今年9月に刊行した『新幹線全史 「政治」と「地形」で解き明かす』は売れ行き好調につき、発売から1か月を待たずこのたび3刷が決定しました。
本書は日本の新幹線の歴史を「路線の成り立ち」という視点から検証し、経路選定や新駅の立地の謎など、知られざる過去を紐解いた一冊です。各地域の経路案や駅の建設候補地をつぶさに見ていくと、当時の政治との関わりや、地元有力者の駆け引きなどがまざまざと浮き彫りになります。
【本書「はじめに」より】
本書は新幹線の路線の成り立ちに焦点を当てた一冊である。どのように新幹線の構想が生まれ、やがて実現するにいたったのか。最初に開業した東海道新幹線の予想を超えた成功を受け、新幹線を取り巻く内外の環境がどのように変容して現在にいたったのか。新幹線の路線経路や停車駅の位置や名称がどのような過程を経て決められていったのか。こういった点を徹底的に深掘りした。
最初に実現した東海道新幹線が着工されたのは、昭和34年(1959)である。それから60年以上が過ぎた今も新幹線は建設されつづけている。新幹線の歴史イコール日本の戦後の歴史であるというのは言い過ぎだとしても、日本の戦後の歩みの一面を象徴しているのはまぎれもない事実であろう。
本書でとりわけ心血を注いだのは、政治と新幹線の関係である。東海道・山陽新幹線の建設計画は、東海道本線や山陽本線における輸送量の増大と近い将来飽和に達するというせっぱ詰まった事情が、建設への強い動機付けとなった。国鉄側の事情が大きかったわけだが、東海道新幹線の成功をつぶさに見た政治家が黙って指をくわえているはずもなかった。その後の新幹線建設の局面では、政治の影が見え隠れするようになる。
新幹線は過去の歴史ではない。北陸新幹線や西九州新幹線の未成区間をどうするのか。リニア中央新幹線はどうなるのか。北海道新幹線と並行在来線の問題、開業から30年を超えた山形新幹線の今後のあり方など、新幹線をめぐる課題は山積している。さらに、「山陰新幹線」「四国新幹線」「東九州新幹線」を具体化する話も関係自治体から出てきている。未来の日本国民に是非の判断が求められる案件が目白押しである。
【図版資料も多数収載】
左から「東北新幹線・盛岡以北の経路案」、「上越新幹線・長岡~新潟間ルート案」、「山陽新幹線・新大阪~姫路間経路案」。
各地域の経路案や新駅の建設候補地など、見ごたえたっぷりの図版資料を多数収載! 当時の政治情勢までも透かし見ることができます。
【目次】
はじめに
第一部 新幹線の誕生
第一章 新幹線計画の原点
第二章 東海道新幹線
第三章 山陽新幹線
第二部 拡大する新幹線路線
第四章 新幹線と列島改造
第五章 東北新幹線
第六章 上越新幹線
第三部 凍結された計画の復活
第七章 国鉄民営化と新幹線
第八章 北陸新幹線
第十章 北海道新幹線
おわりに
【著者紹介】
竹内正浩(たけうち・まさひろ)
地図や鉄道、近現代史をライフワークに取材・執筆を行う。
著書に『ふしぎな鉄道路線―「戦争」と「地形」で解きほぐす』『写真と地図でめぐる軍都・東京』(NHK出版新書)、『地図と愉しむ東京歴史散歩』シリーズ(中公新書)、『妙な線路大研究』シリーズ(実業之日本社)ほか多数。
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商品情報
書名:『新幹線全史 「政治」と「地形」で解き明かす』
著者:竹内正浩
出版社:NHK出版
発売日:2023年9月11日
定価:1,210円(税込)
判型:新書判並製
ページ数:352ページ
ISBN:978-4-14-088706-6
NHK出版ECサイト:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000887062023.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4140887060/
配信元企業:株式会社NHK出版
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