『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ

ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では「自身のスタイルについて」語った。

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★今週のひと言「呂布カルマはキャラなのか。ブレないスタイルの理由」

呂布カルマといえば、オールバックサングラス、そして柄シャツのイメージだろう。

これは僕が「呂布カルマ」と名乗り、ラッパーとして活動し始めるより以前、大学4年生の頃からずっと変わらない。

ひとつひとつの要素にルーツや理由はあるのだが、それは今までに各所で散々言葉にしてきたし、どれも特別なことではない。

読者の中にも学生の頃や、あるいは若かりし頃、今では黒歴史としてふたをしてしまいたくなるような格好をしてしまっていた瞬間がきっとあるはずだ。

そこから時に大胆に、時に繊細な微調整を加え、現在のスタイルにたどり着き、なんならこの先も経年による自らの変化やトレンドの影響などにより変化を繰り返し、最終的には縁日や病院の待ち合いにたむろする全部同じような老人ルックに落ち着いていくのかもしれない。

僕も同じように大学生の頃、つまり高校生までの校則と制服による抑圧から解放され、初めてファッションの自由を許されて最初に選んだスタイル......をいまだに続けているのだ。そしてこの先も大きくそれは変わることなく、晴れの舞台では柄シャツにオールバックサングラス姿で「素行の悪いタモリ」みたいな老人になっていくのであろう。

僕にはもともと大学時代の同級生だった同い年の妻がいる。彼女はごくまともな女性なので、それなりにその時々のトレンドに左右され、髪型や化粧も時代とともに変化しているので、ふたりの思い出の写真なんかを見返すと、時期によってスタイルの変遷がある。

一方、隣に写る僕は、20年何も変わらない。ひとりだけタイムカプセルにでも入っていたかのように、これが先月の写真なのか、はたまた15年前の写真なのか見分けがつかないほどだ。

それは面白くもあり、同時につまらなくもある。本人にとっては恥ずかしくて忘れてしまいたくなるような、とっくに過ぎ去った流行に染まった姿も、一周すれば懐かしくネタになったりもする。しかし、僕にはそれがない。

あるのはどれを見ても「変わらね」という笑いだけだ。

また、何十年も変わらない決まったスタイルでいることは、一見こだわりが強いように感じるかもしれない。しかし、実際はヘアスタイルやファッションにこれっぽっちの興味もないのだ。

たまたま最初に選んだスタイル、しかも父親の影響を受けているので、自分で模索したというよりは、似合うに決まっているスタイルを引き継ぎ、そのままそれ以上の影響を受けずに今に至っているに過ぎない。

自分がラッパーとして地元で活動し始めた2000年代中期のクラブはB-BOYファッション全盛で、皆オーバーサイズのスポーツウエアにキャップやドゥーラグ姿だった。その中、今と変わらないチンピラスタイルだった自分は、さぞ目立っていたことだろう。

人と違うことを重視していた自分にとっては、それも好都合だったのだ。

キャリアを重ね、ある程度街で顔を指されるようになってからは、人目を避けるためプライベートではおとなしい格好をしてオールバックにもしなくなった。

それにより「呂布カルマはキャラを作って演じている」などと指摘されることもあるが、まるで逆だ。僕は今、呂布カルマとして人前に出るときだけ本来の姿に戻っているのだ。

●呂布カルマ(Ryoff Karma) 
1983年1月7日生まれ、兵庫県出身。名古屋市在住。JET CITY PEOPLE代表。ラッパーとして活躍する一方、グラビアディガー、コメンテーターとしても異彩を放つ。 
公式X(旧Twitter)【@Yakamashiwa

撮影/田中智久

『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