癒toRi18株式会社(代表:畝尾賢一、本社:岡山県倉敷市、以下:癒toRi18 )とSETO INLAND LINK実行委員会は、2023年10月7日(土) ~9日(月・祝)、 『デニムが紡ぐ多様な個性』をコンセプトに、デニムにまつわるアート作品を発表する展覧会『SETO INLAND LINK(セト インランド リンク)』を岡山県倉敷市美観地区にて開催いたしました。

 初開催となる本展覧会には、企業4社、学校3校、アーティストや小学生など13名が参加し、新作のアート作品や希少なヴィンテージデニムなど合計28点が展示され、美観地区内にある3つの会場(児島虎次郎記念館、旅館くらしき、倉敷物語館)には、3日間3会場合計でのべ9,225名の方が来場開館前から列をなす大きな賑わいをみせました。ご来場いただいたお客様からは、「アーティストや学生の自由な発想に驚き、デニム職人の熱意を感じた。」「デニム加工の高い技術力に圧巻された。」「ヴィンテージデニムがこんなに高価になっているとは驚いた、博物館に来たようだ」「デニムといえば青いジーンズと思っていたが、それだけではなかったと知った。」などといった声をいただき、デニムが持つ価値と産業の新たな可能性を示唆することができました。

 また、岡山理科大学大学院 マネジメント研究科 高橋 良平 准教授が行った調査によると、本イベントによる経済波及効果は1億3,750万円(*)と算出されました。

【プログラム紹介】

■世界的アーティストから小学生まで。多様な感性によりアート作品に生まれ変わったデニムの廃材。

 児島虎次郎記念館では、ヴィンテージデニムアドバイザー藤原 裕が選定した総額1500 万円を超えるヴィンテージデニムと、デニム製造加工会社癒toRi18 の職人によりそれらを再現したリプロダクトデニム5組が展示され、加工の様子も特別公開されました。現在700万円の値が付く展示品の中でも最高額のジャケットは、本展覧会主催の癒toRi18代表 畝尾 賢一によりリプロダクトされた作品と共に展示されました。

 製品が着用されてきた歴史や暮らしを紐解き、色濃く反映された着用者の個性を加工により再現した職人たちの高度な技と、芸術的価値が付く希少なヴィンテージデニムの数々に、訪れた人々からは驚嘆の声が上がっていました。また、藤原氏と親交が深く、自身もヴィンテージデニムコレクターとしても知られる今市 隆二(三代目 J SOUL BROTHERS )の所有するデニムも展示され、多くのファンも会場に駆けつけました。

藤原裕氏コメント  

 「今までデニムに興味のなかった方にも魅力を伝えたいという主催の畝尾さんと、自身のデニム文化を広めたいという想いが合致し展示に至りました。ヴィンテージデニムはもはや芸術的な価値を備え年々価格も急騰しています。それに伴ってデニム人気も続いていますが、実際、この数年のコロナウィルスの影響により、多くの企業が経済的な困難に直面し、人手不足に陥っている現実もあります。今回のような新しい見せ方でデニムの魅力を伝える取り組みをすることは、国内だけでなく世界に向けて様々な人に魅力を広めることになり、更には産業自体の可能性も多角的に広がっていくのではないかと思います。また、今回、展覧会では岡山の学生と児島の企業がコラボレーションしていましたが、今後、児島にデニム専門学校を作るなど産学官が連携したプロジェクトを発足させ、全国から人を呼ぶような取り組みを広げていくのも面白そうですね。」

■世界的アーティストから小学生まで。多様な感性によりアート作品に生まれ変わったデニムの廃材。

 SETO INLAND LINKでは、世界で注目されているアーティストから、岡山県内の専門学生、放課後等デイサービスに通う小学生児童など、多様な感性を持つ参加者がデニムにまつわる作品を発表しました。作品には、商品製造の際に発生する残反が主に活用されました。

 旅館くらしきでは、韓国出身の男性ダンスヴォーカルグループ SUPERNOVA超新星)のGEONIL(ゴニル)によるアート作品が展示されました。自身で書いた<Denim and I>という詩を基に、デニムと人との距離感をテーマにした4つの作品が制作されました。

ゴニル氏コメント

デニムは他の衣類と比べて洗濯の頻度が少なく人間との距離が近いと感じています。シーンや気分によってしばらく着用しない時期などもあり、デニムと私の間に距離が生まれるときもあります。しかし時が経ち、また彼(デニム)のもとを訪ねると、彼は変わらずそこで待っていてくれます。そんな風に、長く長く一緒にいられるところがデニムの魅力だと思っていて、そういった私が感じたデニムと自分との距離感を作品にして表現しました。作品を制作するにあたり、私服を選ぶときのような色のバランス使いにこだわりました。2024年には、自身の大きな展覧会も企画しています。今回の展示を経て、アートができることについて深く考えるきっかけになったので、その展覧会でもこの経験を活かしていきたいと考えています。」

