カタール人投資家のシェイク・ジャシム・ビン・ハマド・アル・タニ氏が、マンチェスター・ユナイテッド買収のプロセスから撤退したようだ。14日、イギリスメディア『BBC』などが報じた。

 2005年にマンチェスター・Uを買収したグレイザー・ファミリーは昨年11月、同クラブの売却を検討していると発表。カタールイスラム銀行の会長を務めるシェイク・ジャシム氏、英化学大手イネオス創業者のジム・ラトクリフ氏が、世界的名門の買収に名乗りを上げていた。

 シェイク・ジャシム氏は一貫して、株式の100パーセント取得にしか興味がないと主張してきた。全額現金で50億ポンド(約9060億円)のオファーを提示していたようだが、グレイザー家との交渉はまとまらず、マンチェスター・Uの買収プロセスから撤退を決めた。

 なお、シェイク・ジャシム氏による買収が実現していた場合、マンチェスター・Uは、銀行借り入れや未払い移籍金など、約9億6960万ポンド(約1750億円)の負債が清算できていた模様。また、同氏は、新スタジアム計画、新トレーニングセンター施設、選手獲得、地域再生プロジェクトのための資金として14億ポンド(約2530億円)以上を用意していたと見られている。

 ライバルの撤退により筆頭候補に躍り出たラトクリフ氏は、マンチェスター・Uの完全買収ではなく、少数株式(25パーセント)の取得を目指している。移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ記者によると、同氏はまずスポーツ部門を掌握し、将来的にクラブ全体を支配することを目論んでいるようだ。

[写真]=Getty Images