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NUANCEのワンマンライブ「Case to Romance」が10月6日に東京・LIQUIDROOMで開催された。

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怒涛のノンストップライブがスタート

NUANCEは2017年に結成された神奈川・横浜発のアイドルユニット。横浜の街を連想させる歌詞やテーマの楽曲をハイクオリティなポップソングに昇華し続け、アイドル界の中で独自の道を歩んでいる。今年8月より新メンバーに城戸海月を迎えて活動している彼女たちは、新体制初のワンマンライブとしてLIQUIDROOM公演を開催。アコースティックの生バンドを交えたパフォーマンスも挟みつつ、息つく暇もなくノンストップで楽曲を届けた。

ライブのオープニングでは、4月の神奈川神奈川県民ホール公演にも出演した芸人の寺田寛明とオジマアロー(ぎょねこ)が登場。2人の軽快なコントに笑いが起き、場内の温度が高まったのち、いよいよLIQUIDROOMワンマンが幕を開けた。白い衣装でステージに姿を現した川井わか、蓮水恭美、汐崎初音、城戸の4人が最初に披露したのは「コロニアルスタイル」。8月に配信リリースされたばかりのこの曲は横浜の山手にあるコロニアル様式の洋館をモチーフにしたナンバーで、和洋折衷なサウンドがちりばめられている。ライブの開始早々にオーディエンスの視線を釘付けにしたメンバーはフロアを煽りつつ、「ミライサーカス」「セツナシンドローム」「ハーバームーン」など、グループを代表する楽曲を惜しみなく披露。ステージ上に置かれた椅子を振付の中に巧みに取り入れながら、会場の空気を時にポップに、時に艶やかに染め上げていった。

上質な“luxury”パフォーマンス

歌謡曲のムードを漂わせる「悲しみダンス」はこの日が新体制初の披露。新曲「Carmine泥んで」もセットリストに加わり、NUANCEの表現の幅広さが今まで以上に強調される。さわやかな疾走感を感じられる「Carmine泥んで」は横浜の寿町をテーマにした楽曲で、川井わかが初めて振付を担当し、椅子を存分に駆使したパフォーマンスを作り上げた。

ライブの中盤にはNUANCEのサウンドプロデューサーである佐藤嘉風がガットギターとアコースティックギター、 西岡ヒデローがパーカッションフリューゲルホルン、サトウヒロがウッドベースを担当するアコースティック編成のバンドが、椅子に腰かけたメンバー4人の後ろにスタンバイ。NUANCEのレパートリーの中からアコースティックにぴったりなしっとりとした楽曲が、上質な“luxury”バージョンとして届けられた。「tomodachi」「for yourself」ではオレンジ色の照明が夕陽のようにステージを照らす中、バンドが奏でる繊細な音色にメンバーの伸びやかで切ない歌声が重なる。続く「8月のネイビー」「からくれない」でも柔らかな歌と演奏が観客を包み込み、会場全体に心地よい一体感が生まれた。

ライブが終盤に差しかかると、アコースティックパートで穏やかになった場内の空気が再び熱を帯びていく。椅子の上に立ってのパフォーマンスが目を引く「cosmo」、横浜中華街をモチーフにした「Ocha cha cha chinatown」、観客と「Oh Oh Oh」と声をそろえる「ナナイロナミダ」、NUANCEを象徴する1曲「タイムマジックロンリー」などが怒涛の勢いで畳みかけられた。「雨粒」では感情の昂りを表すような勾配のある曲展開で観る者を圧倒。「悲しみダンス」と同様に新体制初披露となった「wish」では4人のバックで西岡がトランペットを吹き、バレエをイメージさせるしなやかなダンス、情感がたっぷりとこもった歌声に温かな彩りを加えた。

異世界アイドル“ヌアンスュ”登場。

ここまで計22曲を休みなく披露したNUANCEは一旦ステージをあとに。入れ替わるようにオジマアローが登場し、「NUANCEのライブに行く途中に交通事故に遭うと、すべてがちょっとだけ違う異世界に飛ばされ、NUANCEにそっくりなヌアンスュという異世界アイドルグループを見ることができる」という噂話を紹介した。そしてLIQUIDROOMのトイレから飛び出してきた4tトラックにはねられ、実際に異世界に迷い込んでしまったという彼は、吉田豪かわいい猫の画像だけをリツイートしていたり、マンガ「HUNTER×HUNTER」の最新話が毎週2本ずつ「#漫画が読めるハッシュタグ」とともに公開されていたりと、もとの世界との違いに気付く。するとそこに猫耳と猫の手のグローブを身に付け、猫じゃらしを手に持ったヌアンスュが姿を現し、NUANCEの音楽性とは真逆とも言える直球アイドルソング「猫じゃらし乙女じゃらし」をキュートさいっぱいに歌い踊った。

ペンライトを手にしたオジマアローがそのかわいらしいパフォーマンスに見とれ、「いやー、異世界最高だなあ」と興奮していると、ヌアンスュの4人はおもむろに猫耳と猫の手のグローブを外してステージ上に放り投げる。「NUANCEだよ! 異世界じゃないよ」と、自分たちが猫耳を付けたNUANCEであること、ここが異世界ではないことを明かした彼女たちは、「この世界でがんばっている私たちをちゃんと見てください」「私たちと会えるのも交通事故くらいの確率かもしれないですよ」「あんまりほかの子を見てると怒っちゃいますよ」とオジマアローを叱りつけた。

コントで場内を笑いで満たしたNUANCEの4人は、ここでようやくこのライブ初のMCへ。会場のファンにはつらつと挨拶したのち、この日2つ目の新曲「赤レンガ空中さんぽ」を初披露した。横浜の情景が浮かぶポップなナンバーを響かせた彼女たちは、続いてライブのラストナンバーとして「sky balloon」をパフォーマンス。観客は4人のダンスに合わせて両手を頭上に掲げ、これが初のワンマンライブとなった城戸は達成感に満ちた笑顔を浮かべる。こうして晴れ晴れとしたムードの中でLIQUIDROOM公演は締めくくられた。

なお新曲「赤レンガ空中さんぽ」は各音楽ストリーミングサービスや配信サイトで配信中。YouTubeではミュージックビデオが公開されている。2024年1月27日には神奈川・yokohama mint hallでアコースティックライブ「luxury NUANCE oneman live」が開催される。

セットリスト

NUANCE「NUANCE ONEMANLIVE『Case to Romance』」2023年10月6日 LIQUIDROOM

SE. 白昼ブランコ
01. コロニアルスタイル
02. ミライサーカス
03. セツナシンドローム(イス ver.)
04. ハーバームーン
05. sekisyo
06. sanzan
07. ルカルカ
08. 悲しみダンス
09. Carmine泥んで
10. サーカスの来ない街
11. tomodachi(luxury)
12. for yourself(luxury)
13. 8月のネイビー(luxury)
14. からくれない(luxury)
15. cosmo
16. FlatRat
17. Ocha cha cha chinatown
18. ナナイロナミダ
19. タイムマジックロンリー
20. last a way
21. 雨粒
22. wish
23. 猫じゃらし乙女じゃらし / ヌアンスュ
24. 赤レンガ空中さんぽ
25. sky balloon

ライブ情報

luxury NUANCE oneman live

2024年1月27日(土)神奈川県 yokohama mint hall

「NUANCE ONEMANLIVE『Case to Romance』」の様子。