  • EXHIBITION-3:社会の課題×アートの力            

    企画制作:亜洲中西屋(ASHU) 

作品の制作や活動を通して、社会課題と向き合っているアーティスト2名による作品展示。

【LINK-1 『大切な人のための服を作ろう!』津野 青嵐×パントーン・フューチャー・スクール】

 放課後等デイサービスパントーン・フューチャー・スクール」に通う小学2年生から5年生の児童8名と、精神科の看護師としての経験を持つアーティスト津野 青嵐による『大切な人のためにつくる服』をテーマにした合同作品。子どもたちは家族や、好きなアイドル、ペットのカメなど大切な人(存在)を思い浮かべながら絵を描き、津野と共に服作りを行いました。

 展示作品には、子どもたちの絵をもとに津野が制作した8体のボディにみんなが作った服を着せ、最後に津野自身が想い描く大切な人である津野の祖母も加えました。そして、子どもたちとの制作の際に敷いてたデニムの生地も用いて作品の制作空間を再現しながら「大切に想われている人達」が集う様子を表現しました。

津野青嵐氏コメント

「服の制作中、子ども達の『やってみたい!』を、同じ目線に立って支えるスタッフの方々や企画関係者たちの、優しく温かな関わりかたが印象的でした。そんな誰もが誰かを大切に想う空間の中で、とても素敵な作品が出来上がりました。このイベントを通して、デニムという素材が単なる布ではなく、人の生きた痕跡としての意味を持つことを知り、改めて参加できたことの意義を感じました。また、アートという表現手段によって地域産業が多くの人に開かれ、思いがけない繋がりを生む力があると思いました。今回の学びも活かし、これからも自分にできることをコツコツと努力し進めていきたいと思います。」

【LINK-2 『赤い襤褸』八木 華】

 デニムの廃材の他、白無垢、打掛といった晴れ着の古着なども加工し制作した赤い襤褸(ぼろ)のドレス。いまほど物資が行き渡っていなかった時代に、人々が破れた布を丁寧に補修、加工するなどし大切に着用していた民族衣“襤褸”。歴史的に青い色ばかりだったこの衣服を、赤色で染めた布を使うことで、襤褸の対極にある“晴れ着”として再創造しました。花嫁が嫁いだ先の家風に染まるといった意味を要する白無垢や、青のイメージが強いデニムを赤く染めることは、アーティストの信念も内包しています。

八木華氏コメント

「多様性を尊重するこのイベントのポリシーに基づき、既存の価値観や解釈を広げる気概のある展示にしたいと思っていました。襤褸自体は晴れ着とは真逆に位置する衣服ですが、日常衣の象徴でもあるデニムの廃材を用いるからこそ現代的に再解釈することができると思い、テーマに設定しました。私は “自分で作る” ことが好きですが、今回、児島のデニム加工の職人さんと一緒に作品を作れたこと、また開かれた場で様々な観客の方に作品を見ていただいたことで、自分の世界が広がったように感じます。アーティストが地域に貢献する上で大切なことは、制作した作品について、自身もイベントを終えた後も語り続け、次の作品にこの経験を繋いでいくことだと思っています。これからも襤褸にまつわる作品の制作を続けていきますが、今回の経験をもとに地域の歴史や文化からインスピレーションを得た作品を積極的に作っていきたいと思いました。」

■世界に誇る児島のデニム加工技術を次の世代へ。切磋琢磨しあうライバル企業が手を取り合い産業の可能性を広げる。

 日本が世界に誇る児島のデニム加工技術の継承と、その技術を新鮮な感性と掛け合わせることで、より多様な魅力を発信していくことを目的に、児島に拠点を構えるデニム製造加工会社3社と、岡山県内の学校3校によるコラボレーションプログラムを実施しました。学校を通じて行った参加募集には学科を跨いだ17組の応募があり、審査を通過した5組(17名)と企業がマッチング、計6点の作品を発表しました。

 制作にあたり、学生たちは工場を訪れ、直接職人から加工技術を学んでからアート作品のデザインに取り掛かりました。この取り組みを通じて、実際に1名の学生の就職がマッチング先の企業に決まりました。また、このプログラムに参加した3社は本展覧会の主催と共催でもあり、いずれもデニム加工業を中心に事業を行う、いわばライバル企業。共に切磋琢磨し合う企業同士が手を取り、新たなことに挑戦したことは、地域産業に更なる可能性を生み出す第一歩となりました。

