国立感染症研究所が、のどの痛みや40度を超える発熱などの症状が出る「プール熱(=咽頭結膜熱)」の患者数が過去10年で最も多くなっていると発表しました。子どもが感染しやすい病気で、大阪、福岡で警報レベルに達し、沖縄では流行警報が発令されました。そこで、「プール熱」に感染する原因や罹患(りかん)した時の対処法、インフルエンザとの違いなどについて、内科・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

アルコール消毒が効かず、大人も感染する

Q.プール熱=咽頭結膜熱とは、どのような病気なのでしょうか。
市原さん「夏風邪の一種で、アデノウイルスの感染により、高熱や咽頭痛、結膜炎などをきたす病気です。症状は数日から1週間程度で治まります。小児に多く見られる病気ですが、大人にも感染することがあります」

Q.プール熱はインフルエンザの症状と似ているとされているようです。症状で異なる点などはありますか。今年はインフルエンザも流行中ですが合併症なども考えられるのでしょうか?

市原さん「高熱や咽頭痛などインフルエンザと症状が似ています。異なる点は、結膜炎(目の充血)、めやに、涙が多くなるなどの目の症状を伴うことが多いことです。プール熱に限ったことではなく高熱を伴う風邪のときに起こりうる合併症として、熱性けいれん(小児)、髄膜炎、脳炎、肺炎などが挙げられます」

Q.感染する原因はなんなのでしょうか。

市原さん「飛沫感染やタオルの使い回しといった接触感染です。プールの水を介して感染が拡大することがあります」

Q.予防法はありますか。

市原さん「アルコール消毒が効きにくいため、石けんによる手洗いをしっかりとすることです」

Q.もし感染した場合はどうすればいいのでしょうか。薬を飲んで治療するのでしょうか。

市原さん「プール熱に有効な薬はありません。高熱には解熱剤など、症状に対する対症療法を施します。子供の場合は、高熱で元気がない、水分や食事がうまくとれない、いつもと様子が違う時は医療機関を受診するべきです。コロナ禍以降、風邪症状で医療機関を受診するときは事前に連絡することが推奨されています」

Q.過去10年間で最多の水準といわれていますが、なぜここまで増えているのでしょうか。考えられる理由がありましたら、教えてください。

市原さん「子どもの免疫力が、マスクや消毒を徹底していたコロナ禍の影響により下がっていることが考えられます」

オトナンサー編集部

「プール熱」の対処法とは?