ちょっと前まで家庭内でインターネットに繋げる機器といったらパソコンぐらいだったが、最近はスマートフォン、タブレット端末など種類も増えてきた。おまけにテレビや冷蔵庫といった家電製品もインターネットにつながる時代だ。さらに我が家では照明や玄関鍵などもスマート化しているので、ますますインターネットにつながる機器が増えている。LANケーブルで繋いでいるデバイスは皆無で、すべて無線LANで接続しているのが現状だ。

【画像】どう見てもタブレット端末とすら思ってしまうほどに薄型なWi-Fiルーター『Archer Air R5』

 こうなるとインターネットに接続する要のWi-Fiルーターも大容量で高速なものが求められてくる。そこで問題になるのがWi-Fiルーターの形状だ。どのメーカーもハイエンドなモデルになるとニョキニョキアンテナが飛び出ているゴツいデザインに辿り着くものが多い。築40年を超える昭和テイスト満載な我が家の部屋には違和感マシマシなのだ。

 置き場所にも苦労する。特に我が家には猫が2匹いるので、これまでもWi-Fiルーターを倒されたり蹴落とされたりと、日夜攻撃の対象になっているのだ。

 こうしたWi-Fiルーター設置あるある問題は決して我が家だけではないはず。これからは性能も大事だが薄型かつ軽量なデザインを取り入れた、いわば狭小Wi-Fiルーターが必要になってくる。

■まるで1枚の板のようなWi-Fiルーターが登場!

 そんな想いが通じたのか、TP-Linkから壁に設置できる超薄型のWi-FiルーターArcher Air R5』が登場した。1台では電波が届かない環境でも中継器モデルの『Archer Air E5』を置くことでWi-Fiエリアを拡大できる。

 これなら仕事場と自宅が同じフロアの隣同士の部屋という我が家の特殊な環境にもピッタリ。さっそくWi-FiルーターArcher Air R5(以後、本機)』と中継器『Archer Air E5(以後、中継器)』をTP-Link社からお借りし、我が家のWi-Fi環境を実際に入れ替えてみた。

 まずパッケージを開けてビックリ。間違ってタブレット端末を買ってしまったのかと思ったほど、本体が薄い板状なのだ。大きさは210×148mmとA5サイズだし、厚さはわずか10.8mmしかない。正直『これはもしかしてアンテナ部分で本体は別にあるのでは?』と疑ってしまった。このスペースにWi-Fiルーターとしての機能がすべて入っているとは驚きだ。

 本体の他に「かんたん設定ガイド」や規定のSSIDとパスワードが記載された「Wi-Fi情報カード」などの紙類、壁掛け用ブラケットに壁面取り付け用のシールの予備、水準器、壁掛け用ブラケット取り付け用のネジ、リセット用のピン、ACアダプタ、LANケーブルと必要なものは一式入っている。

 Wi-Fiルーターには見えない本機だが、性能面では高速WiFi 6に対応しているし速度も最大2402Mbps(5GHz)&574Mbps(2.4GHz)と遜色ない内容だ。この薄い本体内に高度なアルゴリズムで接続端末の位置を自動検出するスマートアンテナを内蔵。パソコンやスマホなどの端末に対して集中的に信号を送ることで安定した接続が実現できる。遅延も少ないのでビデオ通話やオンラインゲームも問題なく使えそうだ。

 A5サイズの本体を正面から見るとインジケータを兼ねたボタンが1つあるだけ。シンプルなデザインなので壁に設置しても目立たない。取り付けに関しても面倒なことはなかった。壁に設置するのを前提としているので本機の背面には壁面取り付け用のシールが貼ってあり、裏紙を剥がせばそのまま貼り付けできるようになっている。

 もしくは付属の壁掛け用ブラケットを使って取り付けも可能だ。きちんと水平に取り付けできるよう水準器が付いているのには感心した。まさに至れり尽くせりのパッケージ内容だ。

 ちなみに、背面は放熱のためか一部ファブリック素材が使用されている。上部に壁掛け用ブラケットを引っ掛ける溝、左右に壁面取り付け用のシールが付いている。

 仕事場に光回線を引いてあるのでその近くの壁に本機を設置してみた。付属のLANケーブルを使ってモデムと本機のWANポートを接続。ACアダプタをコンセントに挿して本機のUSB Type-C電源ポートに繋げれば設置は完了。あとは設定作業だ。

 設定に関しては最近のWi-Fiルーターによくあるスマートフォンから専用アプリを使って行う方式を採用している。パッケージに印刷されているQRコードを読み取って専用アプリの「TP-Link Tether」をダウンロード。

