ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)のギャレス・エドワーズ監督と、『TENET テネット』(20)で主演を務めたジョン・デヴィッドワシントン、日本を代表する俳優の渡辺謙という豪華な顔合わせによるSFアクション超大作映画『ザ・クリエイター/創造者』(10月20日公開)。「今年の最高の映画であり、過去最高のSF映画」「オスカーに値する」といった声も挙がっているなか、一際注目を集めているのが、物語の鍵を握る超進化型AIの少女、アルフィー役を演じた天才子役、マデリン・ユナ・ヴォイルズだ。

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物語の舞台は、いまからそう遠くない近未来で、人類とAIの戦争が激化した世界。元特殊部隊ジョシュア(ワシントン)は、人類を滅ぼす兵器を創りだした“クリエイター”暗殺の命を受け向かった先で、ヴォイルズ演じる純粋無垢な超進化型AIの少女アルフィーと出会う。暗殺対象だったはずのアルフィーだが、ジョシュアは“ある理由”から、彼女を守りぬくと誓い行動を共にする。やがて、人間のジョシュアとAIのアルフィーの間に見えない絆が芽生えていく。

本作はエドワーズ監督の手により生みだされた、種別を超えた近未来で繰り広げられる愛の物語。その最も重要といっても過言ではない役どころを繊細に演じきり、観客たちの心を大きく揺さぶっているのがヴォイルズだ。彼女の演技には早くも絶賛の声が相次ぎ、「マデリン・ユナ・ヴォイルズは絶対的なスターで、オスカーに名を連ねるべきだ」といったオスカー受賞を有力視する声も挙がっている。

実は本作がスクリーンデビュー作となった彼女。エドワーズ監督は何百人もの候補のなかで、彼女にしかない魅力を一瞬で感じ取ったという。「世界中の何百人もの子どもたちからテープが送られてきました。そのなかから最初にオーディションをしたのがマデリンでしたが、部屋に入ってきた彼女はすばらしかったですね。(彼女の演技を見て)私は泣きたくなったほどです。彼女が部屋を出た直後、私はアシスタントと顔を見合わせ、2人同時に『彼女で決まりだ』と言いました」とコメントしている。

そんな彼女のスター性は、撮影現場でも圧倒的だったよう。ジョシュアのかつての戦友、ドリュー役として共演したスタージル・シンプソンも「マデリン・ユナ・ヴォイルズという名はこれから世界中に広まるでしょう。マデリンは最高のプロ意識を持つハードワーカーで、才能あふれる役者です。まだ8歳だとは到底思えませんよ」と大絶賛。「この映画の撮影は意気地がなければ務まりません。広範囲を旅して回りながら様々な環境のなかで撮影しましたが、マデリンも最初から最後までその場にいました。うだるような暑さのバンコク郊外の採石場でこの映画の最後のシーンを撮影した時も、マデリンは息をのむほどすばらしい演技をやってみせて、そこにいた全員が『いまの見たか?』と顔を見合わせたほどです。百戦錬磨の撮影機材スタッフさえも含めて、撮影クルー全員が目に涙をためていました」とまで語っている。

若干8歳、しかも演技初挑戦とは到底思えない実力で、目の肥えた製作陣や共演者たちをも一瞬で虜にしたヴォイルズ。オスカーにも期待がかかる彼女演じるアルフィーが、AIと人間の未来をどのように表現してくれるのか。AIと人間の関係を超えた壮大な“愛”の物語を映画館で見届けてほしい。

文/山崎伸子

本作でスクリーンデビュー!超進化型AI、アルフィー役を演じたマデリン・ユナ・ヴォイルズとは?/[c]2023 20th Century Studios