井ノ原快彦、東山紀之

「報道機関の皆様におかれましては、告発される方々のご主張内容についても十分な検証をして報道をして頂ますようお願い申し上げます」──。9日、ジャニーズ事務所が創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題をめぐる報道に「検証」を要請し、ネット上で物議を醸している。

ジャニーズは、相次いで「声明」を出しているが、業界内でも厳しい指摘が…。

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■5日間で計5回の「声明」

ここ最近、ジャニーズ事務所が連日コメントを出している。5日、「NGリスト騒動」への関与を否定し、『週刊文春』の「木村拓哉が社名変更に最後まで反対していた」という報道に抗議。

7日は、10月6日に配信された写真週刊誌『FRIDAY』の「藤島ジュリー景子前社長が10月2日に行われていた会見会場に来ていた」という報道に対し、「事実無根」とコメント。

9日には、ジャニー氏による性加害で「被害者でない可能性が高い方々が「虚偽の話をしているケースが複数ある」と報告し、報道機関に「検証」を要望。そして、10日に「NGリスト」の事実調査結果の報告…と、5日間で計5回「声明」を出しているのだ。


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■連日の「声明」に関係者も驚き

ある出版関係者は、連日のジャニーズの発表に驚きを口にする。

「業界内では、『ジャニーズ事務所はあまりコメントを出さない』というイメージが定着していました。『NGリスト騒動』は世間でも騒がれたので事実関係の調査結果を示す必要があったのでしょう。ただ、木村さんが社名変更に反対していたという報道にも長文でコメントしたのには驚きました。過去に、週刊誌がジャニーズタレントに対する批判的な記事を出した時は、ノーコメントか短いコメントを出す程度でしたからね。こんなふうにホームページで毎日のようにコメントを出すのは珍しいですよ」(出版関係者)。


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■「悪手だった」声明

これまでのジャニーズ事務所スタンスを知る人にとっては「異例」に思えることでも、事実と異なる報道に対して、事務所が見解を出すのはおかしなことではない。

前出の出版関係者も、その点には理解を示しつつ、冒頭のジャニー氏の性加害問題に対する「要請」には苦言を呈する。

ジャニーズ事務所としては、当事者が亡くなって事実確認が難航する中、被害者ではない人達が虚偽の”告発”をするのを危惧したのでしょう。ただ、9月の会見以降、被害者への補償を表明する中、こうした声明を出すと『ジャニーズは被害者の中にウソを付いてる人間がいると決めつけてる』『被害者を軽視している』と受け取られるリスクがあります。この声明は悪手だったのではないでしょうか」(前出・出版関係者)。

ジャニーズ事務所に対する世間の目は厳しくなっている。この行動によって、さらに風当たりが強くなりそうだ。


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■ネット上でも批判の声

ネット上でも、9日のジャニーズ事務所の「声明」に対する厳しい意見が見受けられる。

「被害者にウソつきがいるかもしれないって、加害者側が絶対に言っちゃいけない台詞」「企業の謝罪としては悉く裏目の行動をとってる」「今まで事件を起こし、それを封じ込めてきた事務所が不服を言える立場ではない」など、批判の声が続出。

また、「被害を受けた人が、いままさに申し出るかどうか悩みに悩んでいる時」「会見で、立証責任を被害者側に負わせることはない、と明言していたはずだがあれは何だったの」「人生を棒に振られた被害者に、少しでも多くの被害金額をいくようにしないと」といった、被害者を気遣う声も見受けられる。

改めて、ジャニーズ事務所には被害を受けた人に真摯に向き合うことを願うばかりだ。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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