カメルーン代表FWファブリス・オリンガ(27)が自身の選手キャリア後退を振り返った。

オリンガという名前を聞いて、一体どのくらいのサッカーファンが覚えているだろうか。マラガ時代の2012年8月、ラ・リーガデビュー戦でいきなりゴールを決め、16歳98日という当時のリーグ史上最年少ゴール記録を樹立したウインガーだ。

あれから11年の月日が流れ、現在は選手として油が乗ってきた年齢であろう27歳。だが、現在地はルーマニア1部の中堅クラブであるFCボトシャニ。歴史的ゴールから2年でマラガを去り、キプロスベルギールーマニアポルトガルを経て、今年から再びルーマニアに戻ってきた。

早熟と言ってしまえばそれまでだが、スペイン『Relevo』のインタビューに応じたオリンガは、望まなかったマラガ退団が選手キャリア後退を招いたと振り返る。

「あのゴールが全てを変えてしまった…1試合の勝利に貢献しただけなのに。(当時チームメイトの)イスコやホアキン・サンチェスからの祝福に浮かれたけど、調子に乗ったのは僕ではなく当時の代理人だ。彼のせいで人生の歯車が狂い出した」

「1年後、17歳の僕はマラガとの契約延長を話し合う時期を迎えた。けど、結局は延長してもらえなかったんだ。代理人がマラガに多額の金銭を要求し、別のクラブで引き取り先を見つけると言い出した。彼と僕の間で意見交換はほとんどなかったよ」

結果的に行き着いた先は、欧州の主要リーグから大きくかけ離されたキプロス1部のアポロン・リマソル。自らクラブと契約交渉などできるはずもない当時17歳のオリンガは「あまりにも騙されすぎた…サッカーを辞めたいとさえ思った」と変えられない過去を悔やむ。

それでも現在2児の父だというオリンガは「子どもたちのためにも、自分に残された選択肢にしがみつかなきゃね(笑) ルーマニアでのプレーは楽しいよ。僕の経歴はこの国では不思議でもなんでもないらしくてね」と笑い飛ばす。

また、つい先日に自身の最年少ゴール記録を塗り替えたバルセロナスペイン代表FWラミン・ヤマル(16)については、自身と同じ境遇に陥ることはないと断言。代理人の重要性を説きつつエールを送った。

「ラミンと僕の違い? 彼は素晴らしいキャリアを築くべく懸命に努力し、そばには優れた代理人もいると聞いているよ。世界最高のユースアカデミーに育まれ、今は世界最高の選手たちとプレーしている。僕とは何もかも違うね」

「僕が彼の年齢だったころ、僕の代理人はたくさんの悪事を働いた。けど、良い家族と、選手を優先して考えてくれる代理人に囲まれていれば、物事は必ずうまくいく」

「ラミンが僕の記録を塗り替えた? 残念でもないし、むしろ幸せな気分だよ。彼を支える人たちの温かさを感じ取れるからね」