シロさんとケンジが帰ってくる…! よしながふみによる人気漫画を西島秀俊内野聖陽でドラマ化した『きのう何食べた? season2』がいよいよ10月6日より放送となる。料理上手の弁護士・筧史朗(通称・シロさん)と、その恋人で人当たりの良い美容師の矢吹賢ニ(通称・ケンジ)の暮らしを毎日の食を通して描く本シリーズ。2019年放送のseason1からシロさん&ケンジのカップルとして一緒に時を過ごしてきた西島と内野を直撃すると、ニコニコとした笑顔が止まらず息ぴったり。season2でアラフィフに突入したキャラクターを演じた二人が、シロさん&ケンジと年齢を重ねていける喜びや、お互いへの信頼感を明かした。

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◼︎「西島さんと目を合わせた瞬間に、ケンジになれる」

――2019年放送のseason1、2021年公開の劇場版に続き、このたびseason2が放送となります。制作が決定したときのお気持ちはいかがでしたか? またシロさんとケンジの感覚はすぐに戻ってきましたでしょうか。

内野:「やるんだろうな」と予想していた部分もありました。僕もそうですが、特に西島さんはものすごくseason2をやりたがっていらっしゃいましたので、「ついに来たか!」という感じですね(笑)。シロさんとケンジの関係性については、西島さんと目を合わせた瞬間にケンジになれるところがありますので、一瞬にしてその感覚を取り戻すことができました。

西島:僕はずっと「season2をやりたい」と言っていました。ただ若手もどんどん成長して、すごいキャストが集まっている作品でもありますので、現実問題として「無理なんじゃないかな…」と思うところもあって。プロデューサーやスタッフの皆さんが、同じチームでやれるように尽力してくださったからこそクランクインできました。本当に感謝しています。僕も内野さんと同じで、一瞬にして史朗に戻れました。つい昨日まで撮っていたかのように、まったく同じセットが用意されていたことも大きいと思います。

内野:それは大きいですね。二人が食事をするマンションの部屋も、まるっきり変わっていませんでしたから。またスタッフさんも、ほぼこれまでのメンバーと一緒にやらせていただいているので、そこにこれまでと同じ空気感があるんです。和やかな中にもテキパキとした雰囲気と言いますか、みんなが「何食べ」の世界観を愛している空気があるので、僕も気負わずにスッとその環境に入っていくことができました。

――「続編をやりたい」と望まれていたとのこと。それほどまでに本シリーズに惹かれるのは、どのような理由からでしょうか。

西島:一番は、観てくださった皆さんの反響のおかげです。街を歩いていても「大好きです。続編もありますか?」と声をかけていただくこともありますし、同業者から「続きを楽しみにしています」と言っていただくことも多い。応援してくださっている方々の熱意を感じられると、やっぱり「またやりたいな」と思います。それに実際、演じている僕たち自身もとても楽しくて、やりがいがあるんですね。スタッフが楽しんでいるのも伝わるし、そういう意味でも僕たちにとってとても大切な作品だなと思っています。

内野:一つには、「なぜここまで支持していただけるんだろう」と僕自身も興味があるからです。マッチョなキャラクターを演じる機会が多かった僕にとって、本シリーズのケンジという役は初めてに近い状態で。ケンジを演じたことによって、表現者として自由になれたところがあります。それまでは、自分の中で“男子たるものはこうあるべき”とか“男らしさとは”といったその時代に反映された価値観が大きかった感じがするんです。ケンジを通して自由になれたことは、僕にとってとても面白い経験でした。だったらとことんやってみようという気持ちがあります。

◼︎「内野さんなしでは、このドラマは考えられない」


――お二人の演じるシロさんとケンジの間に流れる空気感がとても心地良いことが、人気の秘訣だと思います。改めて、お互いが相手役で良かったなと思うことについて教えてください。

西島:内野さんは、全身全霊を込めて役に向かう方なので、いつも「こういう方が相手役でよかったな」と思っています。内野さんの役への向かい方を見て、僕もそうだし、現場の俳優全員が「役にはこうやって向かうものなんだ」と引っ張ってもらっています。

