こんにちは。クイズを愛する2児のサラリーマンけんたろ(@kenlife202010)です。クイズ好きが高じて、日本語や雑学に興味を持つようになり、X(旧Twitter)やVoicyではクイズを中心に言葉の知識や雑学ネタを発信しています。 

果物、野菜の難読漢字36選

こちらでは「言葉にまつわる知識」をテーマに、よくある日本語の間違い、実は知らない身近なモノの名前、漢字、社会人としての言葉、言葉の雑学などをお伝えしていきます。

今回は「漢字~野菜・果物~」です。

クイズ番組でも頻出の漢字について、以前の記事では「漢字~水生生物~」「漢字~動物~」「漢字〜植物〜」についてまとめましたが、今回は野菜・果物についてまとめてみました。普段はひらがなカタカナで見かけることの多い植物の漢字ですが、みなさんはどれくらいわかるでしょうか。

今回も漢字の成り立ちや語源、さらに雑学知識も含めてご紹介します。是非読みと併せて漢字の成り立ちを想像して読んでみてください。

胡瓜:

キュウリ。昔は「黄瓜」と書かれていました。というのもキュウリは熟すと黄色になるからです。私たちが普段食べている緑色のキュウリは、実は熟していない状態のものです。昔は黄色くなるまで完熟させて食べられていました。「胡瓜」という漢字は中国語由来ですが、「胡」の字が異民族を表し、差別語と捉えられた時代があり、現在中国では「黄瓜」と書くそうです。

蜜柑:

ミカン。中国から渡来した当時は「柑子(かんじ)」と呼ばれていました。室町時代になり、糖度が増した品種が作られたことで、「蜜のような甘さの柑子」と評判となり「蜜柑」という名前になりました。

南瓜:

カボチャカンボジア原産と考えられ、その国名にちなんで「カボチャ」と呼ばれました。漢字は中国名によるものです。

葡萄:

ブドウ。原産地は古代ペルシアと言われ、ギリシャ語で”botrus”と呼ばれていたものが中国に伝わり、発音から似た音の「葡萄」の漢字が当てられました。日本では古くは山ぶどうなど自生していたものを「えびかづら」と呼んでいました。理由は山ぶどうのつるが海老のひげのように巻いていることと、つる草の総称を「かづら」と呼んでいたためです。

玉葱:

タマネギ。ペルシャ原産で明治になり日本にやって来ました。従来の「長ネギ」と比べて鱗茎が球状になることから「玉ネギ」と名付けられました。

柚子:

ユズ。「子」には果実という意味があり、唐音で「ズ」と発音します。「杏子(あんず)」も同じ例です。

茄子:

ナス。名前の由来は、昔の「なすび」は酸っぱい味だったため、「中が酸っぱい実」から「なかすみ」→「なすみ」→「なすび」と変化しました。「び」が脱落した理由としては、江戸の商人が縁起のよいものとして「なすび」を売ろうと考えたときに、成功を意味する「成す」とかけて「なす」として販売しそれが広まりました。

蕪:

カブ。根の丸い形状から「頭(かぶ)」に由来するとされています。元は「かぶら」であり、そこから女房詞の「おかぶ」を経て「かぶ」となったとされます。ちなみに春の七草のスズナはカブのことです。

枇杷:

ビワ。楽器の琵琶に似ているため名付けられたとされますが、どう似ているのかはっきりはしていません。漢字から元々は「ビハ」と発音されていましたが、次第に「ビワ」となりました。

山葵:

ワサビ。その辛みから「悪障疼(わるさはひびく)」の略という説があります。葉の形が葵の葉とよく似ていて、山の中の清流に生えることから「山葵」と書くようになりました。

酢橘:

スダチ。「酸っぱい橘」が語源。スタチが濁音化してスダチとなりました。同じような語源を持つ語に、「酸っぱい桃」からの「スモモ(李・酢桃)」があります。

茗荷:

ミョウガ。元々は中国名の漢字「蘘荷」が使われていました。「ミョウガ」の発音から後に「茗荷」の字が当てられました。よく物忘れの代名詞になっていますが、ミョウガを食べたらかといって物忘れがひどくなるわけではありません。これは釈迦の故事に由来します。釈迦の弟子に物忘れのひどい者がおり、首から名荷(名札のこと)をかけさせましたが、その存在も忘れてしまい亡くなりました。そんな彼の墓から生えたのがミョウガとされています。

糸瓜:

ヘチマ。漢語の糸瓜を「イトウリ」と訓読みし、「トウリ」に訛りました。トはイロハのヘとチの間にあることから「ヘチマ」になったという説があります。

西瓜:

スイカ。熱帯アフリカ原産で、西から伝わり瓜に似ていたことからこの漢字が使われるようになりました。スイカの語源は漢字の唐音読み「スイクワ」に由来します。水分が多いことから「水瓜」という漢字も使われます。

木耳:

キクラゲ。味がクラゲに似、木の上にあることから名付けられたとされます。漢字は形状が耳の形に似ていることに由来します。

胡桃:

クルミ。「胡」は中国人から見て「西の方に住む異民族」を表す漢字です。紀元前2世紀ごろに、シルクロードを探検した中国の武将が西の方から持ち帰ってきたという伝説があります。

萵苣:

レタス。「牛乳」という意味のラテン語に由来します。和名では「ちしゃ」と言います。これは「乳草(ちちくさ)」に由来し、レタスも乳草も同じような語源理由です。その理由は、レタスを切ると白い汁が出るためです。