左から:「Restart」倉敷ファッションカレッジ×美東(有)/「REVIVE」倉敷市短期大学×(株)WHOVAL/「軌木」中国デザイン専門学校×癒toRi18(株)/「Mask off」中国デザイン専門学校×(株)WHOVAL/「フリルドレス」「渦」倉敷市短期大学×美東(有)

■その他のプログラム

 株式会社アダストリアが運営する岡山県内全店舗(12ブランド18店舗)とSETO INLAND LINK会場の合同で行われたアートワークショップ。展覧会開催前には各店舗に持ち回りで設置されたデニムのキャンバスに、来店されたお客様とショップスタッフが、色とりどりのリボンに生まれ変わった残反を結び付け、共同で作品作りを行いました。展覧会当日はその作品を倉敷物語館に移動し、来場されたお客様と共に完成させました。

 日本を拠点に、セレクトショップのブランディングや世界中での買い付けに携わるファッションキュレーター小木”Poggy”基史。新旧オブジェクト交差点とも呼べる倉敷美観地区の街をポギーが歩くことで見つけた「小さなランドマークたち」をたどるドキュメンタリーフィルム。オフィシャルホームーページでも公開中。

■会場について

倉敷美観地区

倉敷川に沿って並ぶ柳並木が美しい美観地区は、かつては江戸幕府の直轄地「天領」であり、物資の集積地として栄えた商業の町。江戸時代の風情を感じることができる白壁の蔵と、大正・昭和に作られた洋風建築が一体となって調和し、優れた歴史的景観を楽しむことができる美観地区は、岡山県を代表する観光地として、世界中の人を魅了し続けています。

児島虎次郎記念館 

大正11年(1922)に建てられた旧第一合同銀行倉敷支店を、大原美術館が新館として再生。国の有形文化財にも選ばれている本記念館は、円柱や、ドーム型のステンドグラス窓などルネサンス様式の影響を受けた美しい建築が特徴。グランドオープンは令和6年(2024)度末を予定。

旅館くらしき 

昭和32年(1957)創業。柳並木が美しい倉敷川の河畔に立つ、陽前の庭と伝統建築の静かな佇まいに癒される料理旅館。江戸末期に道具蔵・米蔵などとして使われていた建物を児島出身の建築家・浦辺鎮太郎が改装。棟方志功や司馬遼太郎などに愛されてきた僅か8室の美しいゲストルームは、今日まで世界中から旅人を迎え続けています。2023年12月には、現代の快適性を備える2棟の宿を備える「RYOKAN KURASHIKI Residence」がオープン予定。母屋は2023年12月からの休館を経て、2024年7月にリニューアルオープンをする予定。

※詳しくはHPにて https://www.ryokan-kurashiki.jp/top.php

倉敷物語館 

倉敷美観地区の観光・文化交流施設として平成21年2009)に開館。江戸時代中期に建築された旧東大橋家住宅の母屋をはじめとした4つの土蔵、中庭等を全面改修。正面の格式ある造りの長屋門や西側の路地、4つの土蔵が美しく、江戸時代の風情を現代に伝えています。美観地区の入口に位置し、観光情報コーナーや展示室、カフェなどを併設しています。

■展覧会開催後の予定

  1. 旅館くらしきにて、10月末~12月(予定)の間、一部作品をご覧いただくことができます。

  2. KOGEI EXPO IN OKAYAMA<2023年11月3日(金)~11月5日(日)会場:コンベックス岡山中展示場>にて、EXHIBITION:4デニム職人の技術力× 学生の表現力より一部作品が出展されます。

    ※詳細決定次第ホームページにてお知らせいたします。

■展覧会を終えて主催者からのコメント

 まずは、この展覧会に協力してくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。私達は、デニム加工はアーティストが白キャンバスに絵を描くのと同じ、クリエイティブな活動であると考えています。児島のデニム加工技術の本質は、職人達の多様な個性が生み出すアイデアと表現力。多様な年齢、性別、考え方の人が共に手を取り合い融合することで、表現の幅は広がり、技術は高まり、それに伴い産業の価値も底上げされるでしょう。

 SETO INLAND LINKを通じて、児島のデニム作りの真価に共感する、クリエイティブマインドを持った次世代の担い手が多く現れてくれるように、我々は継続して取り組みを続けていくことが大切だと考えています。そして、何かを継続するために必要なものは、いま目の前に見えるものではなく、この先で待っています。

 過去に敬意を払いながら、未来を選べる選択肢を常にもち、変わることを恐れず、新旧違わず仲間と共に歩む。そして彼らと一緒に、「個性」と「多様性」がもたらす、創造的で豊かな地域づくりに貢献していきたいと考えています。(癒toRi18代表取締役 畝尾 賢一)

■SETO INLAND LINKとは?

