【家電コンサルのお得な話・147】 ついにインボイス制度が始まった。インボイスが始まっても、見積書や注文書は今まで通りの様式で構わない。また、請求書の形式は法律で決まっていないため、必要事項が記載されていれば、対応しているソフトはもちろん、手書きでもOKである。そのため、エクセルを使用して自分で作成する方もいるだろう。そこで気になるのが「端数の処理」である。

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●税込金額を先に足してから消費税率を乗じる



 適格請求書等保存方式においては、適格請求書に記載すべき「消費税額等」の計算方法が定められている。取り引きに係わる「税抜価額」のときは、税率ごとに区分して合計した金額に対して、8%または10%を乗じて得た金額の端数を処理しなければならない。

 具体的には、図1-例(1)の場合、トマトの税抜金額1万3861円とピーマンの税抜金額1万3199円を先に足して算出された2万7060円を「8%対象計の税抜金額の欄」に記入する。この8%対象の合計金額である2万7060円に8%を乗じて消費税額を計算する(この場合、2164円)という流れである(図1計算式参照)。

 つまり、図1-例(2)のように、トマトやピーマンのそれぞれに消費税額を計算してから足すのではないため、注意が必要である(図1計算式参照)。

 また、「税込価額」を用いるときは、税率ごとに区分して合計した金額に対して、10/110または8/108を乗じて得た金額に対して端数処理を行い、「消費税額等」を算出する。

 これは、図2-例(2)のように税込金額から消費税額を算出する場合、まず、8%対象であるトマト税込金額とピーマン税込金額を足し、その合計に8/108を乗じるということである(図2計算式参照)。

 この場合、税込金額を算出するために、個々の税抜金額にそれぞれの対象となる税率を乗じて算出するが、この部分の端数処理は事業者の任意となっている。

 つまり、トマト:1万3861円×8%=1108円、ピーマン:1万3199円×8%=1055円というように個々の消費税額が算出されても、この1108円と1055円を足して、8%対象の消費税額とするのはNGだということである。

 あくまで前述の通り、それぞれの税込金額を先に足した額に8%を乗じた額が、8%消費税額になるのであり、この手順は10%対象も同様である。

 また、端数処理は「切り捨て」「切り上げ」「四捨五入」など任意の方法で行えることが認められているが、先に取引先と相談し、どれを用いるかを決めておけば二度手間、三度手間とならずにいいだろう。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

■Profile

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。

出典「適格請求書など保存方法の概要(国税庁)」