“世界最高峰のピアニスト”と誰もが認める内田光子。特に、モーツァルトシューベルトシューマンベートーヴェンの作品などにおいては、その深い作品解釈が高い評価を得ている。中でも彼女の名を世に知らしめたモーツァルトは格別だ。

そのきっかけとなったのが、1982年に東京とロンドンで行われた「モーツァルト・ピアノソナタ連続演奏会」だ。ロンドンの批評家から絶賛されたこのシリーズを受けて、1984年に行われた「モーツァルト・ピアノ協奏曲全曲演奏会」が、今をときめく「世界のウチダ」への大きな1歩となったことは間違いない。

イギリス室内管弦楽団を弾き振りしたこのシリーズの成功は、大手レーベルによるモーツァルトの「ピアノソナタ」&「ピアノ協奏曲」全曲録音へと繋がり、名実ともに国際的な名声を得ることとなったのだ。その内田光子によるモーツァルトの「ピアノ協奏曲」弾き振りをライブ体験するチャンス到来。

共演するオーケストラは、内田がアーティスティック・パートナーを務めるマーラー・チェンバー・オーケストラだ。1997年に指揮者クラウディオ・アバドと共に、自由で国際的なアンサンブルを目指すという共通のヴィジョンによって創設された同団は、近年内田が共演を重ねる最高のパートナーと言える存在だ。

今回は、モーツァルトの「ピアノ協奏曲」2曲の間に近現代の作品が挟み込まれるという凝ったプログラムによって、両者の強い絆を体感できる素敵な時間となりそうだ。“音楽の極みを探求し続ける求道者”内田光子の今を堪能したい。

内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ 2023

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2343980

10月29日(日)
札幌コンサートホール Kitara 大ホール(A)

10月31日(火)
ミューザ川崎シンフォニーホール(A)

11月2日(木)
サントリーホール 大ホール(A)

11月5日(日)
滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 大ホール(B)

11月7日(火)
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール(B)

11月9日(木)
サントリーホール 大ホール(B)

プログラムA
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K. 503
シェーンベルク:室内交響曲第1番 作品9
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K. 595

プログラムB
モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番 ト長調 K. 453
ヴィトマン:『コラール四重奏曲』(室内オーケストラのための)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第22番 変ホ長調 K. 482

●内田光子(ピアノ) Mitsuko Uchida, Piano

内田光子は、真実と美の姿を独自に追求しながら、自らが奏でる音楽の世界を深く掘り下げている演奏家である。モーツァルトシューベルトシューマンベートーヴェンの作品の解釈で高い評価を受ける一方、ベルクシェーンベルクヴェーベルン、クルタークなどの作品に光を当て、新しい世代の聴衆に紹介している。『ミュージカル・アメリカ』ではアーティスト・オブ・ザ・イヤー 2022に選出された。
長年にわたりシカゴ響、べルリン・フィルロイヤル・コンセルトヘボウ管、バイエルン放送響、ロンドン響、ロンドンフィルなどとの共演を重ね、クリーヴランド管との共演は100回を超える。ハイティンク、ラトル、ムーティ、サロネン、ユロフスキ、ドゥダメル、ヤンソンスといった世界的な指揮者との共演も多い。2016年からアーティスティック・パートナーを務めるマーラー・チェンバー・オーケストラとは、ヨーロッパ、日本、北米でのツアープロジェクトを行っている。ウィーンベルリン、パリ、アムステルダム、ロンドンニューヨーク、東京で定期的にリサイタルを行い、ザルツブルクモーツァルト週間やザルツブルク音楽祭にも頻繁に出演。
デッカと専属契約を結び、11年にクリーヴランド管を弾き振りしたモーツァルトのピアノ協奏曲のライヴ録音で、また17年にドロテア・レシュマンとで録音したアルバム『シューマンベルク』でグラミー賞を受賞。また、長年にわたり若い演奏家の成長を支援。ボルレッティ・ブイトーニ・トラストの創設メンバーであり、2013年よりマールボロ音楽祭の芸術監督も務める。
05年日本芸術院賞を受賞、文化功労者に選出、15年には作品に対する深い探究と解釈が評価され、高松宮殿下記念世界文化賞(音楽部門)、ザルツブルク・モーツァルテウムよりゴールデンモーツァルトメダルを受賞。サントリーホールソシエイト・アーティスト。