10月1日、電子楽器メーカー・Rolandが日本初の直営店『Roland Store Tokyo』をオープンした。店舗を構えたのは東京・裏原宿のキャットストリート沿いで、音楽・ファッション・アートなどさまざまなカルチャーの発信地となっているこの場所に、創業50年以上の歴史を持つ老舗が満を持して参入した。

 今回、リアルサウンドテック編集部はオープン前日におこなわれたメディア向けの説明会に参加した。本稿ではRoland代表取締役社長のゴードン・レイゾン氏が語った出店への思い、店舗の様子をお伝えする。

【画像】楽器演奏者はもちろん、そうでない人でもきっと楽しめる エフェクターのタッチ&トライコーナー

楽器演奏者はぜひ一度足を運ぶべき 音色の変化をその場で確認できるエフェクター展示

 『Roland Store Tokyo』は地下1階~2階の全3フロアで構成された店舗で、地下1階にエフェクター電子ドラム、1階にシンセサイザーオーディオインターフェースとアパレル、2階に電子ピアノがそれぞれ並んでいる。

 もちろん、それぞれの製品は実際に触って試奏することが可能で、種類も豊富なので触っているだけでも楽しい。とくに、地下にあるエフェクターのコーナーはギターやベースを弾く人間であれば必見だ。

 地下に足を踏み入れると、眼前に広がるのはエフェクターが大量に並べられた大きな什器。それぞれのエフェクターは、タブレットでサンプル演奏の音を流して音色をその場で確認することができる。ディレイやトレモロ、フランジャーなどのコンパクト・エフェクターから足元に配置されているマルチ・エフェクターまで、多種多様なエフェクターが触りたい放題だ。

「わざわざ店員に声をかけて試奏するほどでもないけれど、軽く使い勝手を確認したい、気兼ねなく試したい」
「けど、あんまりそういう場所もないし、YouTubeでレビュー動画を観ようかな」

 そんな風に思ったことのある方は、きっと多いはず。タブレットから流れるサンプル演奏も、コードやリードギターなどいくつかのスタイルから選択できるので、パワーコードとドライブ、リードとディレイなど、実際の演奏シーンを想定して存分に試すことが可能だ。もちろん、実際に楽器を試奏しながら試せるスペースもあるので、自分で弾いて確認したいという方も安心してほしい。

 1階にはリズムマシンやウィンシンセ、サンプラーなどさまざまな機材が並ぶ。こちらももちろん実際に試奏が可能で、Rolandの名機が目白押し。9月28日に発表されたばかりの『GAIA 2』も展示されており、発売日に先駆けて触ることができるのはメーカー直営店ならではだ。

 地下と1階は黒を基調にどこかサイバーな雰囲気がただよっていたが、2階はうってかわって落ち着いた木目中心のフロア。ここにはRolandが開発したさまざまな種類の電子ピアノが展示されている。

 とりわけ目を引くのは、グランドピアノ型の電子ピアノ。鍵盤のタッチ感や全体の質感はまさにグランドピアノそのものだが、よくよく見てみるとピアノの弦が張られている位置からはスピーカーが顔を覗かせている。音色や音量の変更も各ボタンで操作する、れっきとした電子ピアノだ。

■なぜ原宿に出店? Rolandが向けるカルチャーへのまなざし

 地下フロアでおこなわれた説明会では、Roland代表取締役社長のゴードン・レイゾン氏が出店に向けての思いを語った。一部を抜粋して紹介する。

「ようこそ、『Roland Store Tokyo』へ。この店舗は、昨年オープンしたロンドンの店舗につづき、2店舗目のRoland直営店です。

 この店舗に立つスタッフは、商品や製品のデザインに詳しく、音楽との繋がりを世界に届けようという情熱を持つ人たちばかりです。Rolandのファンはもちろん、ミュージシャンでない人たちも含め、すべての人たちを歓迎します。

 よく質問されるのですが、なぜ原宿に店舗を構えたのか? それは、原宿という街が創造性や文化との繋がりにあふれた土地だからです。楽器の演奏経験や年齢、国籍にかかわらず、非常に創造性にあふれた街だと考えています。

 あらためて、みなさんを歓迎いたします。ぜひいつでも店舗に足を運んでください」

 その後におこなわれたQ&Aセッションでは、店舗でのイベントやライブ、ワークショップなども計画していることが明かされた。実際に楽器に触れ、発売前の新製品なども直接チェックすることができる『Roland Store Tokyo』。楽器を演奏する人はもちろん、そうでない人でもふらっと立ち寄って音を楽しむ、電子楽器に触れてみるだけでもきっと楽しいだろう。ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

(文・取材=三沢光汰)

『Roland Store Tokyo』