創造的で豊かな発展のために、地域産業の内なる可能性を未来へ繋ぐ

SETO INLAND LINKは、人と人、人とモノ、人と企業など、デニムを通じて様々なLINK(繋がり)を生みだすことで、新たな未来を創造する取り組みです。培われてきた価値を守りながら、より産業の可能性を広げていくことで、地域をさらに活性化させたいという想いからスタートしました。デニムの真価を見つめなおし、衣類や製品としてだけではないデニムのクリエイティブで芸術的な魅力を発信することで、今まで興味をもっていなかった人や企業にも情報を届けたい。そして、産業の垣根を越え、創造的で豊かな地域産業の発展に向けて、共に手を取り合い進んでいきたいと考えています。

SETO INLAND LINK実行委員会 info@s-inlink.com

■主催:癒toRi18株式会社について

2003年に創業し2004年より岡山・児島にてデニム加工場を構える。2008年 癒toRi18株式会社創立。加工はすべて手作業で、ヤスリ・塩素・顔料・ミシン等、多様な手法を用いて生み出される高品質な作品が、国内外の幅広いお客様に喜ばれている。癒toRi18には、30代をメインに下は10代から上は60代まで多様な魅力を持つ約50名のスタッフが在籍。伝統的な技術と豊かな創造性を持ち合わせた彼らは、デニム加工を工業製品を作る作業としてではなく作品作りと捉え、それぞれが自らの感性を活かし伸び伸びとモノ作りに打ち込んでいる。その品質が評価され、取引ブランド数は約150ブランド、年間の加工本数は約15万本。2024年には、環境問題にも配慮した機械を導入し第2工場を設立予定。また、倉敷市中島にて、放課後等デイサービススクール「パントーン・フューチャー・スクール」の運営も行う。

<開催概要>

名称:SETO INLAND LINK (セト△インランド△リンク)

日時:2023年10月7日(土)~9日(月・祝) 

時間:7日(土)8日(日) 9:30~20:00 ※旅館くらしき 19:00まで /9日(月・祝) 9:30~19:00 

会場:児島虎次郎記念館(岡山県倉敷市本町3-1)、旅館くらしき(岡山県倉敷市本町4-1)、倉敷物語館(岡山県倉敷市阿知2-23-18)

URL:https://s-inlink.com/ 

Instagram:https://www.instagram.com/setoinlandlink/

入場料:無料

主催:癒toRi18株式会社 (ユトリイチハチカブシキガイシャ)

共催:ARIKA株式会社、株式会社BerBerJin、美東有限会社、株式会社WHOVAL

後援:倉敷市

協力:旅館くらしき、中国デザイン専門学校、倉敷ファッションカレッジ、倉敷市短期大学、株式会社アダストリア、パントーン・フューチャー・スクール

演出/制作:ourness

展示企画:亜洲中西屋 (ASHU) 

広報:株式会社ワンオー

■会期中の様子

左から:小木”Poggy”基史(ファッションキュレーター)/亘つぐみ(スタイリスト)/藤原裕(BerBerJinディレクター)/尾花美穂子/Taiki&Noah(モデル)

(*)経済波及効果調査について

 本イベントの地域経済・社会への影響を把握することを目的に、期間中、会場となった「倉敷物語館」、「児島⻁次郎記念館」、「旅館くらしき」にて岡山理科大学の学生調査チームが来場者にヒアリング調査を実施。3か所合計でのべ9,225人の来場者があり、来場者総数の1.78%にあたる164名から、訪問目的・消費額などを聞き取りました。結果、来場者の62.2%が本イベントのために美観地区を訪問。このイベントのために来訪した来場者のうち、宿泊を伴う来場者が、宿泊・飲食等で平均42,333円の消費をおこない、日帰りでの来訪者は、飲食等で平均8,470円の消費をしていることが分かりました。

 期間中、消費者による観光消費や事業者の投資による直接効果8,760万円の他、地域内の産業や地元住民への波及効果として、4,990万円(第1次効果2,790万円、第2次効果2,200万円)が岡山県内で誘発されたと見込め、「SETO INLAND LINK」のイベントによる経済波及効果は1億3,750万円と試算されました。

配信元企業:癒toRi18株式会社

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