アナキン・スカイウォーカー(ヘイデンクリステンセン)唯一のパダワンだったアソーカ・タノ(ロザリオドーソン)が主人公のドラマ「スター・ウォーズ:アソーカ」の最終回となる第8話が、10月4日に配信された。ドラマ「マンダロリアン」シリーズや「ボバ・フェットThe Book of Boba Fett」と同時代で、映画「スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還」と新たなる3部作「フォースの覚醒」「最後のジェダイ」「スカイウォーカーの夜明け」の間を結ぶ今作が秘めているものは何だったのか。3つのキーポイントから振り返る。(以下、ネタバレあり)

「スター・ウォーズ:アソーカ」第8話より

同作は、アソーカがアニメーション「スター・ウォーズ 反乱者たち」で出会った反乱軍チーム「ゴースト」のヘラ・シンドゥーラ(メアリーエリザベスウィンステッド)や、サビーヌ・レン(ナターシャ・リュー・ボルディッゾ)らと共に新たな脅威に立ち向かう物語。新たな脅威とは、映画「エピソード6/ジェダイの帰還」でダース・ベイダーが命を落とし、ダース・シディアス(パルパティーン皇帝)が肉体を失ったのちに頭角を表した知将・スローン大提督(ラース・ミケルセン)のことで、彼の復活を阻止したいアソーカは、一度は師弟関係を解消したサビーヌを再びパダワンとして迎え、帝国残党のモーガン・エルズベス(ダイアナ・リー・イノサント)を追っていた。

アソーカとサビーヌ、新たなマスターとパダワンの誕生

旧共和国、銀河帝国、新共和国、そしてファースト・オーダーと世を支配する国家は変われど、いつの時代も師弟関係は築かれ、新たな主人公が生み出されてきた。そして、この「アソーカ」でも新たな師弟が誕生した。それが主人公のアソーカと、マンダロリアンのサビーヌ・レンのコンビだ。ドラマ「マンダロリアン」の主人公でマンダロリアンの“マンドー”ことディン・ジャリンとフォース使いのグローグーとは、逆のコンビネーションというわけだ。

サビーヌは「ゴースト」のメンバーで、スローンと共に消息が絶えていたエズラ・ブリッジャー(エマン・エスファンディ)の行方を捜し続けていた。そのため、スローンの復活を阻止しなければならないことを理解しながらも、エズラを救いたいという気持ちも持っていたことから、第4話でモーガンらにスローンの居場所を示す情報を渡し、自ら捕虜になった。おかげでアソーカとは離れ離れになるが、強い結びつきが2人を再び巡り合わせる。第7話で互いに呼応するシーンは実に“エモい”ものだった。

■ジェダイでもシスでもないライトセーバー使い

アソーカ」では、もう一組、師弟関係が登場した。モーガンの下で傭兵をしていた元ジェダイのベイランスコール(レイ・スティーブンソン)と、そのパダワンであるシン・ハティ(イヴァンナ・ザクノ)だ。シン・ハティはジェダイ聖堂の陥落後にベイランスコールが能力を認めてパダワンにしたため、正式なジェダイではない。また、傭兵を生業にしているベイランもすでにジェダイではないのだが、暗黒面のシスに堕ちているわけでもなく、ライトセーバーの色もオレンジという不思議な存在だ。

モーガンの傭兵として新共和国に敵対してきたベイランとシンだが、帝国残党というわけではないため、モーガンらと別行動をした後に2人がどのような道を選択するのかは全くの謎。現在は新共和国の味方ではないが、展開によってはもしかすると…?という可能性も無きにしもあらずの存在で、今後の展開が楽しみな2人だ。

■帝国の残党を導く、新たな脅威・スローン大提督の台頭

アソーカ」最大の山場は、帝国アカデミー出身の知将・スローン大提督の登場だろう。ドラマ終盤でようやく姿を見せたスローンは、青い肌に赤い目を持ち、インパクト十分だった。アニメーション「反乱者たち」時代より分析力に優れていたスローンは、登場するや否や多くの展開を予測しており、強敵であることが一目瞭然。また、人海戦術もお手のもので、捕虜のサビーヌや傭兵のベイラン&シンを駒のように利用する様子からも切れ者であることがうかがえる。

スローンの目的は元いた銀河へ戻り、銀河帝国の権力を取り戻すことで、アソーカたちの願いはそれを阻止すること。銀河のはるか彼方の惑星を舞台に、2組のマスターとパダワン、そしてスローン大提督はどんな知略を巡らせるのか。ドラマ「アソーカ」は、最終話のラストカットまで油断ならない作品だ。

スター・ウォーズ:アソーカ」は、ディズニープラスで全話独占配信中。

◆文=及川静

「スター・ウォーズ:アソーカ」第4話より/(C)2023 Lucasfilm Ltd.