10月3日に初回が放送された野球トークバラエティ「ダグアウト!!!」(毎週火曜夜10:00-11:00、BSJapanext〈263ch〉)。現役時代には日本を飛び出してメジャーでも活躍した元プロ野球選手・上原浩治を迎え、YouTubeで共演した“ゴジラ松井秀喜とのエピソードなどが語られた。

【写真】初回ゲストの元メジャーリーガー・上原浩治が存分に語りつくす

■野球ファンなら「胸アツ」必至のYouTube撮影のウラ側

番組名の「ダグアウト」とは、試合中に監督や選手が待機するベンチを意味する。同番組はプロ野球選手やOBたちが、まるで「ダグアウト」で話をしているかのような空気感とトークをイメージ。野球大好きスピードワゴン・小沢一敬に加え、“野球と結婚したい”が口癖の上田まりえが毎回ゲストを迎えて球界のアレコレを深掘りしていく。

記念すべき初回のゲストは、元メジャーリーガー上原浩治。番組の“開幕投手”となった上原は、小沢に感想を聞かれると「慣れたもんですよ」と得意げに語った。

上原は自身のYouTubeチャンネル「上原浩治の雑談魂」で、これまでの野球人生で培ってきた知識を野球ファンに届ける活動をしている。

同チャンネルは元プロ野球選手・プロ野球関係者が表に出ているYouTubeチャンネルのなかで、70万人超という第1位の登録者数を誇る(2023年8月23日の収録時点)。同チャンネルでは野球テクニックの指南に重点を置いているわけでもないため、小沢が「雑談が商売になるんですね」と突っ込むと上原は笑いながら「本当に雑談しかしていない」と答えた。

同チャンネルの開設当初、番組のスタイルは上原1人が画面の前に立ってカメラの向こうの作家と掛け合うもの。上原も懐かしげに「まったく機能していなかったよね…」と当時のことを笑いながら振り返る。

そんな上原のチャンネルに、もう1人のMC・上田がアシスタントとして出演することになったのは3年半前。きっかけは上原が収録をしていたときに放った「アシスタントになったらええや〜ん」の一言だったという。上田は雑談の中のリップサービスだと思っていたが、収録が終わると同時にスタッフがスマホを取り出して次の撮影日程を決め、次の収録から参加していたそうだ。

続いて上田に「上原の第一印象」を聞くと、「すごいステキだな〜と思ってたんですけど…」と歯切れの悪いコメントが。小沢と上原に「けど?」とツッコミを入れられた上田が修正するも、「先輩きてるときと後輩きてるときでちょっと違うしね」と小沢がキレのいいフォローで結ぶ。上田は上原のYouTubeチャンネルのアシスタントを3年半していることもあり、仲の良さが伺えた。

上原のYouTubeチャンネルには、野球界の著名人が数数多くゲストとして出演している。「1番印象に残っているゲストは?」という質問に「やっぱり松井(秀喜)さん」と答えた。松井は上原のチャンネルに2回出演しており、撮影場所は2回ともニューヨーク。上原は撮影当時を振り返る。

現役時代は緊張感もあってくだけた表情を見せることが難しかったという松井。しかし番組では現役から離れた影響もあってか、上原から見て「素の松井さんが出ていた」と話す。上田も続けて、「松井さんの一人称が最初は”私”だったが、途中からところどころで”俺”になっていった」と語った。上原のチャンネルの趣旨である“雑談”によって、ゲストがリラックスした空気感のなか収録が出てきていることが伺えるエピソードだ。

小沢が「上田さんがワッ!と思ったゲストは?」と聞くと、「高橋由伸さんと上原さんが並んだとき、“胸アツ”ってこういうこと言うんだ、“エモい”ってこういうことを言うんだ」と興奮した収録当時を思い起こして熱く語った。

■「アイツ試合前にケツ触ってくる」上原に触るとホームランが打てる伝説

続いて、話題は日本のプロ野球シーンへ。小沢が「WBC含めて、今シーズンのMVPを決めるとしたら誰ですか」と問うと、上原の口からは岡本和真の名前が出る。

上原が取材で東京ドームに行ったとき、岡本は「ホームランが出ない」「打点が上がらない」と愚痴をこぼしていた。当時岡本はシーズン通して2〜3本しかホームランを打てないプチスランプ状態にあったという。そんな岡本に、上原は「全然大丈夫、今日も打つから」と鼓舞。そしてその日の試合で岡本はホームランを打ち、右肩上がりに戦績を伸ばしていった。

