生まれ持った家庭環境が、子供に与える影響は計り知れない。何不自由なく、愛情たっぷりに子供を育てる親がいる一方で、過干渉や暴言、暴力などで子供を思い通りに支配したり、自己愛が強く子供を構わない「毒親」と呼ばれる親も多い。

【漫画】毒親と同じ苗字を捨てることに成功した!

そんな「毒親」だった両親と、分籍・住民票閲覧制限で絶縁したことをきっかけに「そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~」「こんな家族なら、いらない。」などの漫画を執筆した、漫画家・尾添椿が、毒親による“虐待”を受けた子供たちのリアルを徹底取材。

実際に、虐待を受けて育った子供たちは、どのような人生を歩んでいるのか―。著者の取材後記を踏まえ、本記事を「それって、愛情ですか?」と題してお送りする。今回は、毒親と同じ苗字を捨て、新しい名で歩んでいる一人の女性のエピソード。

※この記事には不快に感じる可能性のある描写が含まれます。ご了承のうえ、お読みください。

――いちかさんを取材してみていかがでしたか?

いちかさんは、虐待を理由に改姓した大変珍しいエピソードを持っている方でした。明るく真面目ないちかさんが『苗字を変えた!』と報告をしてきたときは耳を疑いました。話を聞き、私のほうから『漫画にさせてほしい』とお願いしたんです。必要なくなった子供にはモノ以下の扱いと言葉を投げかけることが、毒になる人の共通点だと思いましたね」

――このエピソードを通して、伝えたいメッセージとは?

いちかさんが受けた虐待は、私が見聞きした中で最も卑劣で、家庭・親族間で起きる関係も最悪を極めていました。自力で立て直し、苗字を捨てる選択ができたいちかさんには、尊敬の念を抱いています。親と同じ名前も名乗りたくない人にとって、いちかさんの体験は希望になると思って描きました。続きもぜひ読んでいただけたらと思います」

過去を乗り越えて今を生きるすべての人に、明るい未来が待っていることを願いたい。

「それって、愛情ですか?」いちかさんの場合~前編~より/漫画=尾添椿