蕃茄:

トマト。メキシコ先住民の言語であるナワトル語で「膨らんだ果実」を意味する「トマトゥル」から来ています。漢字は漢名由来で、「蕃」は未開の地や外国という意味があり、トマトはナス科の野菜であることから、「外国から来た茄子」を表しています。このほかにも、「赤茄子」などとも書きます。

辣韮:

ラッキョウ。辛いという意味がある「辣(ラツ)」と、ニラの意味がある「韮(キュウ)」が組み合わさり、「辣韮(ラツキュウ)」となり、ここから転じて「ラッキョウ」となりました。

薇:

ゼンマイ。昔、早春の若葉が小銭の大きさで渦巻き状になっている姿から、「銭巻き(ぜにまき)」と呼ばれていました。それが転じて「ぜんまい」となりました。「紫萁」とも書きます。

大蒜:

ニンニク。「忍辱(にんじょく)」から来たという説があり、強烈な臭気を隠して食べたことに由来するとされます。

棗:

ナツメ。夏に芽が立つことから「夏(なつ)芽(め)」が語源とされています。

占地:

シメジ。「地面を占領するほど一面に生える」ことから「占地」の漢字が使われています。このほかにも「湿地」という漢字もあり、こちらは「湿った地に生える」ことに由来します。

柘榴:

ザクロ平安時代に中国から来ました。「石榴」とも書き、元は「安石榴」とも書きました。この安石は古代の中央アジアの国の名前で、ここから中国にもたらされたと考えられます。漢名であるこれらの中国での読みが転じてザクロとなりました。

慈姑:

クワイ。葉の形が鍬(クワ)に似た芋だったため「クワイモ」と呼ばれており、その後転化したとされます。1つの根にたくさんの子がつく姿が、子供を慈しみつつ哺乳する母(姑)のように見えることからこの漢字が使われているとされます。

桜桃:

サクランボ。元々は桜の実を擬人化した「桜の坊」から転じた「さくらんぼう」と呼ばれていました。現在食べられているものは主にセイヨウミザクラであり、漢字はミザクラの漢名です。

鳳梨:

パイナップル。姿形が松ぼっくりに似ていることから「松(pine)の果実(apple)」が語源となっています。”apple”は本来広義の「木になる果実」を表す言葉でした。また、漢字の鳳は伝説の鳥です。その立派な見た目から名付けられたのかもしれません。

菠薐草

ホウレンソウ。「波稜」は現在のイランネパールあたりの地名を指し、ここから中国にもたらされたことから草冠をつけた「菠薐」という漢名となり、さらに草の字が追加されました。

塘蒿:

セロリ。昔はヨモギの仲間と考えられていたようで、「塘」はため池、「蒿」はヨモギを意味します。また、「清正人参」とも書くことができます。これは朝鮮出兵時に、加藤清正がヨーロッパ原産のセロリを日本に持ち帰ったことに由来します。

鰐梨:

アボカド。ゴツゴツした表面がワニの背中の皮に似ていることから、「鰐」の漢字が使われるようになりました。英語でも「アリゲーターペア」と言われます。

玉蜀黍

トウモロコシ。「トウ(唐)」と「モロコシ(唐土)」の2つの中国の呼び名が名前に入っています。明治より古くは中国から輸入されており、日本のキビに似ていたことから「モロコシキビ」と呼ばれていました。また、室町時代に始まった勘合貿易以来、輸入品には「唐」をつける習慣があったため「トウモロコシキビ」となり、さらに「キビ」が省略されたため「トウモロコシ」となりました。

無花果:

イチジク。花嚢の中にある小さな白い花が外からは見えないため、このような漢字が使われています。中国語では「映日果(インヂクヲ)」とも書き、この読みが変化して「イチジク」となったという説があります。

竜髭菜:

アスパラガスアスパラガスは茎が伸びると竜の髭のような多くの細い葉が出てくることから、この漢字が使われるようになったとされます。ちなみにアスパラガスの名前は、古代ギリシャ語の「裂ける」が由来です。

万寿果:

パパイヤ。名前の由来はカリブ海沿岸地域で呼ばれていた「アババイ」から。また「蕃瓜樹」とも書きます。

彌猴桃:

キウイ。本来は商品名であり、ニュージーランドに棲息する鳥の「キウイ」から名づけられました。この鳥のキウイの卵に果実が似ていたためです。元々の植物名は「オニマタタビ」で、漢字の彌猴桃は中国名です。彌猴は猿のことで、猿がキウイを好んでいたためです。キウイニュージーランドの印象が強いですが、原産地は中国です。

芽花椰菜:

ブロッコリー。「茎」という意味のイタリア語”brocco(ブロッコ)”に由来します。和名は「メハナヤサイ」と言い、漢字はこれとリンクしています。ほかにも漢字で「緑花椰菜」とも書きます。ちなみに「花椰菜」で「カリフラワー」と読みます。

いかがだったでしょうか?漢字には、特徴のみならずどこから日本に伝わってきたものなのかなどの情報も詰まっています。また、昔の人が野菜や果物をどのように捉えていたのかも垣間見えるのがおもしろいですよね。これから口にするものは漢字ではどう書くんだろう?と考えてみると新しい学びに繋がりますので、是非実践してみてください。

キウイの漢字が難しすぎる~果物、野菜の難読漢字