感がかなり出ていて、エンジンをふかし気味ですし。悪役というと、大抵は“巻き込んでいく側”じゃないですか。巻き込まれる主人公に対し、仕掛けて巻き込む悪役がいる。その巻き込む側を演じたかったので、撮影していても楽しいです。

──中山さんは常々ロジカルな役作りをなさってきました。

中山 それは今回も変わらないです。八雲は“闇の眼”という特殊な能力を持つ役なので、ファンタジックな設定に対してのアプローチが必要。そこを何となく演じちゃうと、ふわっとしてしまうんですよね。そうならないよう、台本以前の彼の人生を自分の中に落とし込むようにしました。生まれ持った能力があり、現在に至るまで向き合ってきた彼が幼少期をどう過ごしたのか、家族構成はどうなのかといったところを台本からピックアップし、分岐点を探っていったんです。

現在の八雲は自分の力を悪用していると言えますが、彼としては目的のために突き進んでいるだけ。自分なりの正義を見つけ、正義を守ろうとしている彼の意思を明確にしていきました。

──八雲は虎視眈々と巧妙に、天草や四鬼に近づいていきます。

中山 それが彼の魅力でもあると思います。好奇心と行動力がある上に、計画性もあって頭がいい。持って生まれたファイターの精神が滲み出ているんでしょうね。決してサイコパスな殺人鬼などではなく、ちゃんと人間ですし。過去のトラウマやコンプレックスを抱えながら進んでいく中で、犠牲者が出ても構わないという気持ちなんだと思います。

──第1話で早速、天草と対峙するシーンがありますね。

中山 クランクイン初日に撮りました。あそこは自分でも面白いシーンだなと思っていて。ふたりのファーストコンタクトでもありますし、お互いにお手並み拝見といった気持ちで構えている。面白い会話のやり取りが続く中、予想していた以上に白熱した探り合いのシーンになったので楽しかったです。

増田くんの威圧感がすごかったですね。もちろん、天草としてですよ(笑)。普段の増田くん自身はすごく可愛らしい先輩なので。

浮所くんは真っ直ぐ飛んでくるエネルギーがすごくて

──増田さんとの共演はいかがですか?

中山 シリアスなシーンでも、増田くんの温かい人柄のおかげで現場がシリアスになり過ぎることはなく。猛暑の中を朝から晩まで撮影しているわけですが、「コンビニに行ったついでだから」と言って、袋いっぱいに冷たいドリンクを買ってきてくれたりもするんです。そういうところがすごいですよね。現場を盛り上げて、沈ませない素敵な主演俳優さんです。

──一方、四鬼と八雲は興味深い関係ですね。

中山 四鬼と八雲の立ち位置はすごく似ているんです。ふたりとも、特殊な能力を持って生まれてしまったわけで。それが悲劇でもあり、それぞれの運命を変えることにもなる。生い立ちが似ている分、ある種の共感性が彼らの中にはあるんですよね。

そこに訴えかけられるかどうかで、最大の理解者になるか、最大のライバルになるか。感情がぶつかり合うシーンもあるんですが、浮所くんは若いから、真っ直ぐ飛んでくるエネルギーがすごくて。その迷いのなさが役柄にぴったりだなと思いました。

純粋なものって、向けられると苦しいじゃないですか。その苦しさを感じましたね。子犬に睨まれたみたいに(笑)。

──これまでに浮所さんとの交流は?

中山 共演はもちろん、絡んだこともほぼなくて。でも、浮所くんは僕を見るなりバ~ッと駆け寄ってきて、「イケメンですね!」って。すごい距離の縮め方だなと思いました(笑)。愛され体質ですね。

──イケメンの中でも特に、八雲役では中山さんの力強い目がポイントになりそうです。

中山 昔から目が印象的だとよく言っていただいていますが、それを使うときがついに来たかと。ここで生かせなかったらダメだなと思ってやっています(笑)。

──“闇の眼”で人を操るシーンはどのように?

中山 もちろん実際には操れませんから、役者同士の表現力が重要になってきますよね。どんな仕上がりになるのか、僕も楽しみにしています。撮影自体は、目に寄ったカットを撮っていただくことも多くて。(カメラが)近いなあと(笑)。

当初からその予定だったのかは分かりませんが、ちょっとした目の表現があるカットを撮ったとき、監督から「今の感じがよかったから、それを生かしていこう」と言っていただいて。特に目のケアなどはしていませんが(笑)、とりあえずコンタクトはせずに頑張っています。

表現したいことや自分の思いを全て出したら、それはもう失敗

──本作は中山さんにとって、20代最後の年の作品でもありますね。

中山 自分ではあまり意識していませんが、反省点を教えてくれる作品が増えてきたことは実感しています。例えば、僕が初めてWOWOWのドラマに出演した『連続ドラマW 北斗 -ある殺人者の回心-』ですが、あのときの自分にできなくて今の自分にできることは少なからずあって。

と同時に、あのときにしか表現できなかった空間、時間もありますが、当時はできなかったことを今こそやろうという気持ちは常にあります。同じミスは繰り返したくないですし。

──当時の中山さんと現在の中山さんの間に、例えばどんな変化が?

中山 考える力がついたと思います。それを画角の中でどれだけ表現できるかと言われたら、何もできない可能性もあるんですけど。そこに向かうまでの準備が、昔より多くできている気はしています。

──となると、カメラの前ではどのような試みを?

中山 言い方が難しいんですが、“捨てていきます”。余分なものをなるべく捨てていく。表現したいことや自分の思いを全て出したら、それはもう失敗なんです。役の立ち位置もあるし、作品の中で求められていることを僕は全うすべきであって。そのためには、持っていてもいいけど使う必要はない考えを見極め、省いていかなきゃいけない。

──でも、“捨てる”には相当な思い切りが必要ですよね。

中山 そうですね。例えば、監督に「もう少し笑ってほしい」と言われたら、次の本番までに“なぜ、もう少し口角が上がるのか?”のロジックを組み立て直します。さっきのテイクで笑っていたのが誰かの顔を思い出したからだとしたら、“その顔をより明確に思い出して脳内のパワーバランスを大きくしてみよう。そうすれば口角もより上がるだろう”というように。その組み立ての中で広がったものを、(カメラの前では)思い切って捨てます。

──そうすることで、リアリティも生まれるわけですね。

中山 僕自身、このドラマの魅力のひとつはリアリティだと思っていて。特殊な能力という設定だけ聞くとエンタメ性が強いのかなと思われるかもしれませんが、蓋を開けてみたらリアリティが流れている。人の生き死にを扱うリアルな物語に、特殊な能力という違和感が絶妙に絡んでくるんですよね。

だからこそ、1話30分がもっと短く感じられるくらい、物語にどんどん引き込まれていく。伏線もいろんなところに隠されていますから、毎週見逃さずに回収していってほしいです。

取材・文:渡邉ひかる

<番組情報>
WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ  ギフテッド Season2』

10月14日(土) 放送・配信スタート

WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ  ギフテッド Season2』ポスタービジュアル

【放送】毎週土曜午後10:00(全8話) ※第1話無料放送
WOWOWプライム・WOWOW4K

【配信】各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信[無料トライアル実施中]
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中山優馬