都市部の列車は長いものなら10両編成が一般的です。しかし東京都心部を環状運転するJR山手線は11両編成。一見ハンパに思える両数ですが、なぜ11両編成なのでしょうか。

1両で始まった山手線

東京の私鉄の列車は、長いもので10両編成が一般的です。JRでは宇都宮線東海道線といった中・長距離電車で、10両編成に5両の付属編成を組み合わせた15両編成も存在しますが、東京都心部を走る山手線に限っては、全ての列車が「11両」編成です。一見ハンパにも思える両数なのは、なぜでしょうか。

結論をいえば、10両編成だったところへ1両を追加した経緯があるからで、1991(平成3)年12月1日のことでした。追加された1両は、今はなき6ドア車両です。激しさを増す混雑対策への切り札として、ラッシュ時には座席を収納できる6ドア車両を、10号車へ組み込んだのでした。

とはいえ、現在の山手線に6ドア車両は連結されていません。プラットホームでの安全性をより求める機運が高まり、鉄道各社はホームドアの設置を進めていきますが、可動ドアタイプの場合は構造上、6ドアに対応させることができなかったからです。

2011(平成23)年9月、全ての山手線の車両が4ドアに統一されました。すると急ピッチで、山手線の各駅へホームドアが設置。2023年10月現在、駅の改修工事中などの理由で未設置の山手線駅は、新宿と渋谷の2駅のみとなっています。

ちなみに11両編成は横須賀総武快速線でも走ります。この系統では、11両編成に4両の付属編成を組み合わせた15両編成に対し、11両編成は駅で「短い11両編成」と案内されます。11両と4両で分けているのは、横須賀線 逗子駅以南の構造や留置線の長さなどが関係しています。

JR山手線(画像:写真AC)。