埼玉~千葉をまたぐ江戸川で新たな橋「三郷流山橋」がまもなく開通します。その下流、東京~千葉の都県境でも、新しい橋が具体化。かねて「橋が少ない」と言われていた江戸川の状況が少しずつ変わっていきます。

「橋が少ない」江戸川&旧江戸川に新たな橋

埼玉県三郷市千葉県流山市を結ぶ江戸川の新たな橋「三郷流山橋有料道路」が2023年11月26日に開通します。周辺の橋が少なく、慢性的な渋滞が発生している「流山橋」のバイパスとなることが期待されているものです。

埼玉・東京と千葉を隔てる江戸川や下流部の旧江戸川(かつての江戸川の本流)は、かねて「橋が少ない」と言われてきましたが、実はもうひとつ、新たな橋を架ける事業が始まっています。

それは、東京都江戸川区千葉県市川市を隔てる旧江戸川の「押切・湊橋(仮称)」です。都営新宿線の瑞江駅エリアと東京メトロ東西線の行徳駅エリアを結ぶもので、今井橋の上流2kmに架かります。2023年1月に事業化されました。

現状、江戸川・旧江戸川の都県境区間では、市川橋(国道14号)から今井橋まで8kmにわたって一般道の橋がありません(途中の江戸川大橋は京葉道路の橋で自動車専用)。事業主体の千葉県は、限られた橋が都県境の移動で交通渋滞が発生していると指摘します。

押切・湊橋はそうした橋の代替性確保のほか、行徳エリアから都内の瑞江駅を利用しやすくなり、鉄道の選択肢も増えることをメリットとして挙げます。行徳駅から橋までは、まっすぐ550mほど。東京側では柴又街道に接続しており、瑞江駅までは1.3kmほどです。橋の構造は、車道2車線の両側に歩道が整備され、取付部では側道も設けられます。

この橋は昭和40年代から都市計画があり、地元では古くから「あそこに橋がかかる」と言われていたような存在です。長らく具体化しなかった状況を変えたのが、東日本大震災。都心から徒歩で避難する人が限られた橋に殺到し、橋を渡るのを諦める避難者も出て混乱が生じたことから、新たな架橋への気運が高まりました。

ちなみに江戸川と旧江戸川では、他にも架橋構想があります。浦安橋と舞浜大橋の間の「堀江橋(仮称)」と、江戸川にかかる江戸川大橋(京葉道路)の北側、江戸川区上篠崎と市川市大洲を結ぶ「大洲橋(仮称)」です。

前者については押切・湊橋とも近く、同橋の事業化前のパブリックコメントで「堀江橋のほうを優先すべき」という意見もありました。これに対し千葉県は、「堀江橋については、周辺道路の整備状況などを踏まえ、引き続き、調査・検討を行ってまいります」と回答しています。

中央が押切・湊橋の架橋予定地。東京側から千葉側をのぞむ(画像:Google earth)。