上田によれば、どうやら“上原に会うとホームランを打てる”というジンクスがあるとか。上原もうなずきつつ、「現役のときも和真と僕が絡むと、アイツが打つんですよ。だからアイツ試合前に僕のケツとか触ってくるんですよ」と現役当時から続く岡本のジンクスであると明かす。上田が興味津々の顔で「どんな風に触ってくるんですか?」と尋ねたところ、「“浩治さぁ〜ん”って触ってくる」とじゃれあいを振り返った。

現役時代の上原は、岡本を筆頭に後輩からとても慕われていたようす。たとえば田口麗斗からは現役当時、「お父さん」と呼ばれていたのだとか。田口と上原は20歳の年の差があるため、両親と上原が同い年だったこともあって「お父さん」呼ばわりだったようだ。

上原の交友関係の話を聞いて、小沢が「ジャイアンツ中心に見たりするんですか?」と上原に質問を投げかけた。上原は「一応12球団平等にと思っているが、やっぱりどうしても行っちゃいますよねジャイアンツの方に」と回答。古巣・ジャイアンツへの愛が感じられる一幕だった。

上原浩治が選ぶ「俺のベスト9」

番組では「いつの時代も、ベスト9を考える時間が楽しい!」として、ゲストが考えたベスト9を聞いていくコーナーを実施。上原が選んだのは、1番ライトから順にイチロー(守備9)、松井稼頭央(6)、中村紀洋(5)、松井秀喜(7)、清原和博(3)、柳田悠岐(8)、古田敦也(2)、井口資仁(4)、野茂英雄(1)。小沢が「いいお弁当だな~!どこからつまんでも美味しいじゃん!」と興奮するのもうなずけるオールスターだ。

なかでも迷ったのは、3番(中村)5番(清原)。DH、つまり指名打者が選べないという点がなかったら3番は大谷だったとしつつ、特に守備が上手い中村をピックしたという。とはいえほかのメンバーの選出にも苦しんだようで、「3パターンぐらいにしてほしかった。やっぱ1つじゃ無理ですよ!」とボヤいていた。

しかしエース・4番の松井秀喜だけは迷わなかったという上原。現役時代からさまざまな強打者と肩を並べて戦ってきた上原だが、「松井さんなら」と厚い信頼のうえで選定したそうだ。

小沢もこの指名には納得のようすで、「人間のスケールの大きさというか、余裕をすごく感じますよね」とコメントする。しかし小沢から「焦ってるところを見たことは?」という質問を向けられた上田は、「ないですね…焦ってたらあんな遅刻しないと思います」と小ボケを1つ。2002年のプロ野球オールスターで起きた松井秀喜飛行機乗り遅れ事件を掘り起こし、それでも結果を残して見せた“大スターの余裕”をイジった。

■「監督は由伸、二岡、阿部って決まっている」ダグアウトならではのウラ話

マメに連絡をとるなど、後輩から慕われるに相応しいエピソードをいくつか披露していた上原。小沢が「いつかジャイアンツの指導者…見たいねえ」とニヤニヤすると、上原は笑みを浮かべていた。

小沢が「“ダグアウト”なんで何しゃべってくれてもいいですよ」と笑い混じりに言うと、「日本に腰を据えているんだったら可能性はあると思うんですけど、行ったり来たりしているので…」と遠慮がちな一言が。しかし一方で、「監督は(高橋)由伸、二岡(智宏)、阿部(慎之助)って決まっているでしょうから」との発言も飛び出した。リアルな名前の数々に、「何しゃべってくれてもいい」と言った小沢も「ダグアウトとはいえ…!!」と言葉を詰まらせる。

“球界・チームの展望”などを話す際は、元同業であればどうしても守りに入った言葉を選んでしまうもの。しかし大の野球好きしかおらず、リラックスした空気のなかでは出てくる言葉にも幅が生まれる。豪華ゲストによる球界のウラ話と、人間性の芯に食い込んだ話ができるのは「ダグアウト!!!」の形式ならでは。さまざまなチームのダグアウトにお邪魔する気持ちで、次回以降に訪れるゲストの話も楽しみたいものだ。

ベンチで話すような球界のウラ話が聴ける新番組「ダグアウト!!!」放送決定/※提供画像