鹿島(社長:天野裕正)は、国土交通省発注の成瀬ダム堤体打設工事(秋田県東成瀬村)において、2020年度から適用している自動化施工システム「A4CSEL(R)※1」(クワッドアクセル)の機能・性能の向上、適用範囲の拡大を推進しています。
 今般、同ダム工事において、CSG※2の自動搬送と自動ダンプトラックでの運搬・荷下ろし作業を実現したことで、既に適用している自動ブルドーザによるまき出し、自動振動ローラによる締固め作業と合わせて、CSGの製造から打設に至る全ての作業を完全自動化することに成功しました。これにより、鹿島が成瀬ダムにおいて目指してきた「現場の工場化」の一つの形が実現しました。
 また、成瀬ダムでは現在、自動ダンプトラックなど自動化された建設機械が14台稼働しています。これらを約400km離れた鹿島西湘実験フィールド(神奈川県小田原市)から遠隔管制する方式で施工を進めています。

※1 Automated/Autonomous/ Advanced/Accelerated Construction system for Safety,Efficiency,and Liability
※2 Cemented Sand and Gravel:現地発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合してつくる材料

成瀬ダムにおけるダンプ自動運転を含めたA4CSELの適用状況


[ダンプトラックの走行方式・手順]

1.ダムの右岸天端に設置した3基のSP-TOMから計量ホッパーを介して、一定量のCSGを55ton積級の自動ダンプトラックに積込み

2.積込み完了信号を受けた自動ダンプトラックは、自動ブルドーザ(通常3台が同時稼働)によって まき出し作業が行われている地点に後進走行でCSGを運搬

3.指定された荷下ろし位置までの経路を自動で生成して進行。荷下ろし位置の精度は±50cm

4.荷下ろし後、SP-TOM直下の積込み地点まで前進走行で移動


 自動ダンプトラックは、右岸のCSG積込み地点から左岸の打設エリアに向かって最大で約600mを後進走行で運搬します。後進走行は、有人運転では非常に困難な走行方法ですが、自動運転だからこそ実現できる方式です。加えて、運搬経路途中での切り返し動作をなくすことで、走行時間や距離を大幅に短縮することが可能となり、堤体内の打設地点へのCSG材の連続かつ最速運搬を実現しました。

  • 遠隔管制の実施

 鹿島は2021年に、A4CSELを導入する複数現場の自動化建設機械を一括管制する「遠隔集中管制システム」を開発しました。同年10月には、鹿島本社ビル(東京都)に仮設置した集中管制室と秋田県奈良県神奈川県の現場を結んで実証実験を行い、所期の成果を収めました。

鹿島西湘実験フィールドの遠隔管制室

 今回、本システムを使い、鹿島西湘実験フィールドに新たに設置した遠隔管制室から、3人の管制員(ITパイロット)が成瀬ダムに配置した自動ブルドーザ、自動振動ローラ、自動ダンプトラックなど合計14台の自動化建設機械を稼働させ、2交代制でCSGの堤体打設を昼夜に亘って連続施工しています。
 この結果、管制員を現地に派遣することなく、現地で管制する場合と同じ人数で、成瀬ダムの施工に必要な高速、大容量施工を実現できることを確認しました。

  • 今後の展開

 鹿島は今後も、建設機械の自動運転機能および性能の向上、ならびに自動化機種の増強によって、適用工種や作業を拡げるとともに、A4CSELを現場規模や使用条件に合わせて、出来るだけ多くの現場に適用するための検討を進めていきます。
 今後もA4CSEL を進化・発展させることで「現場の工場化」を進め、建設生産システムの変革に挑戦してまいります。


(参考)
動画で見る鹿島の土木技術 ダム
https://www.kajima.co.jp/tech/c_movies/index.html#anc_dam

A4CSEL
https://www.kajima.co.jp/tech/c_a4csel/index.html

遠隔地の複数現場での自動化施工を同時に実施可能な「遠隔集中管制システム」を開発
(2022年10月26日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202110/26c1-j.htm

成瀬ダム堤体打設工事で、月間打設量の国内最高記録を樹立(2022年12月23日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202212/23c1-j.htm

配信元企業:鹿島建設株式会社

企業プレスリリース詳細へ

PR TIMESトップへ