パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」がイスラエルに大規模攻撃を仕掛け、双方に多数の死傷者が出ている事態について、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏はXに、次のように投稿した。

ウクライナ人は祖国のために戦っている!祖国のために命かけることは尊いと普段言っている者は、パレスチナ人が命をかけて祖国を守る行為を尊いとは言わない。普段ロシアに即時撤退と言っている者は、イスラエルの入植活動即時撤退とは言わない。結局、中国嫌い、ロシア嫌い、欧米からの批判が怖いだけのダブルスタンダードチベットウイグルウクライナを守れ、法の支配を守れと言うなら、ハマスのテロ行為を非難するとともにイスラエルの入植活動や人道違反行為も厳しく非難しなければならない。政治的妥結による二国家共存を迫るしかない〉

 この投稿に激しく反応したのが、歯に衣着せぬ物言いで評判の、気鋭の中東専門家・飯山陽氏だった。

〈なるほどなるほど、橋下徹氏はハマスが子供を生きたまま焼き殺したり、音楽フェスにきていた女性を次々レイプして殺したり、民家に突入して家族全員虐殺したりすることが「命をかけて祖国を守る行為」であり「尊い」というわけか。ハマスパレスチナ人の正当な代表などではない。テロ組織だ〉

 このようにXに投稿し、橋下氏に反論したのである。飯山氏は重ねて、次のように主張している。

〈日本人はハマスを「かわいそうなパレスチナ人のために立ち上がった戦士」と思っているようだが、ハマスは神の名の下にユダヤ人を一人残らず殺しイスラエル殲滅をめざすイスラム過激派テロ組織である。彼らの指導者たちが自ら常にそう言っているのだから間違いない。自制や対話云々が通じない相手だ〉

 一方、岸田文雄総理は各国首脳がいち早く反応を出したのに対し、10月8日夕になって、ハマスによるイスラエル攻撃について〈罪のない一般市民に多大な被害が出ており、これを強く非難する〉とXに投稿した。ただ同時に、イスラエル軍による攻撃について〈ガザ地区においても多数の死傷者が出ていることを深刻に憂慮しており、全ての当事者に最大限の自制を求める〉と、イスラエルにも自制を求めた。

 飯山氏はこれについても、一刀両断。

岸田首相は要するに、イスラエルは拉致された自国民を見捨てろ、テロリストの拠点も見逃せ、テロには屈しろ、その方がエスカレーションよりずっといい、と言っているわけだ。さすが、「人間の尊厳」を声高に主張するだけのことはある。立派だ。実に立派な呼びかけだ〉

 岸田総理や橋下氏は、こうした批判にどう反論するのだろうか。

(喜多長夫/政治ジャーナリスト)

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