内野:そうなんですか?(照)

西島:どれだけ役にのめり込めるのかということを、内野さんが誰よりも現場で体現してくれています。内野さんなしに、このドラマは考えられません。

内野:なんだかズルいな…(照)。

西島:本当のことですから! 内野さんが現場に「おはようございます!」と入ってくると、温度が二度くらい上がりますからね。全体のテンションが上がって、想像もしなかったようなことが起きたりもする。ものすごくストイックですしね。

内野:昔から「暑苦しい」とよく言われております(笑)。ストイックというか、きっと日常を現場に持ち込まないように、「おはようございます!」と切り替えるようにして入ってきているんだと思います。僕は激情型なタイプなんですが、西島さんはとても理知的な方。現場で不測の事態があった際には、西島さんが「それだったらこうすればいいんじゃないか」と非常に冷静にその場をまとめてくれます。それは僕には絶対にないもので、ものすごく頼もしいですし、いつも助けていただいています。

◼︎シロさん&ケンジと一緒に年齢を重ねていける喜びとは?


――season2では、アラフィフに突入したシロさんとケンジの日々が描かれていきます。シリーズのファンの方の中には、彼らと年齢を重ねていけることに喜びを感じている人も多いことと思いますが、お二人にとってもそういった気持ちはありますか?

内野:そうなんですよね、年を取っていくドラマなんです(笑)。人間って人生経験を積み重ねながら、劣化していくところもあれば、成長していくところもある。そういったものすべてを取り込んでしまっているドラマなんですね。だからこそ僕自身も見栄を張ることなく、「シワが増えたな」「シミが増えたな」というものも取り込んでいいんだと思うと、ホッとするところもあって。「皆さんも年を取るでしょう? 我々も取るんですよ」といった感じです(笑)。

そして、西島さんも一緒に年を取られていく。撮影がハードになってきて「辛いな」と感じてふっと隣を見ると、「西島さんもハードそうにしているな」と思ったりして。時の流れを共有している安心感がある。そうはいっても西島さんは美しい方なので、ジェラシーすら感じる瞬間もたくさんありますが(笑)、ゆったりと経年を受け入れていくという状況は一緒。なんだか一緒に年を取っていくドラマというのは不思議だし、それもいいものだなと思っています。

西島:season2では史朗とケンジが、アラフィフになっています。実際の僕たちよりは少し年下なので、ちょっと前に自分が経験したり、実感していることを、まさに史朗とケンジが直面していくわけです。この原作は、人生においてみんながぶつかるような壁についても描いていて、それをささやかな日常の幸せで乗り越えていくというお話なので、その中ではどうしても厳しい現実も映し出されていきます。それは僕にとっても、まったく他人事には思えない。「わかる」「本当にそうだよな」と思うことばかりで、共感もするし、胸に迫るものもたくさんあります。それを演じられるというのはやりがいもありますし、いくらでもそれを繊細に表現していけるというのは、この作品の特別なところだなと感じています。

――season2で、「パワーアップしているな」と思うところを教えてください。

西島:ケンジの優しさがパワーアップしています。ちょっと具体的なシーンについては言えませんが、「こんなステキなことをやられたら、この人のことを一生大事にしたいと考えるよな…」と思うくらい、ケンジの素晴らしさが表れている場面があります。

内野:シロさんって愛の表現が苦手だったりもするんですが、裏では「これを買っていったらケンジが喜ぶだろうな」とかやさしい心の声の多い人。season2も、「これは観る方のハートをつかむな。シロさんの人気、爆上がりするじゃん!」と感じるような脚本でした。そう思うくらい、シロさんのケンジへの想い、愛は確実にパワーアップしています!

(取材・文:成田おり枝)

 ドラマ『きのう何食べた?season2』は、テレビ東京系にて10月6日より毎週金曜24時12分放送。

『きのう何食べた? season2』メインビジュアル (C)「きのう何食べた? season2」製作委員会 (C)よしながふみ/講談社