東大寺初代別当(住職)、良弁(ろうべん)僧正の没後1250年に当たる2023年、10月14日(土)から16日(月)までの3日間、大仏殿の前庭で御遠忌法要が厳修される。その一環の「慶讃奉納公演」として、10月7、8日に「東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌慶讃 MISIA PEACEFUL PARK Dialogue for Inclusion 2023」が開催された。8月に初開催となった河口湖に続いて、東大寺でスペシャルなゲストを招いて行われた同イベント。7日のリポートが届いた。

【写真】“神秘的…”MISIA、堂本剛と向かい合っての歌唱パフォーマンスを披露

■観客1万6000人が集結

音楽やアート、食を通じて、互いのこと、社会のこと、世界のことを楽しく学び、混ざりあい、一人一人が“インクルーシブとは何か”を体験し、体現することで、未来へのチャリティーにつなげるというコンセプトで2023年に誕生した「PEACEFUL PARK」。

大仏殿前庭に設けられた野外特設会場には、二日間で計1万6000人の観客が集まり、MISIAをはじめ、スペシャルゲストとして、.ENDRECHERI.、元ちとせNARITA THOMAS SIMPSON、Little Black Dress(7日)、UA(8日)という顔ぶれがそろう。

PEACEFUL PARK」のメッセージを世界中の人々が思い思いのメロディーで歌う映像が流される中、コメントを寄せたのは地元・奈良出身で、会場に設置された「生きてるだけでまるもうけベル」のモニュメントにもなっている明石家さんま東大寺のすぐ近くの小学校に通っていたというエピソードなどを披露した。

■次々と迫力のある演奏をしていくスペシャルゲストたち

MISIAが登場し、「心を込めて音楽を奉納させていただきます」というあいさつに続いて1曲目に披露したのは「ラグビー ワールドカップ 2023」のNHKテーマソングである「傷だらけの王者」。

そして今回、Rockon Social Clubから、成田昭次、寺岡呼人、青山英樹の3人がNARITA THOMAS SIMPSONとして参加。迫力の演奏と大仏殿が赤く染まるビジュアルに圧倒される。そのまま2曲をパフォーマンスしたNARITA THOMAS SIMPSONに続いて、Little Black Dressがステージに。「マロニエの花」など新曲2曲で盛り上げた。

レゲエのグルーヴが大仏殿に渦巻く「ワダツミの木」を披露したのは元ちとせ。独特の節回しによる歌唱が特別な場所と相まって、心地よく響いた。曲終わりで登場したMISIAも思わず「すてき」と感嘆の声を漏らす。

「せっかく奄美大島からやってきたので、MISIAさんと1曲、一緒にやりたいと思います」と言って披露した「腰まで泥まみれ」。「花はどこへ行った」などで知られるピート・シーガーの反戦歌を、日本のフォークシンガー・中川五郎が訳詞したものだ。元ちとせは、自身のアルバム「平和元年」に同曲を収録しており、MISIAは自身のライブで「花はどこへ行った」をカバーしている。

■ステージのフィナーレはゲスト全員で

続いて「PEACEFUL PARK」のメッセージソングMISIA ver.”をきらびやかなファンクでパフォーマンスした後、「Higher Love」「希望のうた」と2曲続けた。

MCでは、コロナ禍の2020年7月に「音楽の日」(TBS系列)で初めて東大寺で歌を奉納した時のことを語った。披露したのは「さよならも言わないままで」。心の傷をそっと癒すような歌声とメロディーが観客一人一人にしっかりと届いた。

「ここ東大寺は人々の安寧を願って建てられたそうです。今、インクルーシヴな世界の実現ということが唱えられていますが、1200年以上も前からこの場所でそのことが祈られてきたんだなって、先人の思いに驚かされ、学ばせていただいています」と、東大寺の歴史に思いを馳せるコメントを残している。

そして、最後のゲストを「次のゲストは、ここ奈良の出身で、東大寺でも歌を奉納されています、.ENDRECHERI.、堂本剛さんです」とMISIAが紹介。

自分の命が始まった場所を歌った「街」、そして「あなたとアナタ」に続いて、「僕たちには愛がある。それぞれなのは当たり前。だからこそ愛は求めるのではなくて、与えるものなんだ。愛っていうのは僕たちが真っ直ぐに生きていくことなんだ」という思いを込めたという「LOVE VS LOVE」をMISIAとともに披露。歌い合うことで曲の世界観とメッセージがより深く広がっていくのを感じられた。

.ENDRECHERI.を送り出した後は、「アイノカタチ」「明日へ」と披露し、ラストは「あなたにスマイル:)」。ゲストを全員ステージに呼び込んでフィナーレを迎えた。

MISIAが「東大寺開山良弁僧正1250年御遠忌慶讃 MISIA PEACEFUL PARK Dialogue for Inclusion 2023」を開催/※提供写真