10月6日、ジャズミュージシャンである南博の回顧録「白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-」を原作に、2人のピアニストの人生が交錯する様を描いた映画『白鍵と黒鍵の間に』の初日舞台挨拶が開催。池松壮亮、仲里依紗、森田剛、松丸契、冨永昌敬監督が登壇した。

【写真】ジャズミュージシャンである南博の回顧録「白鍵と黒鍵の間に-ジャズピアニスト・エレジー銀座編-」が原作

『あの頃。』の冨永昌敬がメガホンをとり、『シン・仮面ライダー』の池松壮亮が1人2役で主演を務めた本作。『土竜の唄』の仲里依紗をはじめ『ヒメアノ～ル』の森田剛、『追想ジャーニー』の高橋和也らが脇を固めている。舞台挨拶では、本作の内容にからめ、それぞれが「自分は今、何をやっているんだ？と思ったエピソード」を披露した。

「日常的によくそう思う」という池松は、「パッと思いついたことで言うと、半年間くらいピアノの練習をしていたのですが、その期間に他のものの準備もしていて、フィギュアスケートとボクシングを同時に習っていたんですよ。そのとき、本当にオレ、何をやっているんだと思っていました」と回顧。

また、「仮面ライダーをやったんですけど、その後に『せかいのおきく』という作品で“うんこ運び”の役をやっていて。その後ピアノを触っていたので、何をやっているんだろうと思いました(笑)」と苦笑し、「それぞれが伸び悩んでいました」と自嘲しながら、バラエティーに富んだ日々を明かした。

一方、仲は「私は休みの日に予定を詰めまくるクセがあって」と告白。「ご飯を食べる時間も惜しんで、朝から晩までぶわ～って東京中を練り歩いていたり。ずっと続けている筋トレでは、にこるん(藤田ニコル)が(マシンを)80kg持ち上げるというのを聞いて、『私はまだ50kgだ。にこるん越えをしてやろう！』と謎の気持ちに。それから筋トレに行く度に(負荷を)ちょっとずつ上げているんですけど、そのときに私何をやっているんだろうと」と内心を打ち明け、「これを上げたところでにこるんにはなれないのにな～って、ずっと思っている感じです」と話して会場から笑いを誘っていた。

最後に池松は「ままならない人生、『オレは一体何をやっているんだ』ということの連続の人生の中で、主人公がその隙間を音楽で埋めているように、この映画が皆さんの心のすき間をほんの少しでも埋められるものになっていたらうれしいなと思います」とアピール。さらに「音楽や映画は、こうした移ろいゆく時代の間を埋めることができるということを、この映画で伝えられたらと思ってやっていました。映画館に是非足を運んでいただけたらと思います」と話し、イベントを締めくくった。

取材・文/平井あゆみ

映画『白鍵と黒鍵の間に』に出演する冨永昌敬監督、森田剛、池松壮亮、仲里依紗、松丸契(左から)