スター・ウォーズ」ドラマシリーズの最新作「スター・ウォーズ:アソーカ」がディズニープラスで独占配信中。アナキン・スカイウォーカー唯一の弟子であり、クローン戦争から続く銀河の戦いの歴史を見つめてきた元ジェダイのアソーカ(ロザリオドーソン)が、新たに訪れる銀河の危機に立ち向かう。驚きの結末を迎えたシーズン1、最終話レビューをネタバレありでお届けする。

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※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。

■生き方も信じるものも異なる三者それぞれの選択とは?

ついにシーズン最終話を迎えた「スター・ウォーズ:アソーカ」。第6話では本シーズンのキーパーソンだった帝国軍のスローン大提督(ラース・ミケルセン)が登場し、相変わらずのクールでクレバーな辣腕っぷりを発揮した。もう一人のキーパーソン、サビーヌ(ナターシャ・リュー・ボルディッツォ)が捜すエズラ・ブリッジャー(演じているのは『ドリームプラン』などに出演したエマン・エスファンディ)も元気な姿を見せてシーズン1の主要メンバーがやっと勢ぞろいしたことになる。

そこで第8話、シーズンフィナーレ。そのサブタイトルが「ジェダイと魔女と大提督」となっていることからもわかるように、生き方も信じるものも異なる三者それぞれの選択が描かれている。

まず、「大提督」ことスローンは「スター・ウォーズ 反乱者たち」の時と同様に優先順位のトップが帝国にある。これは帝国にとって重要か?この人物は必要なのか?それを常に考え命令を下す。今回はその決断が、彼を妄信し、彼を連れ戻すために尽力したモーガン・エルズベス(ダイアナ・リー・イノサント)に対して下され、スローンの冷徹さが浮き彫りになっている。さらに、彼にはほかの帝国の指導者らが持ちえないだろう賢明さもある。経験や失敗からも学べる余裕を持ち、ジェダイの力を軽視するモーガンをたしなめるエピソードは実にスローンらしい。

実写版での登場は初めてになるこのスローンを、アニメーション同様の青い皮膚、赤い目で演じているのは同シリーズで声を担当していたラース・ミケルセン。映画ファンにはお馴染みのマッツ・ミケルセンの実兄である。声が同じせいか、はたまた高身長(192cm!)のせいなのか、まるで違和感のないスローンっぷりだ。

では、「魔女」はどうだろうか。第6話から引き続き登場するのは、モーガンを惑星ぺリディアまで導いたグレート・マザーをはじめとした3人のナイトシスター。彼女たちはモーガンをより強力なシスターにすべく、新たな命を生きるよう誓わせる。モーガンの顔にはシスターと同じような文様が浮かび上がり、さらには彼女に緑色の炎を放つ“タルジンの剣”を与える。

タルジンとは彼女たちの故郷であるダソミアを治めていたナイトシスターのひとり、マザー・タルジンのことで、この剣は彼女がメイスウィンドゥと戦う時に使ったもの。タルジンはダース・モールの母親でもある。

そうやってよりパワフルな存在となったモーガンだが、その理由はスローンたちの脱出を助けるため。モーガンスローンを逃がすための時間稼ぎを命じられ、それを受け止める。その時スローンは「帝国に栄光あれ」といういつものフレーズを口にするが、モーガンはこっそりと「ダソミア万歳」と呟く…。ということは、モーガンスローンを妄信していようにふるまっていただけで、実はナイトシスターの故郷を復活させるために動いていたということなのかもしれない。

実際、スローンが目指したのはダソミアで、3人のシスタースローンに進んで力を貸したのは故郷復活のためなのだろう。ということは、もしかしたら船に運び込んでいた同じ形の大量の荷物は実はシスターが入ったポッドだった?スローンはダソミアを復活させるという約束で魔女たちを味方につけようと画策していた⁉という推測が成り立つ。だから今回、シスターの力を借りて、一度は倒れたナイト・トルーパーたちをゾンビの如く蘇らせるというワザも披露。これは次の新兵力の一つになりそうだ。

アソーカが選んだ“ローニン・ジェダイ”という生き方

「大提督」と「魔女」が下した選択は、目的を果たすためには仲間の命すらいとわない冷酷さが強烈な印象を残すが、「ジェダイ」の場合はどうなのか? 

まずは堕ちたジェダイと言われる2人組。ベイランスコール(レイ・スティーヴンソン)とシン・ハティ(イバンナ・ザクノ)は第7話で違う道を歩み始めていた。マスターに別れを告げられ、どこか不安げなシン・ハティに手を差し伸べるアソーカだったが、それを拒絶した彼女は、ぺリディア落ち武者っぽい集団のまえでオレンジのライトセーバーを掲げる。ダークサイドに身を置くことを宣言したということだろうか?

