日本は要所で働いたカレーラスに苦しめられ、ハットトリックを許した(C)Getty Images

 現地10月7日ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は、1次リーグのプールD最終戦を実施し、日本代表(世界ランク12位)は8強入りをかけてアルゼンチン代表(同9位)と対戦。この大一番に惜しくも27-39で敗れ、2019年大会に続く2大会連続の決勝トーナメント進出とはならなかった。勝てば文句なしで突破が決まる試合だっただけに、悔しさはひとしおだ。日本はなぜアルゼンチンに敗れたのか。三重ホンダヒートで活躍し、日本代表31試合出場のキャリアを持つ藤田慶和に、アルゼンチン戦の感想を聞いた。

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 ジャパンはディフェンスもすごく頑張っていましたし、いい形で戦えていました。自分たちの強みを出せたと思います。それでも、やっぱり点を取り切るところでのミスが試合の明暗を分けたように感じました。

 例えば、前半にラックからボールを出す時にファンブルしてまったり、後半にライリー選手がゴール前で斜めに走ってパスしたらトライまで行けた場面で判断をミスしてしまったり、そういうところで点を取り切れなかった部分が響きました。ハイプレッシャーの中なのでミスが起きるのは仕方がないことですが、ゴール前でテンポ良くプレーできたら点に直結していただけに悔しさが残ります。

 あとは、ハイボールなどの予期せぬ形で相手にボールが渡った時にも、少しの隙を突かれてしまった印象です。相手が形を持って攻めくる時はすごくいいディフェンスができていたんですが、予期せぬ部分でボールが相手側に行った時にトライを取られたりしていたので、ちょっともったいなかったと感じました。攻守の切り替えの部分で相手の方が反応スピードが良かった。そこで個人の力が出てしまった部分はありました。

 もう少し試合終盤までジャパンがワントライワンゴール差で逆転できるくらいの点数でついていきたかったというのが本音です。そこまで詰め寄っていければ、ジャパンにも勝つチャンスはあったと思います。

 試合の一番の分かれ目になったのは、レメキ選手のドロップゴールが決まった後の時間帯だったと思います。センタースクラムで日本がいい流れを持ってきて、ここから反撃をするぞ、というムードの中で、キックオフノックオンしてしまった。そこからスクラムで少し負けてしまって、トライまで持っていかれました。追い上げた2分後の失点でしたから、あそこは試合のターニングポイントになったと思います。

 勝って決勝トーナメントに進んだ方が、確実に日本ラグビーにとって良かったんですけど、もうこの結果は変えられないことなので、しっかり受け止めて進んでいくしかありません。次に誰が監督になるか分かりませんが、次の4年間でいろんな選手が各自成長をして、それをジャパンの成長につなげてワールドカップに臨む状態を作るのが大事です。

 今回のワールドカップは準備の難しさがある中で、本当に素晴らしいパフォーマンスを出してくださったと思いますし、日本人として、いちラグビー選手として日本代表の選手を誇りに思います。

 次は僕もそこに入っていけるように、リーグ戦からは頑張らないといけないなと思います。リーグワンもこれからどんどん成長をしていって、世界でも有名なリーグになっていかないといけない。それが、日本代表の強化にもつながっていくはずです。ジャパンの選手はワールドカップが終わって間もなくのリーグ戦でしんどいかもしれないですけど、リーグワンでも成果を残して引っ張っていってほしいですね。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


【ラグビーW杯】日本はなぜアルゼンチンに敗れたのか?元日本代表・藤田慶和が解説「点を取り切るところでのミスが明暗を分けた」