情報システム学会は10月10日、「マイナンバー制度の問題点と解決策」に関する提言を公表した。

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 同学会では2013年7月に、マイナンバー制度の目的とその導入に賛同する提言を公表した。そのなかで必要なシステムの設計・開発を開始する際には、実現したいことの明確化と業務プロセスの見直しなど広い意味での制度面の改革が不可欠であることを指摘した。しかし、16年1月のマイナンバー導入から8年が経過した今も、当時指摘した政府系情報システムの問題は解決されないままとなっている。

 マイナンバーに関して2回目となる今回の提言では、現行制度の問題点を分析し解決策を提案した。問題点については、名寄せミスやコンビニでの証明書誤発行という導入初期の問題と、制度設計の根本的な問題に大別したうえで論じている。

 初期の問題では、とくに漢字コードの不統一から生じる名寄せ作業のミスへの対処が重要と指摘し、コンピューターの活用と人手による目視チェックを併用して時間をかけて行うべきだと提言した。制度の根本的な問題では、「本人確認」に含まれる「身元確認」「当人確認」「真正性確認+属性情報確認」の三つの機能を1枚のマイナンバーカードに入れ、さらに保険証や運転免許証の一体化を進めようとしていることから生じる問題を分析した。そして、システムで実現したいことを明確化するために、「本人確認」機能を分離した制度の再設計の必要性と具体的な設計ポイントを提案した。