一方、マスターのベイランは、彼がいたその場所に意味がありそうだ。ベイランが立つ巨大な石像は、モーティスに住んでいた強力なフォース使いの家族、ザ・ワンズのファーザーという説が濃厚だ。モーティスはフォースの根源ではないかと言われる聖域で、ザ・ワンズはジェダイでもシスでもなく、彼らより強い存在と言われていた。そんな場所にベイランがいるというのはなにを意味しているのか?登場した時からジェダイでもシスでもない言動をしていたベイランの目指すものを示しているのかもしれない。

そして、アソーカとサビーヌ、そしてエズラの3人。アソーカは、たとえ悪と組もうとエズラを捜すという目的を見事にまっとうしたサビーヌを温かく迎え、離れてしまったベイラン&シンとは対照的に、一緒にいることが重要だと考える。それでも居心地の悪そうなサビーヌに「困難な決断を下して、誰にも理解されなかった…アナキン(ヘイデンクリステンセン)を除いて。マスターは常に私の味方だった」「私はいつだって、あなたを支える」という美しすぎる言葉を口にするのだ。

スローンは、アソーカの戦い方について「アナキンに似ている」と言ったが、実は一番似ているのはパダワンとの接し方なのだと思う。善と悪、規則や戒律を越えたところで信じあえるような濃密な関係性。だからこそアソーカは“ローニン・ジェダイ”の道を選び、サビーヌの選択をも許したのだ。ちなみに今回、スローンがアソーカに「ローニン」という言葉を使っているが、これは言い得て妙な表現だ。

また、アソーカはサビーヌにジェダイの真価についてこう教えている。「心と体を鍛えた上でフォースを信じること」。サビーヌはこのあと、エズラを励まし、離れゆくスローンのスター・デストロイヤーキメラに乗せるためフォースであと押しする。ジェダイ的な行為に消極的だった彼女がマスターの言葉を信じ、フォースを信じたからこそできた奇跡だ。 

■エズラとヘラ、チョッパーが歓喜の再会を果たすも、問題は山積み!?

もう一つ、書いておかなくてはいけないのはアソーカ、サビーヌ、エズラが繰り広げるライトセーバーバトルだろう。シスターの呪術でゾンビ化したナイト・トルーパー軍団を相手に、白いセーバーアソーカブラスターを捨ててグリーンのライトセーバーをふるサビーヌ。そして、師匠ケイナン・ジャラスの教えにそって自らが作った青いセーバーを使うエズラ。それぞれの個性が滲んだセーバーで戦うこのシーンはアクションのハイライト。このあとに続くアソーカと、タルジンの剣を武器にしたモーガンの因縁の大バトルも素晴らしい。

さて、エズラである。まんまとスローンの旗艦に乗船した彼は帝国の船を奪い、トルーパーのスーツを着てヘラ(メアリーエリザベスウィンステッド)たちの前に現れる。このエズラは「反乱者たち」で見慣れた姿。みんながいぶかしがるなか、エズラにいち早く気づいたのがチョッパーだったというのにも、思わず頬が緩むファンは多いはず。エズラ・ブリッジャーの帰還を祝うには最高のシチュエーションを作ってくれた。

とはいえ問題は山積みだ。なぜなら、「反乱者たち」と同じようにラストはアソーカ&サビーヌチームと、エズラ&ヘラチームが離ればなれになってしまい、スローンに勝利宣言を許してしまっているから。アソーカ&サビーヌは違う銀河にいるわけだから、果たしてどうやって帰還するのか?エズラとスローンもそのぺリディアで10年を過ごしたことを考えると、事態はかなり深刻といえる。そもそもスローンを銀河に放ってしまったのだ。準備のできていない新共和国はどうなる⁉

そんな不安を少し軽くしてくれたのが、アソーカとサビーヌの姿を静かに見つめる霊体アナキンの存在。一緒に行動し、信じあうことを誓ったマスターとパダワンの近くに、その重要性を教えてくれた最強のマスターがいてくれる。なにかとアナキンを意識しまくっているスローンのことを考えても、シーズン2のキーパーソンキーワードは“アナキン”になるかもしれない。

文/渡辺麻紀

まさか…驚きの結末が待ち受けた「スター・ウォーズ:アソーカ」最終話をネタバレありでレビュー!/[c]2023 Lucasfilm Ltd.