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空白の2年半と11冊の鉄道写真集

text & photo:Kouzou Ebizuka(海老塚 構造)

こんにちは、AUTOCAR記者の海老塚 構造です。と言っても本サイト上で記名記事を書くのはおおよそ2年半ぶり。コロナ禍による一億総引き籠もりの2年間…、クルマ関連のイベントも軒並み延期からの中止続き、そして人見知り陰キャな私の記事では数字が稼げないということで、イベントレポートの仕事からは事実上リストラ状態となっておりました。

【画像】フィアット 500 ツインエアを中心に200台の2気筒車が集合! 実はこちらがイベントレポート本体? ニキトウミーティング4 全77枚

その間、いかにして命脈を繋いでいたかといえば、笹本編集長がかねてより温めていた、自身が50年前に撮影した鉄道関連の写真を写真集としてまとめ上げるというプロジェクトをお手伝いしていたのです。この計画自体は何年も前から聞いていたのですがこのコロナ禍を契機にスタート、引き籠もってひたすらに50年前の銀塩写真の修復・補正作業に没頭していたのでありました。

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2023年10月1日に発売となった、笹本健次著『私が撮影した機関区と機関車 続編』。コロナ禍に製作された鉄道写真集の11冊目にしてシリーズ最終巻となる。    海老塚 構造

昭和40年代の廃止直前の都電にはじまり、編集長の故郷である山梨の鉄道事情、全国の機関区と蒸気機関車や軽便鉄道などのテーマで編集された写真集は、つい先日の10月1日に発売された『私が撮影した機関区と機関車 続編』で11冊にもなりました。なお、既刊の大部分はすでに完売もしくは残部僅少となっておりますので、最新刊もお早めの入手をオススメします。

フィアット 500 ツインエアを中心に2気筒縛りの置きイベント

もはやイベントレポートを任されることはないと自負しておる私でしたが、どういうワケかAUTOCARスペシャルショップのMT-DRACOの高田さんからのご指名で、10月1日(日)に静岡県磐田市の福田漁港交流広場ふくっぱイベント広場で開催の『ニキトウミーティング4』の取材に向かうことになったのでした。

この『ニキトウミーティング』はその名の通り『2気筒エンジン搭載車』であることが参加条件のイベント。発起人である たけ まことさんフィアット 500 ツインエアに魅せられたことから、2気筒車で集まりたいという気分が高まって2020年10月4日に朝霧高原のドライブインもちやで第1回が開催されたとか。以降、第2回目は蓼科の女神湖音楽堂、3回目と今回は福田漁港に会場を移して開催されてきました。

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10月1日静岡県磐田市の福田漁港交流広場ふくっぱイベント広場で開催された『ニキトウミーティング4』。フィアット 500 ツインエアを中心に約200台の2気筒エンジン搭載車が集まった。    海老塚 構造

約200台の2気筒車と趣味車が集合

目の前は遠州灘、岸壁には賑わう釣り人たち。潮風も心地よい会場には200台近い参加車が集まりました。最大勢力はもちろん現行フィアット 500 ツインエア。その他にパンダ・ツインエアに現500のモチーフとなったヌォーバ500やフィアット 126シトロエン 2CV、サブロク時代の軽自動車ホンダ Zやスバル 360、さらにはパナール PL17といったニキトウたちで賑わいました。

また、主催者が認めれば2気筒車以外も参加できるため、ツインエア以外の500シリーズやアバルト、600 ムルティプラ、フィアットバルケッタ、アウトビアンキ A112、ルノー・トゥインゴ、アルファ・ロメオ、ローバー・ミニに歴代マツダユーノス)・ロードスターといった趣味性の高いクルマたちの姿も見られました。

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現行500シリーズ以外にもヌォーバ500や2CVに360cc時代の軽自動車などの2気筒車、600ムルティプラやなんとパナール PL17までが登場した。    海老塚 構造

