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image credit:davidlei/Instagram

 今年2月、アメリカ・ニューヨーク動物園から脱走して有名になったユーラシアワシミミズクの“フラコ”を覚えているだろうか。

 セントラルパーク動物園で生後数か月から約13年間飼育されていたのだが、何者かによって囲いを破壊され、外に飛び立ってしまってから8か月が過ぎた。

 今もフラコはセントラルパークで自由を謳歌している。ニューヨークの太ったネズミを狩りまくってるようで、当時の2倍ほどの大きさになっているという。

 長い間飼育下にいただけに自然界で生き残れるのか、動物園側は心配していたが、フラコにとって大都会の片隅でやっていくことは何の問題もなかったようだ。

【画像】 動物園の囲いが壊され脱走したフラコ

 何者かに囲いを破壊され、セントラルパーク動物園からユーラシアワシミミズクのフラコ(13歳 オス)が逃げ出したのは、2023年2月2日のことだ。

 フラコはセントラルパーク内にいるところを目撃され数週間を過ごしていたが、動物園の飼育員らは必死で連れ戻そうとした。

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 飼育下で生まれたフラコが狩りのスキルを身につけないまま自然界に出ても、生き延びることができないのではないかと心配したからだ。

 しかしフラコは持ち前の優れた狩猟本能を発揮させた。

持ち前の狩りスキルを開花させ2倍の大きさに

 それを知った動物園側は救助活動を一時中断し、フラコに困難や苦痛の兆候がない限り、自活を試みさせると発表した。

 フラコのことがメディアやSNSで伝えられると、多くの人がフラコを見にセントラルパークへやって来た。

 現在、フラコはセントラルパークの豪華なアッパー・イーストサイドの梢に住み続けることに何の問題もないようだ。

 むしろ、当初よりもフラコのサイズは2倍ほど大きくなっているという。

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 それはフラコがニューヨークの都会に住む超えた巨大ネズミを捕食しまくっているからだそうだ。

ニューヨークのネズミ・ハンターになったフラコ

 フラコ(Flaco)はスペイン語で「痩せっぽち」を意味するが、今はその名が皮肉になってしまった。

 野生化してから約8か月が過ぎたが、フラコは自力で生きる術を素早く身に着け、今やニューヨーク市の巨大なネズミを狩ることにおいて右に出る者がいないというぐらいの「ネズミ・ハンター」になっているという。

 野生動物写真家、自然愛好家、観光客たちは、ぷっくりしたフラコが道端の木に止まり、ネズミを狩り、180センチほどの翼を広げる姿を披露する珍しい光景に魅了されている。

 ニューヨーカーのアンケ・フローリッヒさんは、フラコが一度に4匹のネズミを食べるのを見たと話している。

聞いたところによると、動物園で食べていたネズミの4倍分だそうです。

脱走して以来フラコは間違いなく大きくなり、大きな声で鳴くようになりました。彼の鳴き声は力強さにあふれています。セントラルパーク中に自分の声を響かせていますよ。

マッチョな筋肉も身にまとったフラコ

 セントラルパークから川を渡ってすぐのニュージャージー州に住むキャシー・ロブレスさん(73歳)は、フラコを見守る1人だ。

動物園では使う必要のなかった筋肉を脱走後は狩りをしたり飛び回ったりして使うようになったことで、マッチョになっているようです。

ネズミに飛びかかるフラコの足は巨大で、大きな爪がついた手のようです。歩くのはよちよちですが、足の筋肉と胸の筋肉をたくさん使っているんでしょうね。

フラコが人気なのは、ニューヨークコンクリートジャングルで生き抜こうとするフラコの精神に多くのニューヨーカーたちが共感しているからだと思います。

最近は、ほとんどの人が自然界の物事に対してそれほど好奇心を示さないから、多くのニューヨーカーがフラコに反応するのを見るとうれしくなります。

 また、マンハッタンの人気バードウォッチングアカウント@BirdCentralParkを運営するデイヴィッドバレットさんは、フラコが脱走してからの経過を追っているが、フラコは当初飛ぶのがあまり上手ではなかったと語る。

フラコは着陸も得意ではありませんでしたが、次第に上手になり始めました。

フラコが野生に適応した中で最も信じられなかったのは、狩りを学ぶ早さです。数日で狩りを覚えたことはほんとうに予想外でした。

歴史的に見てフラコのように飼育下で育てられた動物は、野生でうまく生き延びる能力を持っていません。彼らはサバイバル・スキルを学ばないのです。

フラコは、私たちの知る限り北米で唯一の野生のユーラシアワシミミズクです。だから多くの人がフラコに会うためにセントラルパークを訪れるのでしょう。

フラコはセントラルパークでカリスマ的存在に

 フラコはセントラルパーク動物園に到着したときまだ1歳にも満たなかったが、その後約13年間は飼育されていた。

 ユーラシアワシミミズクは極地圏と熱帯を除くユーラシア大陸の大部分に生息する大型種のフクロウの一種で、北アメリカには生息していない。

 バレットさんが言うように、フラコは北米で唯一の野生のユーラシアワシミミズクなのだろう。

 今ではフラコはすっかりカリスマ化している。

 ユタ州の技術労働者で野生動物写真家のライアン・ストットさん(46歳)は、有名なフラコ見るために、最近ニューヨークへの出張を1日延長したそうだ。

このような大都会で、珍しくて美しい鳥を見るという経験自体が信じられませんでした

 そう話すストットさんは、「フラコの体格がぽっちゃりしていて目立つため、冬を越せるかどうかという過剰な心配はしないようにしています」と付け加えた。

 ちなみにユーラシアワシミミズクの平均寿命は20~30年ほどだ。

 自称「熱心なフクロウウォッチャー」で不動産業に従事するデイヴィッド・レイさん(35歳)もフラコに魅せられた1人で、たくさんの写真を撮影しインスタグラムアカウント『davidlei』でシェアしている。

フラコは毎回いろんな姿を見せてくれます。時にフワフワして大きく見えます。表情も豊かです。フラコがカリスマ的な存在である理由のひとつはそこにあるのでしょう。

 動物園の飼育員らも、逃げたフラコがここまでたくましく生き延び、有名になるとは思っていなかったに違いない。

 願わくばこのまま天命を全うしてほしいものだ。ニューヨーク、マンハッタンに行く予定のある人は、是非セントラルパークに立ち寄って、フラコを探してみてほしい。

References:New York City's Central Park Owl 'Flaco' is now TWICE as big as when vandals helped him escape zoo - after feeding off the Big Apple's huge rat population/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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ニューヨークの脱走フクロウ、肥えたネズミを捕食しまくり体が2倍に