代替テキスト
(写真:時事通信

10月11日札幌市と日本オリンピック委員会(以下、JOC)が記者会見を開き、’14年からスタートしていた’30年冬季大会の誘致を中止することを発表した。

JOCの山下泰裕会長は、中止の理由として、東京五輪の汚職事件や開催費用の増大により、市民理解が進まなかったことをあげた。34年以降の冬季大会も誘致する方針であるとしたが、秋元克広札幌市長は「34年はかなり厳しい情勢と認識」との見解を述べた。

東京五輪といえば、新型コロナ感染症の世界的流行で開催が延期されたこともあり、これまでになく開催の是非が問われた大会だった。中止を求める声も続出するなか強行ともいえる形で開催されたうえに、組織委員会の不正まで発覚。東京五輪パラリンピック大会組織委員会の元理事が複数のスポンサー企業から賄賂を受け取ったとして逮捕された。

そこで本誌は、全国の男女500人に五輪誘致に関するWEBアンケートを実施。「札幌に限らず、今後、日本が五輪を誘致することに賛成ですか?反対ですか?」と質問し、是非を聞いてみた。

結果は、賛成が31.27%、反対が68.73%と、反対派が多数を占めた。

賛成派の意見としては、《経済効果は高いと思うから》《誘致した方が日本が活性化すると思うから》《応援に行きやすく、日本の商売も繁盛すると思うから》と経済効果を期待するものが多かった。

また、《世界的スポーツ大会を自国で見たいと思う気持ちのほうが強いから》《冬の日本スポーツのレベルアップが期待出来るから》などのスポーツへの期待値が高い意見もあった。

そんな賛成派のなかでも、費用の面を心配する声も。

《日本にとっていい事だとは思いますが、費用の面では削減してほしい》
《開催すること大賛成。予算内で実施できるようすればいい。大幅にオーバーするから問題になる》

いっぽう反対派は、やはり東京五輪の汚職事件から大会委員会への信用を失ったという意見が多かった。

《また汚職事件が起こり、スポーツを楽しむという本来の目的が損なわれてしまうと思うから》
《長野五輪や東京五輪後の数々の報道でつくづく嫌になった。巨大な利権があって、本来のスポーツマンシップとは程遠いイベントなんていらない。本当に五輪を目指して努力している選手に失礼だしかわいそう》
《ある一部の人達が豊かになるだけのような気がする。前回のオリンピックでも本当のところ何の実感も無かったし後にも前にも問題だらけで大金使っただけでその後、どんな成果があったのか等の報告も知らされないまま次次と立候補したがる意味が分からない。一部の人達の利益のためとしか思えない。》

また、昨今の物価の上昇や実質賃金が低下している状況を踏まえて、五輪以外の経済対策や社会保障に使ってほしいという意見もあった。

《もっと五輪以外に税金を使うべきところがあると思うから》
《今の日本の状態を考えたら 国民の生活が困窮してきており これから改善されるまで何年かかるか見通しもつかないとき 巨額の税金を使ってる場合ではない》
《税金無駄にされそう。五輪に使うのではなく、もっと身近なことに使ってほしい》

そのほかには、《もう五輪で国威発揚とか経済振興などというのは日本では厳しいから》という辛辣な意見も。

五輪開催に対しマイナスイメージが拭えない以上、国民の理解を得るには、資金繰りの透明性と開催するメリットに強い説得力をもたせる必要がありそうだ。

【調査方法】

実施期間:2023年10月11日~12日
調査対象:20〜70代の男女500人
調査方法:クロス・マーケティングのセルフアンケートツール『QiQUMO』を使用