1973年に公開され、大ヒットを記録したホラー映画の金字塔「エクソシスト」の続編「エクソシスト 信じる者」がいよいよ、今年12月から公開される。前作では撮影中に多くの悲劇が起こったことでも話題になったが、今回の作品撮影中にも数々の超自然現象が発生した。

 前作の原作はウィリアム・P・ブラッティによる同名小説で、米メリーランド州で1949年に実際に起こった悪魔憑き事件を題材にしたことは、よく知られる話だ。オカルト研究家が説明する。

「悪魔に取り憑かれ、壮絶なエクソシズムの儀式が行われたとされるのは、当時14歳だったローランド・ドウという少年ですが、これはカトリック教会が少年につけた仮名。彼はプロテスタントドイツ系一家に生まれ、当時はメリーランド州コッテージシティに住んでいました。ひとりっ子だったため、遊び相手はもっぱら叔母のハリエットという女性で、霊の存在を信じる彼女と日々一緒にウィジャボード(「こっくりさん」の一種)で遊んでいたようなんです」

 ある冬の夜、両親がローランドと叔母を残して外出。すると家の中でポルターガイスト現象が始まり、10日後にはなんと、ハリエットが急死してしまったのである。

「それを境に、さらにポルターガイスト現象が激しくなり、しまいにはローランドの人格も豹変。体に文字が浮かび上がるようになり、怯えた両親がルター派の牧師に相談した。牧師が泊まり込んで悪魔祓いを行ったというのが、おおまかな流れです」(前出・オカルト研究家)

 だが実際にはアメリカ合衆国監督教会のもと、ローランドに対するエクソシズムの儀式が行われたのは米ジョージタウン大学病院。ローランドは悪魔払いのさなか、神父にケガを負わせ、悪魔祓いは中断した。一家はセントルイスに向かい、その後、セントルイス大学で悪魔と神父たちとの2カ月以上わたる死闘が繰り広げられることになる。

「少年は悪魔祓いにより日々の生活を取り戻した後、学業を終え、NASAのエンジニアとして40年近く働いて、2001年に退職したそうです。ただ、生涯自分の秘密を知られるのを怖れ、エクソシストについては語らなかったのだとか。86歳の誕生日を迎える1カ月前、メリーランドマリオッツビルの自宅で脳卒中を起こし、その生涯を終えました。最後まで真実を隠し続けた彼の人生も、悪魔によって大きく変貌を遂げたのです。実は現実の世界でも、悲劇があったということですね」(前出・オカルト研究家)

 今さらながら、悪魔の罪深さを痛感するのである。

ジョン・ドゥ

アサ芸プラス