多様性を見せるチンクファンのライフスタイル

このニキトウミーティング、広場に愛車を並べるいわゆる『置き系』のイベントですが、私が会場を取材していた朝一番から昼過ぎ頃までの間を見る限り、何かのイベント内プログラム的なモノはなく、参加者やビジターがそれぞれ好きなように歓談したり歩き回ったり、さらにはコスプレしたりとゆったりとした時間が流れていました。しかしながら、かつてコロナ禍前に私が取材に行っていたような置きイベントとはかなり雰囲気が違うように感じました。

2007年に登場した現行世代のフィアット 500シリーズは日本では2008年から販売されています。実に15年ものロングセラーで次期モデルの登場が間近であるにもかかわらず、ここ数年、新車の売れ行きを記録更新していると聞きます。市場にはお値段のこなれたユーズドカーも数多くあり、輸入車ファン以外の人々をも広く魅了しているのでしょう。実際、ホイールやマフラーなどのドレスアップ・チューニングパーツの選択肢も、2008年当時と比べるとかなり豊富になっており、輸入車系ショップやブランド以外にも国産車系の有名パーツメーカーまでもが500シリーズを手がけるようになってきました。

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ノーマルからハードなチューニングカー、ドレスアップカーまで色とりどりのニキトウたち。    海老塚 構造

そうしたマスの拡大によりチンクファンの層が多様化し、従来のイタフラ輸入車系イベントとは少し異なる空気感を漂わせていたのかなと感じ、陰キャの記者には少し眩しいほどでした。多くの人々のライフスタイルの中に溶け込んだ現代のチンクエチェントが『ただのクルマ』ではなく、存在そのものがカルチャーとなる…そんな日が来つつあるのかもしれません。

孤高のパーツブランドMT-DRACO

あくまでもユーザー主導のアマチュアリズムが根幹にあるニキトウミーティングですが、同イベントの趣旨に賛同するショップやパーツブランドのブース出展もありました。今回私が本イベント会場を訪れたのはショップ枠で参加していた『MT-DRACO』からの強い要望によるものでした。

MT-DRACOがどういう背景を持つショップ(というかブランド)なのかは、AUTOCARスペシャルショップをご覧ください。要するに高田 実というクルマ大好きこだわりオジサンが『自分が本当に欲しい本物のパーツ』を、熟練の職人さんやトップカテゴリーの裏側で活躍するメーカーさんとコラボレーションして具現化するというプロジェクト。

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MT-DRACOブースに並ぶ『MT-DRACOアンバサダー』のオーナーカーたち。ブースを訪れたイベント参加車との井戸端会議も弾んでいた。    海老塚 構造

一般的にクルマパーツとはマス・プロダクションですが、MT-DRACO製品はその対極に位置する存在です。結果として超小ロットで高価、非常に尖った内容のモノに仕上がるため、多くのヒトに刺さるとは言いがたいのですが、高田さんと波長が合ったのならとことんハマるパーツたちなのです。

イベント当日のMT-DRACOブースにオリジナルホイールやマフラーといったパーツと共に並ぶのはデモカー…ではなくて6台のオーナーカー! 要はお客さんのマイカーなんですが、高田さん曰く『MT-DRACOアンバサダー』の皆さん。

ノーマルよりわずかに低い地味めな車高のサスペンションにアイドリング領域では純正より静かなスポーツマフラー、純正サイズのホイール。インテリアに至ってはほとんどの車両がノーマル。会場内でもひときわ地味な一角であったといってもよい空間でしたが、それぞれのオーナーさんのこだわりでビ・スポークされたパーツたちの高い質感とこだわりのディテールが実に絶妙な雰囲気を放っているのです。そこに気付いたヒトたちが引き寄せられて来ると、高田さんやMT-DRACOアンバサダーのみなさんとの井戸端会議がいつ終わるともなく続いていました。

最近はイベントへも積極的に出店しているというMT-DRACO。10月28日(土)に富士スピードウェイで開催される『HKSプレミアム・トラックデイ』のアバルト595オーナーズミーティングにも参加されるそう。他人と被らないこだわりのチューニングに興味のあるフィアット/アバルト500オーナーさんは、高田さんとの井戸端会議にでも出かけてみてはいかがでしょうか。


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