揺れ動く世界情勢のなか、物価高と上がらない給与に直面する現在。さらなる日本経済の落ち込みが懸念されています。日本人の日々の暮らし、現状は? 総務省『家計調査(二人以上の世帯)2023年(令和5年)8月分』などをもとに見ていきましょう。

実収入は1世帯あたり平均「54万4,043円」だが

10月6日公表の総務省『家計調査(二人以上の世帯)2023年(令和5年)8月分』によると、勤労者世帯の実収入は1世帯あたり平均「54万4,043円」。前年同月比で実質6.9%減少しています。一方の消費支出の平均は「29万3,161円」。こちらは前年同月比で実質2.5%の減少になりました。

勤労者世帯の収入について詳しく見ていきましょう。「54万4,043円」のうち、世帯主の収入が「37万6,075円」、配偶者の収入が「8万1,768円」となっています(そのほか定期収入や他の世帯員収入についての項もありますが、ここでは割愛します)。

消費支出の内訳を見てみると、食費が「9万1,014円」ともっとも大きなウエイトを占めており、交通・通信費が「4万3,843円」、教養娯楽が「3万3,366円」と続きます。教育費は「6,999円」。

54万円の収入に、29万円の支出。この数字だけで言えば、月25万円程度は自由に使えるようにみえますが、ここから「非消費支出」(社会保険料・税金など)が差し引かれます。

最新の非消費支出、勤労者世帯については「9万4,765円」とかなりの金額です。内訳を見てみると、勤労所得税「1万4,055円」、個人住民税「2万837円」、他の税「2,121円」、そして社会保険料「5万7,723円」。全体を見れば、社会保険料が、食費に次ぐ高額支出であることがわかります。

社会保険料に関しては、じわりじわりと負担が増え続けていることが明らかになっています。将来の年金のため、万が一健康を損なったときのため……と払わないわけにはいかない支出とはいえ、それで生活が苦しくなってしまっては、元も子もありません。

勤労者世帯の2002年~2020年の社会保険料を見ていくと、初めて5万円台を記録したのは2013年のこと。多少の増減は見られるものの、一昔前から1万円以上も増加しているのです。

社会保険料の重すぎる負担…さらにその先にあるのは

2002年 4万4,152円

2003年 4万4,347

2004年 4万3,596円

2013年 5万102

2014年 4万9,456円

2015年 5万1,035円

2016年 4万9,287円

2017年 5万691円

2018年 5万3,612円

2019年 5万6,304

2020年 5万7,223円

社会保険料の推移については、専門家の次のような指摘も。

“年収が1000万円あっても、手取りは600~700万円にまで減ってしまいます。給料が上がったとしても、税金や社会保険料の負担が重たいために、手取り額はほとんど増えません。実際にこの十数年間、年金や保険料の負担額は上がり続けています。”(竹田真基『9割の日本人が知らない「資産形成」成功の法則』幻冬舎MC・2019年6月)

少子高齢化が加速度的に進む日本。今年20歳を迎えた人数は、過去最少の117万人となりました。そして2022年の出生数はおよそ77万人。このまま生産年齢人口が減り続ければ、経済のさらなる停滞、社会保険料の増加は免れないでしょう。世界情勢も揺れ動き、国内の物価高も収まらないなか、今後待ち受けるのは、今以上に厳しい生活かもしれません。

(※写真はイメージです/PIXTA)