 あとはアプリのメッセージに従ってアカウントIDを作成して本機をアクティベートした後、Wi-Fiを使って本機に接続。PPPoEの設定を選んでプロバイダへ接続する際に仕様するIDやパスワードを入力。最後にWi-Fiネットワーク名とパスワードを入力すれば完了だ。

■EasyMesh互換なのでエリア拡張も簡単

 我が家は仕事場と自宅が同じフロアの隣同士の部屋という環境なため、設置したWi-Fiルーターだけでは自宅エリアまで電波が届ききらない。ということで引き続き自宅エリアに中継器を設置する。

 壁面取り付け用のシールか壁掛け用ブラケットを使って壁に設置するのは本機と同様だ。あとはACアダプタを繋げるだけ。本機と違いWAN/LANポートはないのでWi-Fi経由で本機と中継器を繋げる。なお、ポート部分が無い分、厚さはさらに薄く8mmしかない。

 その設定も引き続き専用アプリの「TP-Link Tether」で行う。追加するデバイスの種類を選んでしばらくすると中継器が見つかるので拡張するWi-Fi、つまり先ほど本機に設定したWi-Fiネットワークを選んでパスワードを入力する。

 これで本機と中継器が繋がり電波が届かない自宅スペースでも快適にWi-Fiが使えるというわけだ。必要に応じて複数の中継器を設置すれば、さらに広いスペースでも快適なWi-Fi環境を構築できる。

 おまけに本機と中継器はメッシュWi-Fiに対応している。単なるWi-Fi中継器だと本機と中継器が別のWi-Fiネットワークになるので、互いのエリアを跨ぐ際にWi-Fiが切り替わって一瞬だが接続が途絶えてしまう。その点、メッシュWi-Fiなら本機も中継器も同一ネットワークなので、エリアを跨ぐ際も接続が途切れることはない。スムーズかつシームレスに受け渡しが行われるのだ。特にスマートフォンやタブレット端末など家の中で歩くデバイスにとってメッシュWi-Fiは必須の環境としてオススメしたい。

 試しに『Wi-Fiミレル』というアプリを使って仕事場と自宅スペースの各所で電波強度を測定(◉の位置)して視覚化してみた。『Archer Air R5』を設置した場所の周囲は電波状況が良好(緑色)だが、自宅側は十分に電波が届いていない(赤色)という結果に。自宅側に『Archer Air E5』を追加すると、どの場所でも十分に電波が届いてくれた。

■これからのWi-Fiルーターに必要な要素が全部盛り

 実際にWi-Fi環境を『Archer Air R5』と『Archer Air E5』に置き換えて10日ほど経つが、今のところ何の問題もなく快適に使えている。照明のオンオフや鍵の解錠施錠も仕事場と自宅スペースどこからでも利用できるし、動画配信を視聴した状態で仕事場から自宅に移動しても途切れることもない。仕事中、自宅にいる猫たちの様子も監視カメラでバッチリ確認できている。

 なによりWi-Fiルーターを壁に設置するとこんなにも快適なのかと改めて感心した。これまでのWi-Fiルーターのように幾つもLEDがあって絶えず点滅していたのに対して本機はフロントのロゴ部分しか光る部分がないので目立たない。パッと見ただけでこれがWi-Fiルーターだとわかる人はいないだろう。良い意味で今までのWi-Fiルーターのような存在感がないので、そんなにオシャレな部屋ではない我が家の空間にも上手く溶け込んでいる感じがする。

 部屋に出現した新参者に猫たちは気付いたが、これまでのように簡単に触れる場所にないのか数日で興味を失ったようだ。もうWi-Fiルーターを倒されたり蹴落とされたりする心配もないだろう。

 本機では、潜在的な脅威やセキュリティ問題をリアルタイムで検出してくれる「ネットワークスキャナー」や利用時間や特定コンテンツをブロックする「保護者による制限」、利用頻度が高いデバイスに優先して帯域を利用させる「QoS」といった「TP-Link HomeShield」が利用できる。

 「保護者による制限」では、例えば子どもが使っているスマホやタブレット端末を保護者による制限デバイスとして登録すれば、特定のコンテンツや指定したカテゴリに属するコンテンツを閲覧できないようにブロックしたり、就寝時間はインターネットにアクセスできないように制限をかけられる。

 さらに有償プランに切り替えればDDoS攻撃やIoTデバイスの保護、より高度な保護者による制限なども高度な機能も利用できる。セキュリティ面も安心だ。

 本機と中継器を両方購入しても3万円でお釣りがくる。家庭用として申し分ない機能と仕様を兼ね備えたWi-Fiルーターといえるだろう。

(文・写真=松山茂)

『Archer Air R5』