飼い主夫婦が高齢者介護施設に移ったために、取り残されてしまった犬がいた。
マンションの玄関先で飼い主が戻ってくるのを待ちながら孤独に過ごす犬を、いつも慰めて寄り添っていたのは、敷地内に住む野良猫だった。
マンションの住人たちによく知られていた2匹はしばらく建物の周りにいてみんなにお世話されていたが、新しい飼い主のもとで幸せになってほしいという住人たちの希望で、処分されることのない動物保護団体に保護された。
"Don't Worry, Your Family Will Find You" Cat Comforts A Dog Who's Abandone
野良の犬猫を救済・保護し支援する韓国の動物保護団体「Kritter Klub(クリッター・クラブ)」は、2020年7月、あるマンション前で保護した犬と猫の動画をYouTubeに公開した。
犬と猫は異なる種でありながら、マンション敷地内でいつも一緒に過ごしお互いを慰めあっていたという。
実は犬には老夫婦の飼い主がいたが、高齢者介護施設に移ってしまったという。
マンションの住人によると、介護施設ではペットの飼育が禁止されており、老夫婦は犬を引き取ってくれる場所を探すこともなく放置して行ったようだ。
[もっと知りたい!→]メンバー構成は犬4、アヒル2、猫1。悲しい境遇を経てめぐり合えた仲良し動物ファミリー
突然飼い主がいなくなり取り残された犬は、困惑し孤独に陥った。
敷地内を歩き回っては、マンションの玄関先で飼い主が再び戻ってくるのを信じてじっと座って待ち続けた。
犬は、来る日も来る日もマンションのドアの前を通り過ぎる住民を観察した。だが、飼い主が現れることはなかった。
住民たちは犬の状況を見て気の毒に思い、建物の入り口の隅に毛布を持ってきて敷いた。
犬は毛布の上に座って眠るようになり、住人たちは交代で犬に餌を与えるようになったが、犬は飼い主が再び現れることを信じて探し続けた。
野良の茶トラ猫と友達になる
ある日、茶トラ猫がその建物にやって来た。猫はマンション周辺に住みついていた野良猫のようだった。
犬と猫はすぐに意気投合し、毎日一緒に過ごすようになった。
犬の孤独な事情を知るはずもないが、猫は犬のさみしさを感じ取ったのだろう。
まるで犬を励ますように寄り添ったりじゃれついて遊んだりと、猫は犬を慰めるようにそばにい続けた。
犬は猫の愛情を受け入れ、2匹は仲間として互いに絆を育みあった。
マンション前で毎日一緒に犬と猫が過ごしている光景を、住人らは微笑ましい気持ちで見ていた。
猫は警戒心が強く住民が通りかかると素早く避けて隠れようとし、住民が立ち去ると再び犬のそばに現れた。
人間には決して心を許していなかった猫だが、犬は特別で毛布の上で寄り添って眠った。2匹は互いに精神的な支えとなっていたようだ。
心やさしい住民たちは2匹に食べ物を与え続け、雨や嵐から身を守るために犬小屋を2つ建てた。
だが、犬は犬小屋の中で寝るよりも建物の入り口で眠り続けた。その姿はまだ飼い主を諦めていないというようにも見えた。
住民と保護団体が2匹の保護を試みる
住人たちは2匹が幸せに暮らせるようにしかるべきところで保護してもらった方がいいと考えるようになった。
冬が近づくと寒さに耐えられなくなることを心配した住人たちは、2匹を救出するために救済・保護団体の「Kritter Klub(クリッター・クラブ)」に連絡し助けを求めた。
団体メンバーが到着すると、2匹を安全に保護するためにマンション入り口の階段に捕獲用の網を敷いた。
住民が置いた餌におびき寄せられた猫は、網のある場所までやってきた。メンバーは網を上から引っ張り猫を捕獲することに成功した。
網の中で暴れる猫を見た犬は驚き、恐怖を感じたようだ。すぐにその場から走り去った。
数日間、犬は警戒してマンションに近寄ろうとはしなかったが、ついに姿を現したところを団体メンバーと住民たちが捕獲し、ケージに入れた。
2匹が安全に保護されることになった。これまで餌をあげて見守って来た住民のなかには涙を流す者もいた。
2匹が永遠の家で幸せになれるよう願う住民
2匹は施設メンバーによってすぐに動物病院で健康診断を受けた。幸いにも、2匹は健康状態が良好で寄生虫もいなかった。検査した獣医師は驚いたようだ。
猫と再会した犬は同じケージに入れてもらった。
現在この2匹がどうなっているのかはわからないが、処分されることのない施設だ。2匹にいい飼い主が見つかることを住民が願っていたように、今2匹が一緒に幸せをつかんでいるといいね。
References:A Cat Hugs and Comforts a Lonely Dog whose Owners Moved to a Hospice and was Left Alone in the Compound/ written by Scarlet / edited by parumo
コメント