ゲーム大手「Cygames」(東京都渋谷区)で情報漏洩の問題が発生し、同社が法的措置をとっている。人気スマホゲームウマ娘 プリティーダービー』の発表前データが、インターネット掲示板に書き込まれたことによるものだ。

Cygamesは、機密情報が漏洩したとして、投稿者特定のために個人情報開示の訴訟を起こしていた。東京地裁(伊藤孝至裁判官)が権利侵害を認め、投稿者の情報開示を命じる判決(9月19日言い渡し)は10月6日までに確定した。

裁判の中で、Cygamesは、いわゆるソーシャルゲームソシャゲ)は公表前のアップデート情報がリークされると、それを知った一部ユーザーが有利になることから、「ゲーム離れ」が生じうると主張していた。

●『ウマ娘』では過去にも情報漏洩の問題が発生

ウマ娘競走馬擬人化した人気育成ゲーム。判決文などによると、ネット掲示板「5ちゃんねる」のスレッドに2022年8月、アップデート(バランス調整)の内容が投稿された。

この投稿を受けて、ネット上で意見も交わされ、投稿から数日後には一部の内容通りにゲームが調整された。

Cygamesは社外秘情報の漏洩案件として、社内のPCやネット回線から書き込みの形跡がないか調査したものの、見当たらなかったという。そこで、営業権の侵害にあたるなどとして、2022年12月に投稿者の情報開示をもとめる訴訟を起こしていた。

Cygames側は、裁判の中で、ゲームのアップデート情報は、厳格に管理される社外秘情報として扱われ、アクセスも限られていたと説明。このゲームについては、過去にも情報漏洩の問題が発生しており、情報管理の徹底が社内で周知されていた中での出来事だったという。

東京地裁は「相当の確度をもった情報が記載されているから、同社の従業員など関係者によるものであることもうかがわれる」と指摘し、Cygamesの情報管理体制をめぐって、ゲーム運営者としての信用を毀損するだけでなく、業務遂行を阻害したと認めた。

今後の法的措置の見通しや情報漏洩の対策について、弁護士ドットコムニュースが問い合わせたところ、同社は「回答は差し控え」とした。

ウマ娘をめぐっては、今年3月、コナミデジタルエンタテインメント特許権を侵害されたとして、Cygamesを相手取った訴訟を起こしている。(ニュース編集部・塚田賢慎)

「ウマ娘」のアップデート情報漏えいで開示命令、Cygamesは「ゲーム離れ生じる」と主張